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短編集

時間。

時間。


私の中学時代は、時間に追われていた。

決められた時間に求められる行動があり、

決められた一定の成果をあげることで評価される。


私には理解できなかった。


みんなで揃ってチャイムが鳴ってもいつまでもおしゃべりを続ける同級生が。

決められたことを出来ない人のことが。


実際、優等生ぶってはいたし、成績もそこそこだった。

でも、それだけだったんだ。


部活は吹奏楽部、今思うと、あの時の私は吹奏楽を本当の意味で出来ていなかったようにおもう。

音楽は決められた音を出すだけのものじゃないのに、

決められた期間に、決められた成果を出すものでもないのに。


そして何より、時間に追われて、

周りが見えていなかったことに、最近、気がついた。


先輩方に何度か注意もうけたのに。気づけなかった。


時間を守ることも、もちろん大事。だって時間は有限だもの。

でも、

みんなで共有する時間を、もっと大事にするべきだった。


『なんの理由もなく毎日友達と会えるのは学生のうちだけ。』

本当に、そう思う。


私は仲のいい少人数としか話さなかったし、斜めに構えて、人の話も聞かなかった。

その結果、私には中学時代は空虚な時間でしかなくなっていた。


卒業し、みんなは共有していた時間を離れ、それぞれの時間の中をあるいてゆく。

時々交わることもあるけれど、あれだけ共有できる時間がある学生時代は、本当に貴重だったんだな、と思い返す。


もう何も決められていない私の時間の使い方。

もう戻れない過去のじぶん。

決められたとおりにやってきて、自分で決める時がやってきた。

沢山迷うだろう。沢山悩むだろう。沢山後悔するだろう。

でも、決めるのはじぶんなんだ。あの時できなかったことも、気づけた今ならできるきがした。取り戻せなくても、やり直せるきがした。


もっと、私の時間を人と共有すること。

もっと、時間に追われぬ勇気を持つこと。

これが、時間に追われなくなった私が考える、追われていた私への戒め。


時間という名の怪物と、今度はちゃんと向き合えるように、ふりかえった先に見える怪物と、一緒に並んで歩けるように。


これから生きる時間を大切に。

ゆっくり、ゆっくりと、一歩一歩踏みしめて生きて行こう。



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