主な人物
【警察関係者】
◆三千院澄慈 ※主人公……そう言えば、フルネームが出て来なかった。
魔力はないが、霊視力を持つ見鬼。
古都府警、魔道犯罪対策課の刑事。印暦2202年4月に配属されたばかりの新米。
霊視力があるから、と親戚の勧めで古都大学の魔道学部に進学した。
魔力がない為、魔法の道具の仕組みを研究していたが、メーカーや専門の商社には就職せず、警察学校に進んだ。
卒業後の2年間、そんな能力や学歴とは無関係に、古都市内の交番で「普通のお巡りさん」として勤務していた。
今年度、魔道犯罪対策課に配属されたばかりの三千院には、「一般的な魔術の知識」はあっても、実務の経験が少ない。
幽界に属するモノが視えるだけで、霊能者や聖職者のように、除祓や浄霊ができるわけでもない。
以前は魔物などを恐れていたが、現在は人間が一番恐ろしいと思っている。
◆嵐山紅葉=鬼女紅葉=課長
魔力はないが、霊視力がある見鬼。
古都府警、魔道犯罪対策課の課長。課が新設された際、課長とする辞令が出た。
捜査二課で勤続15年、数々の経済犯を挙げてきたベテラン刑事。
ハメられて吊った被害者等から、手口や証拠の在り処を聞き取り、入念な裏付け捜査の上で逮捕する。
嵐山紅葉が挙げた被疑者の有罪率は、ほぼ100%。
「鬼女紅葉」と呼ばれ、詐欺師達からは恐れられ、警察や司法関係者からは敬われていた。
◆鴨川静流=ホトケのカモさん
魔力はないが、霊視力がある見鬼。
古都府警、魔道犯罪対策課の先輩刑事。
組織犯罪対策課から異動してきた。
長身痩躯の中年男性。風采の上がらない大人しげな外見からは、マル暴対応をしていたなどと、想像もつかない。
組員に憑いた死霊、生霊、守護霊などから、発覚していない事件の詳細を聞き取り、綿密な裏付け捜査の上、逮捕する。
逮捕後、取調室で被害者の怨嗟の声を微に入り細に穿ち、語って聞かせる。
どこから手に入れるのか、霊視力を持たない【半視力】の者に一時的な霊視力を与える呪符を使い、どんな霊に憑かれているか、本人に視せていると言う噂もあった。
鴨川自身は、否定も肯定もせず、笑っている。
嵐山同様、、冤罪や証拠不十分で不起訴になる事件は、ほぼなかった。
逮捕した被疑者の服役中は時折、面会に行き、憑いている人々の言葉を伝える。
受刑者は出所後、精神を病んで元居た組織から破門されるか、足を洗って仏門に入るか、ふたつにひとつ。
「ホトケのカモさん」として、恐れられている。
◆大原刑事
古都府警川端署、生活安全課所属のベテラン刑事。魔力も霊視力もない。怖がり。
捜査の初期段階で、魔道課の三千院と組んで、聞き込みのイロハを背中で語る。
◆橘警部
古都府警、捜査一課の課長。連続女性行方不明事件合同捜査本部の本部長。
魔力も霊視力もない。ベテランのおっさん刑事。
◆二本松刑事
古都府警、捜査一課の捜査員。魔力も霊視力もない。
わりと冷静なおっさん。反射神経がいい。
◆神楽岡刑事
古都府警、捜査一課の捜査員。魔力も霊視力もない。
せっかちなおっさん。
◆中大路刑事
古都府警、捜査一課の捜査員。魔力も霊視力もない。
新人刑事。空気は読まない。
◆河原刑事
古都府警、捜査一課の捜査員。魔力も霊視力もない。地味に活躍。
新人の中大路の面倒を割とみている。若者のノリについて行けないおっさん刑事。
【行方不明者】
◆江田英美
19歳。古都春菜女子大学の二回生。
大学付近のアパートに下宿し、古都市左区のコンビニ「フレンドマート川端病院前店」でアルバイトをしている。
色白の瓜実顔が、艶やかな黒髪に縁取られている。小柄で華奢で、思わず守ってあげたくなる。やや古風な美人。
◆備東安美利
21歳。古都市左区のコンビニ「フレンドマート川端病院前店」でアルバイトをしている。
雪のように白い肌、対照的に闇のように黒い髪、小柄で華奢で、思わず守ってあげたくなるような美人。
但し、中身は相当に強かで、異性が居る場と同性だけの場では、別人のように態度が変わる。カネとオトコにルーズ。
同僚の江田英美は、備東を「性格ブス」と評している。
◆柴田詩乃花
23歳。古都市左区、川端病院前の生花店「はぎや」勤務。
家族、親族は全員、古都府蟹岡市に住んでいる。
◆出口芽衣
24歳。古都市左区、川端病院の事務員。儚げな黒髪美人。
◆飯田珊瑚
古都市西区の宝石店「三光照輝宝飾」勤務。隣の市から通勤している。
白百合を思わせる清楚な美人。今にも消えてしまいそうな、儚げな雰囲気。
◆普家絵冬
23歳。会社員。下戸で酒は飲めない。
実家で両親と同居。兄と姉二人は、結婚して家を出ている。父は長期の出張中。家族関係は良好。
大学時代の同級生と交際中。双方の親に紹介済みで、間もなく結婚予定。
◆二谷代志華
20歳。古都大学経営学部の二回生。華奢な身体。
【発見者その他】
◆白神百合子
古都大学四回生。卒業制作で、災害救助ロボを作っている。
小柄で、長い黒髪が印象的な和風の美女。
巴経済の婚約者。大学院卒業後、就職が決まったら、結婚する予定。実家同士が近所。
◆巴経済
魔力はないが、霊視力がある見鬼。
古都大学四回生。卒業制作で、水中探査ロボを作っている。
明るい茶髪の眼鏡青年。男前。身長180センチ。瞳は青みがかった灰色で、顔立ちも日之本人離れしている。
曽祖母が魔女。兄弟に【舞い降りる白鳥】の魔法使いがいる。
白神百合子と婚約中で、双方の家族に紹介済み。大学院卒業後、就職が決まったら、結婚する予定。実家同士が近所。
「野茨の血族」「汚屋敷の兄妹」などにも登場。
◆伏見教授
古都大学魔道学部の教授。三千院の恩師。
魔力を持たない学者の【碩学の無能力者】。
◆梶井一真
76歳。古都市左区吉田上町在住の老人。
何故か、庭先に黒い白百合が生えてきて、近所で話題になる。
黒い白百合を気味悪がるが、好奇心が勝り、そのままにしている。
◆川端東マンションの管理人のおばちゃん
何故か、マンションの敷地に黒い白百合が生えてきた。
気味が悪いので引っこ抜いて捨てた剛の者。店子思い。
◆コンビニの店長
コンビニ「フレンドマート川端病院前店」の雇われ店長。
真面目な江田の無断欠勤を心配している。
備東の無断欠勤は忌々しく思い、解雇したがっている。
◆花屋の店長
生花店「はぎや」の店主。柴田とは家の方向が逆。
柴田を心配しているが、忙しくてそれどころではない。
◆新月賛治部長
27歳。普家絵冬の上司。老舗企業の創業者一族のひとり。
仕事の後で部下にステーキを奢るなど、太っ腹。
◆ヤマ
備東安美利の男友達。小心者。
◆セノ
備東安美利の男友達。備東安美利に金を貸している。
◆イオ
備東安美利の男友達。カネとオンナにルーズで、遵法意識が低い。
◆ベツ
備東安美利の男友達。備東安美利に金を貸している。
チャラく社会常識に疎いが、意外に堅実。捜査に協力。
◆サジ=〈匙〉
魔術士の国際連盟「蒼い薔薇の森」日之本帝国支部の係員。
「虚ろな器」に登場した〈匙〉先生。国立魔道学院に勤務する前は、ここで働いていた。