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黒い白百合  作者: 髙津 央
第三章 誘拐事件
40/65

40.怪しい客

 捜査一課の橘警部が、合同捜査本部の面々を見回した。

 「……と、まぁ、ウチのモンから、こんな報告があってんけどな。どな思う?」

 「そら、普通は、そのバイトの話持ち掛けたモンが、行方不明に噛んでる……と考えますわなぁ」

 鴨川が言わずもがなな調子で答える。

 「うん、まぁ、ウチもそな思て、話の出所(でどこ)、調べさしてもろたんや」

 「あ、なんや。もうわかってはるんかいな。橘さんも、お人が悪い」

 「うん、性格悪いねん。ごめんな。話持ち掛けたんは、コンビニの客らしい。まぁ、言うてもわかったんはそこまでで、その客が、どこの誰兵衛(だれべえ)言うんまでは、わからず仕舞(じま)いや」

 橘は、さして悪いとも思っていない口ぶりで続けた。

 「コンビニで一緒にレジ入っとったおばちゃんが、品出しでレジ出た時に、若い男の客が、一人になった備東安美利(びとうあみり)にこそっと言うてんの、聞いた言うてた」

 「若い男て……年寄りが若返りたぁて、おまじないすんのと(ちゃ)うかったんですか?」

 大原が、嵐山課長に問いをぶつける。

 「さぁ……単独犯かどうか、まだわからしませんし……」

 「入替え対象の身体は、最後に殺しますから、術者とは別ですよ」

 「ん? あぁ、さよか?」

 三千院が補足すると、大原はあっさり引き下がった。それに、単独犯とも限らない。


 橘警部が、魔道犯罪対策課の面々を見回し、念を押す。

 「そしたら、術が(うま)いこと行っても、結局、殺しは起きるんやな?」

 「術は、もう失敗なんじゃないかと思うんですけど、犯人の次の動きは、残念ながら、掴めていません」

 「黒いお花は、もう一株ある筈らしいねんけど、それもまだ、どこかわからへんのですゎ。すんませんねぇ」

 三千院は肩を落とし、嵐山課長が小さく頭を下げる。

 神楽岡(かぐらおか)が、首を傾げた。

 「花は、あんたらが全部、掘り返したん(ちゃ)うんか?」

 「真ん中のお花が、どこかわからんのです」

 「花掘っても、女の子らは、元に戻らんのでっか?」

 「はい、今は、別室に集まってもろてます」

 嵐山課長の言葉で、会議室が一瞬、静まりかえった。


 大原が恐る恐る質問する。

 「ほな、女の子ぉら、どないなってまうんですか?」

 「……わかりません。犯人の出方次第では、全員助からない可能性もあります」

 嵐山課長に目線で促され、三千院は沈んだ声で答えた。

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野茨の環シリーズ 設定資料
設定の説明とイラスト置場。
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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