かくれんぼ
友人との合作小説です。
私は原案、本編制作
友人はキャラ設定、地図設定、資料集め、アレンジです。
ひとりかくれんぼ
日本の近代怪談の1つで、いわゆる都市伝説である。ひとり鬼ごっことも呼ばれる。
元は関西地方や四国地方でコックリさんと共によく知られる遊びであったといわれるが、ある大学のサークルが都市伝説の広まりかたを研究するため、意図的にこうした話を世に流布したとする説もある。コックリさんと同様に、一種の降霊術とされ、自分自身を呪うと言う説もある。
*
ブランコ、ベンチ、鉄棒しかない簡単な作りの公園。平日のまだ午前中であることから人気はない。
公園にはベンチに座る者と鉄棒に寄りかかる者。二人の男子高校生がいた。
二人の少年は決して学校をサボっているのではなく、先週の土曜日に体育祭があり、その振替休日なのだが、これといった友達もいなければ年齢=彼女いない歴だから何もすることがなく公園で暇を潰していた。決してぼっちではない。決して。
ベンチに座る少年はハルト、もう一方はヒビキ。彼らは幼馴染だった。
「こうさぁ、せっかく平日で休みなんだからカラオケとか行かねぇ?」
しばらく、コンビニで買ってきたアイスを食べていて終始無言。その沈黙に耐えられなくなりヒビキがカラオケに誘う。ハルトは咥えていたゴリゴリ君アイスの残りを一口で食べ終えてから反論をする。
「急にカラオケとか行ったら母さんが心配するんだけど。」
ハルトの言葉を聞き終えるか聞き終えないかの間でヒビキはパノを一個地面に落として思いっきり大声で笑う。驚いたハルトは目を丸くして、のちに首をかしげる。
「何?俺変なこと言ったか?」
まだヒーヒーと息が整わない様子で腹を抱えながらハルトを指さして、
「だって、ついこの間まで反抗期で親のことババァとか言ってたハルトが・・・母さん?心配?ブフォ!!」
「な。俺だっていつまでも反抗期続けて子供でいられないだろ!!」
顔を真っ赤にしてヒビキを睨みつけ、精一杯の言葉をぶつけるハルト。その姿がさらにおかしいのか、ヒビキはまた腹を抱えて終いにはしゃがみこんでいつまでも笑っていた。
それにとうとう堪忍袋の緒が切れたのか、ぷいっとそっぽを向くハルト。
けど、すぐ何かを思い出して「そうだ!!」と顔を上げて立ち上がるハルト。
「どうした?ハルト。」
「母さんで思い出したけど、昔ここでかくれんぼしたよな。俺たち。」
「あ?あぁ。」
昔、10年くらい前まではこの公園にはもっと沢山の遊具と木々に囲まれていた。ジャングルジム、砂場、ままごと用ミニハウス、シーソー、噴水までも。
その遊具らを使ってかくれんぼしていたことを思い出す。
「で、かくれんぼで思い出したんだが。俺この前『ひとりかくれんぼ』ってのやったのよ。」
「ひとりかくれんぼ?」
ひとりかくれんぼ____一種の降霊術で手足のあるぬいぐるみの詰め物を取り出し、そこに米と自分の切った爪を代わりに入れ、赤い糸で縫い合わせたぬいぐるみで行うもの。
「それなら中学んとき聞いたことあるけど、なんでまた?」
「いやさぁ。なんとなく?」
ニカッと笑うハルトに苦笑いで返すヒビキ。嫌な予感がしていて、今ヒビキの中ではどう逃げ出そうか思考していた。これ以上にないほど思考した。
「やらね?一緒に。」
嫌な予感ど真ん中的中。
「嫌だよ。ていうかひとりかくれんぼって『ひとり』っていうくらいだから二人でやったら意味ないんじゃないか?」
ハルトはハッとした。ひとりかくれんぼは一人で行うものでこれは絶対であった。だがしかし、ヒビキは極度のビビリ、一人で留守番もできないチキンハート、ホラー無理な性格だった。でもやらせたかった。そこで脳細胞をフル回転させどうにかヒビキにやらせる方法を考えた。普段嫌がらせにしか使わない思考をフル回転にして、そして手をぽんと叩き、
「じゃあ、かくれんぼはお前がやれ、俺は電話でヒビキのこと守ってやる!!」
「はぁぁ?」
*
2週間後、ヒビキ宅 02:50
「なんで俺が。」
結局、「今度麩菓子奢るから!」の一言でひとりかくれんぼを行うことを決断してしまったヒビキ。よくよく冷静になって考えてみると麩菓子と怖い体験をするを天秤にかけて了承するべきではなかったと後悔をする。
〔大丈夫だヒビキ。一人じゃないぜ。ひとりかくれんぼなのに。〕
スピーカーモードに切り替えたスマホから聞こえるのはハルトの声。約束通り電話を繋げている。
「ホントに、何かあったら助けに来いよ。」
ハルトとヒビキの家は隣同士。何かあったらすぐ駆けつけられる距離。「麩菓子をあげる」「電話を繋げる」以外に「何かあったら来る」も条件に付け加えていた。
〔大丈夫。何かあったら行くから。・・・多分。〕
「信用できねぇ!!」
愚痴をこぼしながらも下準備をを念入りにするヒビキ。
用意する物
・ 手足があるぬいぐるみ
・ぬいぐるみに詰めることができる程度の米
・爪切り
・ 縫い針と赤い糸
・刃物(包丁、カッターナイフのど鋭利なもの)
・コップ一杯程度の塩水
ぬいぐるみに名前をつけ、詰め物を全て出して代わりに米と自分の爪(切って入れる)を入れて縫い合わせる。余った糸は、ある程度ぬいぐるみに巻きつけて結ぶ。中に入れる米はぬいぐるみの内臓を、赤い糸は血管を表しているともいう。隠れ場所を決めておき、そこに塩水を用意しておく。
「で、3時になったら始めればいいんだな?」
物置にあった昔姉が大切にしていたぬいぐるみの詰め物を全て出し、米と爪を入れ、縫い終える。名前は既に決めていて、『ハルト』にしていた。
〔そゆこと~。〕
小馬鹿にするようなハルトの言葉を気にせず3時になる瞬間を待つ。
残り5...4...3...2...1...、
「最初の鬼はヒビキだから。最初の鬼はヒビキだから。最初の鬼はヒビキだから。」
ぬいぐるみに対して「最初の鬼は○○だから」と3回言い、浴室に行き、水を張った風呂桶にぬいぐるみを入れる。家中の照明を全て消してテレビだけつけ(砂嵐の画面)、目を瞑って10秒数える。
家に1階と2階にある液晶テレビを砂嵐にする。今日、両親は結婚記念日で旅行に行っていて不在だった。
〔ヒビキ、怖いか?〕
「そりゃ怖いさ。暗闇な上に砂嵐の音とか。」
建てられてから長い年月が経っているせいで軋む廊下。声をだしそうになるが口を押さえて必死で我慢をする。そして目を閉じる。
(1...2...3...4...5...6...7...8...9...10..)
刃物を持って風呂場に行き、「△△見つけた」と言って刺す。
目を開けてぬいぐるみに向かって包丁を突き立てる。
「ハルト見つけた。」
刺す、腹を手を、耳を。それは刺すというより裂いていた。恐怖で、快感で、何の感情でかは分からないが、とりあえず裂いていた。
〔おい、やりすぎだって。もうやめろ。〕
幼馴染の声で我に返り、包丁をその場に置く。次は、確か。と頭を抱える。
「次は△△が鬼だから」と言い、自分は塩水のある隠れ場所に隠れる。
「次はハルトが鬼だから。」
少し息切れをしながらも部屋にあるクローゼットに隠れる。体じゅうがガチガチと震えていた。その様子を察してからか、ハルトは何も言ってこなかった。
____どれくらい経っただろうか。実際は10分も経っていないかもしれないとスマホの時計を確認するともう1時間もそこで震えていたのが分かった。
〔もうそろそろいいぞ、次は終わらせよう。〕
ひとりかくれんぼが終わることが分かりホッとする。終わり方は
塩水を少し口に含んでから出て、ぬいぐるみを探して、コップの残りの塩水、口に含んだ塩水の順にかけ、「私の勝ち」と3回宣言して終了となる。
塩水を口に含もうとした。そのとき。
〔お、おい。ヒビキ・・・。〕
「どうした。ハルト。」
〔な、なんかさっきから物音が。両親は仕事だし、弟はお泊まり会でいな・・・・・あヒビ・・・・kfjふぃおwdふぉあそkさど;::@「@「「^^:@〕
急にハルトの声じゃない変な機械音が流れる。
驚いて手を滑らせてコップを落とす。
「あ!塩水が。どうすればハル・・・。」
スマホを覗き込むと、画面が真っ赤に染まっていて、それでも機械音は続いていた。呆然と画面を眺めていると、急に真っ黒になり、先ほどの機械音でも、ハルトの声でもない声が聞こえる。
〔ハルト・・・ハル、ト。・・・・ヒビキ、ミーツケタ〕
声の主が分かった。ぬいぐるみ、あのぬいぐるみの声。
スマホから音が何も聞こえなくなった。いつの間にかテレビの砂嵐の音も聞こえなくなっていて、静寂に包まれた。
「うわああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
クローゼットを開け、逃げ出そうとするが。あまりの恐怖に足が動かなく、その場に勢いよく倒れこむ。それでももがいた。ヒビキは直感した。ハルトが死んだ。ハルトが殺された。自分が電話なんか繋げて一人でやらなかったから。その罪悪感と、次は自分が死ぬという恐怖感に押しつぶされそうになるも、逃げようと手を前にだし、匍匐前進のような姿勢でこの家から出ようともがいた。
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
「ミーツケタ」
願いは、届かなかった。
その声を聞いた途端に、ヒビキの意識は消えた。
*
《北朝鮮とは、2日後にまた会見を行う予定です。
__次のニュースです。昨日深夜、○○県○○市内で、二人の男子高校生が何者かに刃物で刺され、亡くなっているのが見つかりました。二人は市内の同じ高校に通っていて家も隣同士なことから、警察は同一人物の犯行と見て捜査を進めています。
__嬉しいニュースです。○○県の県営動物園で___》
感想、アドバイス等お待ちしております。