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第22話:混濁

 銃口を突きつけられた沙紀は、ゆっくりと後ろを振り返った。

 そこにいたのは、自分と同じ年代の少年と少女である。

 銃口を突きつけた少年は、茶色に染めた髪を少し長めに伸ばして流していて、顔はどこか幼さを残した顔だ。

 そして、少年の後ろに立っている少女は、癖のない髪を背中まで伸ばし、無造作にまとめている、能面のように表情のない少女だ。


 「やっぱり、あなたがたも共犯だったんですね?」

 「へぇ? 分ってて乗り込んできたんだ。見かけによらず度胸があるね」

 「ありがとうと言っておきます。で、あなた方の目的は?杉浦氏の目的が私に会うと言うことなら、あなたがたは?」

 「僕達だって一緒だよ。あなたに会いたかったんだ。天見 華音あまみかのんさん」

 「残念ながら、その名前に覚えはありません。私は、九重 沙紀ここのえさきです」


 少年は、どこか嘲りをふくんだ顔で笑った。


 「そんな言葉、信じると思う?」

 「信じるも信じないも勝手にしてください。さっさと、私に用件を伝えたらどうです?」

 「………………涼。トラップに引っかかった奴らがいる。多分、その人の仲間」

 「分った。サンキュ、千夏。さすがに一人で乗り込むほど馬鹿じゃないか」

 「そう、その女性がトラップと結界の創製者ですか。じゃあ、諦めて捕縛されたらどうです?」

 「悪いけどそうもいかないんだ。そんなことになったらマスターに怒られるからさ」

 「マスター? 誰か命令を下した人間がいるんですね」

 「マスターのこと忘れちゃった? じゃあ、記憶が無いっていうのはあながち嘘じゃないんだね。……………無駄足か」

 「作戦終了?」

 「そうだね、千夏。ここにいても仕方ないみたいだ。帰ろう」


 そう言うと少年は少女を連れ立って去ろうとする。


 「待ちなさい!!」


 沙紀は、銃口を2人に突きつける。


 「あなたがたが共犯者であるなら逃がすわけにはいきません」

 「へ――――、どうやってさ?」


 少年の瞳が物騒な光をやどし、手を振り上げたと同時にすさまじい突風がかまいたちとなり沙紀に襲いかかった。


 「くっ!?」


 風が止んだ後、沙紀の顔や腕からは大量の血が流れていた。かまいたちは装備すらも切り裂き、運悪く動脈を傷つけたらしくかなりの出血で、沙紀は意識を閉ざしてしまった。


 (………………………最悪。…………………皆、無事なの?)





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