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1 発端


 ” ピッ、キーーーン! ” 

という耳の奥に突き刺さるような甲高い音と共に

ずっと心の支えとなっていた腕輪が足元に転がった。

無意識のまま目前に迫った魔物達に向けて攻撃魔法を放っていた・・・


  === === === === ===


成人する私の16歳の誕生日を祝うはずの晩餐会、突如深い森の中にたった一人、不意に転移させられ魔物の群れに取り囲まれた。

ほんの一瞬、恐怖に襲われたがすぐさま長い間騙されていた事への悲しみと怒りが混ざり合い、今までに無いほどに感情が高ぶっていく。

停止していた思考の奥深く潜在意識が働きだす。


抱いた恐怖と共に頭の中の奥底にあった見えない何かが打ち砕かれた。

その瞬間、全身が強い光に包まれて前世の記憶が蘇る。

本能に任せて思考する事無く連続して魔法が繰り出されていく。

試練の森と謂れを持つ此処の魔物達が次から次へと消滅していった。

残った物と言えば別れの言葉と共に投げ込まれた禍々しい気配を放つ花束と足元に転がった抜け殻の様な腕輪がひとつ・・・


今になって思えば魔道具であるそれは初めて会った時に贈られてから今迄私の魔力を抑え込んでいたのだろう。

それと一緒に語られた優しい言葉と共に仮初の婚約者だった者や成人を迎える今日までは親切な身内と信じて疑わなかった者達を、共に暮らすようになってからの過去と共に心の外に葬る事を決めた。


全てが終わったと立ち尽くすうちに意図せず涙が零れた。

慣れない魔法行使で魔力を使い果たしたのが原因なのか激しい倦怠感が襲ってきて意識が遠のいていく・・・


深い闇の中に沈み込む寸前、誰かに呼ばれたような気がした。


「ディア? 」 


・・・



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