【星2】への道
「ねえ、凪くん。模擬テストって何するの?」
「……なんや、それ?」
次の日、蓮が話していた「模擬テスト」について聞いてみた。だが、凪が間の抜けた顔で瞬きを繰り返しているのを見て、質問する相手を間違えたと即座に悟った。
そこへ結菜が話に加わる。
「……天音が知らないのはわかるけど、なんで凪が知らないのよ。ちゃんと入学式で説明されたでしょ」
「甘いなー結菜ちゃん。このオレがちゃんと聞いとるわけあらへんやん」
「胸張って言うことじゃないから」
結菜はやれやれといった様子で改めて説明してくれた。本当に頼りになる存在だ。
「模擬テストはね、筆記と体力それから実戦。すべての総合力を測るのよ。その結果は昇級試験の評価にも使われるわ」
「昇級試験……?」
「そう。昇級試験で二年生のクラスが決まるの。いい成績を残せば【星2】に上がれるかもしれないわね」
「えぇっ!? そうなんだ!」
「そりゃあやるしかないやんけ!!」
同時に声を上げた私たちに結菜は少しだけ苦笑していた。
評価、かぁ。
自分がどのくらいの位置にいるのか突きつけられるってことだよね。少し怖いような、でも試してみたいような。
「ちなみに、模擬テストは筆記もあるから勉強もしておかないとね」
「……う、嘘やろ……」
結菜の釘を刺すような一言に、凪は目に見えて肩を落としてしまった。
「凪くんは【星2】になりたいの?」
首を傾げて聞くと、凪は勢いを取り戻したように机を叩いた。
「あたりまえや!! バチバチに強い奴らと戦えるし、星は多いほうがカッコええやんけ!」
「……理由が小学生なのよ」
例えがあまりに的確で私は思わず拍手していた。結菜は少し照れながらも説明を続けた。
「クラスごとに授業内容が変わるの。【星2】なら実戦訓練や野外活動が増える……勉強嫌いな凪にはお似合いかもね」
「そやで! ほんまは【星3】がええんやけどなー!」
「それは無理。うちの学年でも七人しかいないのよ? 選ばれた人しかなれないし、【星2】に上がるだけでも相当難しいの」
凪は一瞬きょとんとした後、にかっと歯を見せて笑った。
「オレなら余裕やで! どんだけ強い妖魔でも全部倒したるわ!」
その自信満々な意気込みは少し羨ましいくらいだ。
「そうは言っても、私たちはまだ小型妖魔としか戦ってないでしょ」
「うん……どれくらい強いのか、想像つかないよね」
私たちは小さく頷き合った。
強い妖魔……その未知の存在にまだ実感は湧いてこなかった。
ただ一つあるとすれば、それと対峙した時に自分は戦えるほど強くなっているのかという疑問だけが、形を持ち始めていた。




