草原に行こう! 2
西門から子供の足で歩いて10分程で草原に着いた。
人はまばらに散っていて、私達の周りには誰もいない。
草原に座ってミーアをおんぶ紐から慎重に解放する。
ミーアは初めての場所に不思議そうな顔だ。
薬草採取に集中しちゃうとミーアが迷子になるかもしれないから、子供ハーネスを創造して紐の部分を長くしてゆったりとお散歩出来るようにしよう。
初めてのおつかいならぬ、初めての草原。
興味の赴くままに歩きそうだなぁ。それで疲れて、そこらで横になっていそうだな。こまめにミーアの様子を見ていよう。
【子供用ハーネス創造】
手の中に現れた。
ミーアが苦しくならないように身につけていく。それで、輪っかを私の腕に固定したら完成だ!
ミーアよ!好きに散歩するのだ!よちよち歩きで!
私は鑑定で薬草を探す。
おっー!いっぱいあるじゃないか!みんな見過ごしてるな。
薬草の元にしゃがんで風魔法でシャッと収穫する。
私が創った薬草は外葉だけを上手く収穫すれば、また生えててくる薬草が多い。
だって近場の薬草を根こそぎ採取されちゃったら困る人が絶対に出るじゃんね?新芽は残すよ。
あ、夢中になる前にミーアに水分補給をさせておこう。
小さい子供用コップを創造して、んー、子供用りんごジュースを薄めて創造する。
紐をたぐってミーアを探す。紐、長くしすぎたかな?
あ、発見!お座りしている。ふぉー、かわいいぜ。マイシスター。
「ミーア、飲み物飲もうね。水分補給ですよー。おいしいよ」
ミーアの興味が引けたので、ゆっくりと口に流し込んで様子を見る。美味しかったのか顔をコップにグイグイと当ててくるから、ゆっくりと飲ませて溢れないようにする。んー!赤ちゃんっ、じゃないけど!幼児のツヤツヤの唇が可愛い!
脱水にならないくらいの水分だったから、すぐ無くなってコップに浄化を掛けて収納庫にしまう。
それからミーアのお尻チェック。
あー、やっぱり湿ってる。ミーアは我慢強いな。泣かないし。いや、びっくりしたら泣くな。うん、普通に泣くわ。幼児だわ。安心。
ミーアに浄化を掛けてから、近くで薬草採取する。
外葉を2枚ほど採取したら次に行く。
大きくて立派な葉を収穫して小さな葉は残しておくのさ。
私は虫が大嫌いだから、生態系を壊さない程度に虫は創造しているのだが、害虫は創造していないものが多い。蚊なんて害虫だからね。百害あって一利なし、だよ。疫病も広がるし。ミミズなんかは必要だからエグくない見た目にして土の中だけで生きて行けるようにした。
ナメクジやムカデの魔物とかってポピュラーだけど、私は苦手だから創造してない。美味しくない魔物はいらないと思ってます。毛皮だけ必要とされる魔物とか可哀想だと思っちゃうんだよね。この世界の魔物は持って帰れればモツまで美味しく食べれちゃいます。無駄なところ無しです。私の趣味全開です。
ドラゴンは夢と希望だからね。居ますよ。
いつか秘境とかに人類が到達すれば出会えるんじゃないかな?
世界の真ん中の世界樹なんて、行くまでが大変なだけで、世界の中心は楽園を描いているよ。いいよね、平和な景色って。心が癒される。
はい、趣味全開です。
神獣?創るに決まってんじゃん!危ない地域の守り神みたいになってますよ。何匹創ったのか忘れたけど。いや、記憶を遡ると思い出すけど膨大な時間だから私の今の時間が死ぬ。
番い?創りますとも。孤独は寂しいからね。
うん、趣味全開。
「あー!どっこらせー!」
身体を伸ばす。
創造神の受肉した身体だから痛くはないけど気分の問題。
もうそろそろ昼食食べていいかな?食べちゃおう。
またまたミーアをたぐっていく。
うん?
うんん!?
ミーアー!睨み合いっこしてるの小さいけど魔物だから!めっちゃポピュラーなホーンラビットだから!
慌てて念動力でホーンラビットを拘束して首を、折る!
めきょっ
死んだら収納庫に入れて解体しておく。
血もツノもお薬に使えるから取っておく。骨はどうしようかなー。カルシウムだから粉にして草原に撒いておくか。
あー、ミーアが危なかった。死んでも今なら蘇生出来るけど、そんなミーアは見たくない。
「ミーア、頑張ったね。偉かったね」
初めての魔物との邂逅に緊張してしまっているミーアを抱きしめて身体をさすってあげる。怖いのはもういないよ。
「大丈夫だよ。大丈夫だからね」
ちょっと草原の奥に来すぎたようだ。浅い場所に戻らないと。ミーアは冒険家だね。ミーアを追いかけるように採取してたから場所を見誤ってしまった。ミーアはまだ小さいから私が安全に気をつけないといけない。
ミーアを抱っこして領都の門が見える位置まで引き返す。
きゅっと、抱きついてきたミーアの小さな手が愛しい。私が育てるからね。おばちゃんと一緒に!
やっぱり、大人の手が必要な場面てあるから。
そういや、トイレトレーニングっていつから始めたらいいんだろうか?早いと一歳ぐらいで、遅くて、三歳?くらいだっけ?まだ慌ててしなくても自然とそういう空気になるかな。
ん?ミーアのお尻が濡れてる気がする。ミーアに浄化を掛ける。
オムツに浄化を付与しようと考えたけど却下だ。ミーアのデリケートゾーンが綺麗にならなくてかぶれちゃう。気がついたらまめに浄化してあげるのがいいな。
草原の入り口に着いたら、折りたたみ机を創造して立てる。その上にお母ちゃんが作ってくれたミーアの為の柔らかい料理を創造する。
ホッ。温かいままで出て来てくれた。
ミーアを座らせて料理をスプーンですくって食べさせる。
うっ、嬉しそうっ。胸にきゅんとくる顔だよっ。天使がいるー。
せっせとミーアに料理を運ぶ係になりますとも。喜んで奉仕致しますとも。
適度に水分も摂らせて食事を進める。
「いやいやしなくていい子でしゅね〜」
ハッ!我に帰った。
確か、記憶にある知識だと、幼児言葉で話しかけてはいけなかったはず。
ミーアの可愛さに我を忘れてしまった。
あ、ミーアが口をぽけっと開いている。今食べさせてあげますよー。
ミーアの食事を25分程で終わらせて、自分の食事をする。
オムライスが食べたかったんだよね〜。トロトロ卵のオムライス!誰もいないから食べられる。んー!美味しい〜!
あっ!ミーアが散歩に行ってしまった。幼児歩きの可愛い事よ。あ、紐を短くしないと。さっきのような事が起きないように。創造、創造、紐よ1m程短くなれ。成功ー!のはず。
満腹になって片付けたら草原に横になる。
あー、今、とってもリラックスしている。
ミーアを抱っこしたいな。捕獲しに行くか。
ん?んん?ミーアが丸くなって寝ている。可愛いけどどうしようかな?ミーアを念動力で浮かせて私の隣に仰向けで横にならせる。
私とミーアを囲むように半円の空気だけ通す結界を構築すると、ミーアの隣に横になって小さくて早い呼吸の音を聞きながら目を瞑った。そのまま心地のいい風に吹かれて眠りにつく。
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ん?ん?なんか、顔に違和感が。
ハッと目覚めると、ミーアが私の顔をペタペタと触っていた。
私はミーアに笑いかけると、ミーアはニコォとふんにゃりと笑った。か、可愛い〜!!!
ラブで有る。愛しています。マイシスター!
「こしょこしょこしょー」
「きゃ〜あ〜」
くすぐると喜んで飛び跳ねる。
弾んでいるだけとも言う。
時計を見ると15時過ぎだ。もう少し採取するかな。
その前にミーアに水分補給だ。
ノンカフェイン麦茶を飲ませた後にミーアを解き放つ。
しかし不思議な事に私の行動をジッと見つめてくる。お姉ちゃんキュンとしちゃう。
ほっぺにちゅっとすると顔を触られるのは嫌なのかのけぞる。危ない危ない、倒れてしまう。
ミーアを私の膝に座らせて、向かい合って手遊びする。
おててが器用になりますように。
手にもちゅーっと口付ける。小さなおててが可愛いよう。
んー、今日はここまでにして帰ろうかな?
まだ遊びたそうにしているミーアをおんぶ紐で背中に固定してから立ち上がる。ミーアを触って確認。うん、ちゃんといる。
草原よ、また来るよ。と誰に向かって言っているかわからない事を考えつつ門まで歩いて行く。
ミーアは退屈しなかったみたいだし、空気も良いし、草原はお散歩に最適だな。またミーアと来よう。
次は奥まで行かせないようにしないとね。危ないから。