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草原に行こう! 1

 昨日は夕方に薬瓶の配達に普通のおばさんが収納庫に300本入れて配達しに来てくれた。

 「ありがとうございます!」と元気に挨拶したけれど、心の中では若干沈んでた。


 女の人が配達します。


 と、言われたらお姉さんが来ると思うよねぇ!?


 綺麗なお姉さんが好きです。可愛いお姉さんでも可です。


 ミーアを構って癒された。


 そして、今日!は、朝から隣の家とばかり言っていたけれど、リーバさん一家にお土産を渡すのです!


 朝起きて、ミーアの準備を済ませて、おんぶ紐でミーアを背中に固定して、創造の力で超熟メロンを作り出す。

 それを布でくるんでから手に持って、家を出て鍵を閉めてから、隣のリーバさん一家の所にお邪魔する。


 おばちゃんが専業主婦だから、食品の買い出しの9時から10時半以外は大体家にいるので好きな時間にお邪魔する。昨日、リーバ家の鍵も貰ったので、我が家のように「おはようございまーす」と入っていく。勝手知ったる隣家だ。


「あら、いらっしゃい。お腹空いたでしょ?明日はもっと早く来てもいいのよ?」


 おばちゃんが優しく迎えてくれる。嬉しい。


「おばちゃん。これ、お土産です!いいお店を開拓したのです!おばちゃんにも内緒だよ?」


 布に包んだメロンを渡す。食べ頃なので切ってなくてもいい匂いが漂う。

 おばちゃんは条件反射で受け取ってくれて、私は床に座ってミーアをおんぶから解放すると、口から涎が溢れていたので浄化をこっそりと掛けてから立ち上がらせる。よちよち歩きが出来るもんねー?


「あら?初めて見たわ。セーレちゃん、これ何かしら?」


 ふっふっふっ。そう言われるのは分かっていたのです!


「おばちゃん、果物だよ。うりの仲間なの。皮は食べられなくて、中に入ってる種も食べられないからスライムに食べさせてね。すっっっごく!美味しんだよ!」


 おばちゃんは納得したように、すんすんと匂いを嗅いでいる。


「甘い香りがするわ。ありがとうね。夕食にでも食べようかね」


 おばちゃんはみんなが揃った時に食べるらしい。優しいね。


 あ、ちなみに、おじちゃんはお仕事でお姉ちゃんとミュンちゃんは専門学校だよ。職業をもう貰ってるからね。お仕事出来るように頑張ってるの。お姉ちゃんは『先生』なんだよ!頭が良くて優しくて幼年学校の先生になりそうだ。


 幼年学校はね、私が作らせた学校で6歳から義務教育3年間。10歳になったらそれぞれ別の道に進むから基礎教育だけはこの3年間で終わらせる。私も通ったよ。お友達も出来たけど家族の方が好きだったから親友と呼べるような子は出来なかったな。お父ちゃんとお母ちゃんに褒めてもらう事ばかり考えて勉強していた。褒められる為だけに勉強を頑張っていたと言っても過言ではない。

 子供の世界は狭いのだよ。


 それでも同級生の男子とちょっといい雰囲気になった事もあるのです!

 でもね、お子ちゃまだからね、食い気の方が勝ってしまってね、はい、色気は皆無です。

 でもでも、一般的に見て私は『可愛い』です!これは自惚れではありません。超一般的な意見です。「お前、顔は可愛いのになぁ」とはよく言われます。

 あれ?何か残念な感じ?


 ま、まあ、いいでしょう!

 今日もおばちゃんの朝食はボリュームがあって最高に美味しい!欠食児童のお腹も満足ですえ。

 おばちゃんはミーアの食事を手伝ってくれる。優しいね。おかげで私は楽が出来ます。ミーアも満足そうで嬉しい。

 おばちゃんは3人の子供を育てるスペシャリストだからね。安心してお任せできるのだ。


 あ、おばちゃんに報告しないと。


「おばちゃん、今日の昼食は外で食べるからいらないです。夕食はお願いします」


「なんだい、よそよそしい喋りかたをして。もっと気楽におしいよ。外に出るのかい?大丈夫かい?ついて行こうか?」


「ううん、大丈夫だよ。草原の辺りの薬草を取りに行くだけだから。私、お仕事見つけてきたんだよ。薬師になるの。だから心配しないでね」


「そうかい。才能があったんだね。気をつけてね。門が見える所にいるんだよ」


「うん!」


 草原というのは領都が危なくないように森が切り開かれて、風で飛んできた雑草が生えている地帯のことだ。雑草と薬草は紙一重。雑草とは、取る人や植物を育てる人が要らない植物の事を言って、畑でトマトを育ててる場所にニラとかネギが生えてきても、ニラとネギは育ててる訳じゃないから『雑草』なんだよ。

 まあ、要はその人にとって必要か不必要かで雑草の定義が変わるってことだね。


 今日行く草原地帯も雑草だらけだけど、子供の小遣い稼ぎや探索者初心者の人達の大事な収入源の場所だから大切に使用しましょう、って場所だ。森が近いから危険はやっぱりあるけど、初心者を卒業した探索者が競争するように食肉魔物を狩るせいで、獲物は減少気味の森だから、余程運が悪く無ければ安全に行って帰って来られる。

 私もお父ちゃんとお母ちゃんとよく散歩に行って慣れた場所だ。自然の風が心地いい場所だよ。


 うん!お腹いっぱい!エネルギーチャージしました!少しお腹が落ち着いてから出かけよう。食べてすぐミーアをおんぶすると食事を戻すといけないからね。


 ちなみに時計は大抵どこの家にもあります。

 私がダンジョンでドロップさせすぎたからね。今じゃあ人の手で作られている豪華な掛け時計とかもあるくらい解明されている。ダンジョン産の時計が二千エンくらいで買える。今じゃあハズレアイテム扱い。でも古くなったり買い替えがあるから需要は無くならないので新人さんが持って帰って来て大事な収入源になっている。


 よし、おばちゃんも買い出しに行くみたいだから、ミーアをおんぶ紐で固定して立ち上がる。

 おばちゃんと途中まで一緒に歩いて行き、朝市が出ている門の近くでお別れして草原を目指す。


 薬草が分かるのかい?だって?ノンノンノン。舐めてもらっちゃあ困るぜい。創造神だぜい?薬草を作ったのは私だぜぃ?うんうんと知識を振り絞って、何日も何ヶ月も自然と対決したんだぜぃ?意識に擦り込まれて忘れられないよ。(涙)

 薬草は専門家だぜ!イェーイ!


 採取の道具を何も持っていないだって?おいちゃんを舐めてもらっちゃあ困るぜい。創造神だぜぃ。創造!ビバ!創造!魔法だって使いようで便利なものです。収納庫は時間停止に出来るし、飲み物だって出せちゃう。ミーアを干からびさせるわけないじゃないか。ただ人前で使えないだけだって。草原地帯は広いから大丈夫!ミーアをお散歩させながら薬草採取を完璧にしてみせますぜ。へっへっへっ。


 ノリに乗って身分証を門番の兵士にチェックしてもらって門の外に出る。

 ふう、何故か空気がおいしく感じる。自然の風が心地いい。

 ミーアは草原でお散歩するのは初めてのはず。小さすぎて門の外に連れて行けなかったんだよ。領都内で用事は済むしね。公園もあるから日向ぼっこも出来る。

 もしも、何かあって食料難になったら困るから、壁の内側に畑を作りなさい。って神託もしたなぁ。小さい町じゃ守られていないけれど、自己責任って事でお目溢ししてた。


 大きな街の中にこっそりと食料ダンジョンを作って飢饉から救ったこともあるよなぁ。

 今でもダンジョン作れるかなぁ?この街の近くに食料ダンジョンが作れたら最高なんだけどなぁ。浅い階層だと新鮮な果物や薬草が生えてて、魔物はハムスターか兎しかいないの。『おつかい層』とか揶揄して呼ばれてた。それだけ平和な階層だよ。


 頑張って創ってみようかな?


 ダンジョンからの魔物の溢れは、魔物の間引きが出来てない時だから、領兵達が定期的に訓練で潜れば問題無いくらい。


 せっかくだから美味しいダンジョン作ろうかな?


 あ!駄目だ駄目だ!家を買うまでダンジョンは作るのやめる!地価が上がっちゃう!ダンジョンが有る街は栄えるから地価が高いんだよ。


 今日は平和に薬草採取とミーアの散歩だけにしよう。そうしよう。

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