1人でウィアット薬店と取り引き
ミーアが寝ている時も、薬草を採取していたセーレは夕方16時30分まで草原地帯にいたが、夕食の為にリーバ家に帰った。
ミーアは15時ごろに目覚めて、草原の散歩を始めた。
今日は奥まで行かなかった為、魔物には遭遇せずに帰って来れた。
じーっと草を見るミーアが可愛いすぎた。
夕食にはスイカを食べて、やっぱりスイカは暑い時期に食べたいなと思った。
お土産にするにはインパクトがあるんだけどね。
自宅に帰り、ジッとしていないミーアとお風呂に入って湯船に浸かる。
湯船のお湯は魔道具で適温のお湯が出せる魔道具である。
私が創造神時代に風呂・浴槽は絶対にいる!と神託と一緒にイメージ映像を焼き付けたから、あら大変。
お風呂とはなんぞや?浴槽の材質は何?と王宮が大騒ぎになった事がある。
今では貧しい家じゃ無い限り、風呂は普通だ。
神託して良かったと心から思う。
あっ!ミーアがお湯の中が気持ちいいから、お風呂の中でおしっこをしてしまった!
夕食のすぐ後だったのも良く無かったようだ。
ミーアの顔はすっきりとしているが、湯船から出て、お湯を流してから浄化をして、私とミーアも綺麗なお湯を体にかける。
張っていたお湯がばっちくなっちゃったからね。
お風呂から上がり、私とミーアを乾燥させてから寝巻きを着る。
ふわふわになったミーアの髪の毛が素晴らしい触り心地なので、いつまでも触ってしまう。
水分補給をしてからベッドで横になり、寝る体勢になると、ミーアはこてんと寝てしまった。お散歩で疲れたようだ。
この家は2階建てで、私の部屋は2階の一室だ。
2階に部屋は3部屋あるから、お父ちゃんとお母ちゃんはもっと子供が欲しかったのだと思う。
私が出来た後は、ミーアが生まれるまで子供が出来なかったからね。
当時は理解できなかったが、お母ちゃんは生理不順だったようだ。
この世界のナプキンは当たり前だが、布ナプキンである。お母ちゃんが洗濯物を干していた時に見た。茶色に染まっていて不潔だったな。
私も、もうそろそろ生理が来るはずだが、日本の生理用品を創造しようと思う。
日本の生理用品は知らない人も多いが、世界に誇れるほどに優れている。外国人が日本の生理用品に慣れて自国に帰ると、日本の生理用品が恋しく感じるらしい。
眠気が来たので、ミーアの状態を確認してから少し離れて横なる。ミーアを寝ている間に潰すといけないからね。
子供は暑いとすぐに汗をかくので要注意だ。子供の体温は高い。いや、低い子も勿論いるけどね。
「おやすみ、ミーア」
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次の日に起きたら脱水気味だった。気温の変化のせいかもしれない。
ミーアに水分を与えてから、私もたっぷりと水分補給をする。
お腹が空いてきたので、今日はパイナップルを持っておばちゃん家にいくと、パイナップルのごつごつした見た目と手触りに驚かれた。
パイナップル、美味しいんだよ。
朝食を食べた後に、今日はどうしようかなー、と悩む。
昨日、いろんな種類の薬草を採取したけれど、前回作った薬がまだあるので、『ウィアット薬店』に卸そうかな?と考える。
役場には行けないから、そうしよう!
午前中は家でのんびりとしながらミーアと遊んで、昼食をおばちゃん家で食べたら、ミーアをおんぶ紐でおんぶして『ウィアット薬店』を目指した。
私が倒れた時もお世話になったから、お礼にりんごを3つ創造して持ってきている。
りんごは結構ポピュラーな果物で、村で育てていたり、野生のりんごを探索者達が採取してきたりする。
秋冬になると流通する果物だ。
南門から中心付近に行った所に『ウィアット薬店』があるから少し遠い。
店の入り口から中に入ると、相変わらず、薬棚はがらがらだ。
店番にハルおばさんがいたので挨拶する。
「ハルおばさん、こんにちは!私が病気の時に診察に来てくれてありがとうございました!これは、お礼の気持ちです」
立派なりんごを3つ布鞄から取り出すふりをする。
実際には収納庫に入ってたからね。
ハルおばさんは笑顔で喜んでくれた。
「おお!時期はずれのりんごをありがとうね!
体調はどうだい?お師匠様の薬は貰えたかい?」
「はい!お師匠様は優しいので、代金は後払いでいいと言ってくれました!もう、すっかり元気です!」
ハルおばさんはおばちゃんの友達だけあって、優しいなぁ。嘘をついた心が痛いよ。
「それで、わざわざお礼に来てくれたいのかい?ありがとうねぇ」
ハルおばさんが勘違いしているので、正しく伝える。
「今日は、お師匠様の薬の納品に来ました!よろしくお願いします!」
子供は笑顔で元気よく返事していれば、なんとなく大人の受けが良い。
ハルおばさんは嬉しそうに「待っててね」と言い置いて、奥に向かった。
待っていると、この間見た娘さんが来た。代わりに店番をするそうだ。
「お嬢ちゃん、え〜と、キャンベルさんだったかな?この間の部屋に一緒に行くよ。ついておいで」
2回目だけど、勝手知ったる何とやらで、娘さんに挨拶してから、ハルおばさんについて行った。
防音の部屋に案内されて、果実水を2つマグカップに入れて来てくれた。ミーアの分も用意してくれるなんて優しい。
「じゃあ、今日は何の薬を卸してくれるんだい?」
おばちゃんと話す時より柔らかい声で聞いてくれた。やっぱり優しい。
私は収納庫から傷薬と浄化薬、状態異常回復ポーションを出した。すべて製作者は消去済みだ。
ハルおばさんは鑑定を持っているらしいから、一つ一つ丁寧に薬を見てくれる。
「うーん、全部良品だねぇ。お師匠様は腕がいいねぇ。いや、お弟子さんが作った薬もあるだろうから、教えるのも上手いんだろうねぇ。
ちょっとだけ待っててね。今から買取値を計算するからね」
ハルおばさんは丁寧に紙にカリカリと買取金額を書いてくれる。
薬を売っているくらいだから、頭の中に全ての値段が入っているのだろう。
15分ほどミーアに果実水を飲ませたり、私も飲んだりして過ごしたので、おばちゃんが明細書を渡してくれるのは、あっという間だった。
「買取金額を書いたからよく見てね。売りたくなかったら正直に言うんだよ」
ハルおばさん、優しい。
なになに。
●傷薬
1包 600エン 15個 9000エン
●浄化薬
1包 540エン 12個 6480エン
●状態異常回復ポーション
Sランク 後払い
Aランク 後払い
Bランク 90万エン 2本 180万エン
Cランク 60万エン 2本 120万エン
Dランク 36万エン 2本 72万エン
Eランク 15万エン 2本 30万エン
Fランク 3万エン 2本 6万エン
Gランク 1万2000エン 2本 2万4000エン
合計 4119480エン
おお!SランクポーションとAランクポーションの金額が無くてこの値段か!!凄いぞ!ポーション!凄いぞ!ウィアット薬店!
「状態異常回復ポーションを作れる人が少なくてねぇ。いつも大体が時価なんだよ。私んとこは必要としている人が分かるからさばけるけどねぇ。
これが大体の取り引き額だから、覚えておくんだよ。あと、お師匠様に伝言だ。『卸す先はしっかりと考えてくれ』と伝えておいてくれよ。法外な値段を吹っ掛けて売る奴がいるからね」
ほう!ぼったくりするんだね!私から仕入れて凄く高い値段で売るって事だね!困った人に薬が渡らなくなるんだ。……富裕層は別だろうけど。
ハルおばさんは困っている人が分かるらしいけど、ツテが無い人は高くても買っちゃうんだろうなぁ。
代金と預かり証明書を貰ってから、ハルおばさんに薬の雑学っぽいことを教えてもらい、勉強になったとお礼を言ってから帰った。
ーーーーーーーーーー
目立たないように店からセーレちゃんのお見送りをする。
最後にちょっと、勉強になる話をしてあげると「セーレって呼んでください」と言ってきた。可愛いねぇ。
「お母さん、あの子、普通の子じゃないでしょ?」
この子は『アイ』の娘だ。
娘が鋭いことを言ってきた。
「なんで、そう思うんだい?」
娘が椅子にふんぞり返って言う。
「何年、薬屋の娘をしていると思っているのさ?特別室を使う相手は特別な上客様でしょ?薬屋で幼児を子供がおんぶしているのも異常だしね。
それに、季節外れの立派なりんごが3つもある。季節外れのりんごは小さいのが多いんだよ?『普通じゃありません』って宣伝して歩いてるよ。親しいなら注意してあげれば?」
だてに、私の娘じゃないね。
確かに普通の客じゃ無い。
子供に大金を持たせて歩かせるのが心配なくらいだよ。収納庫にしまっていたみたいだけどね。
「また来たら注意しておくよ。出戻り娘が偉そうにして。あんたに人を見る目は無いよ!」
娘が狼狽え出した。
「だ、だって、だって!優しかったんだもん!探索者だったから、ちょっと臭かったけど、お酒も飲まないし、子供にも優しいし、暴力は振るわないし!私も騙されたんだよ〜!お母さんも「いい人」だって認めてくれたでしょう!?私だけ責めないでよ!」
確かに娘婿は優しくて良い人だった。
他に家庭を持っていなければね。
『アイ』の構成員が娘が2人も子供を作ってから教えてくれた。
どうやら、ウチの娘の方が浮気相手だってね。
それで素早く離婚して、娘と孫は家に逃げてきた。
役場に提出した結婚証明書は、今問題になっている役場職員がごましたらしい。金を職員に払ったようだ。典型的な貴族男だね!(浮気男の事。偏見が入っている)
「まぁ、いいさ。跡取りが出来たからね。あんたにしては上出来だ」
「何よ〜!お父さんの仕事を手伝ってるじゃない!」
娘と旦那は錬金術師だ。遺伝ってのは凄いね。
ちなみに孫は何故か『薬師』だ。よく熱を出す子だったからかねぇ?錬金術師の嫁を貰ってくれたら言うことはないんだけどねぇ。
子供のうちの病気は、余程酷い状態じゃない場合には製薬での治療が推奨されている。
キュアポーションを飲めばすぐに治るが、身体が弱くなると言われている。
『菌』の概念はあるので、製薬で治すと強く逞しい子に育つ。『村人』は長寿で元気で逞しい人が多いので、研究された結果の治療法だ。
●結婚は重婚も可能だが、別紙の魔法契約書がある。一般庶民は普通は一夫一婦。
富裕層や貴族や王族は重婚が普通。
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