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再び草原 造血と神獣と魔物

 いつもよりも少ない門番さん(多分、犯罪者が沢山捕まって大変なんだろう)に見送られて、草原地帯の入り口に着いたら、いい具合に乾燥している地面に座り込み、ミーアをおんぶ紐から解放する。


 収納庫から折り畳み机を出して、お母ちゃんがミーアに作った食事を創造して出すと、ミーアが喜んで机を叩くので、素早くスプーンで料理をすくうとミーアに食べさせる。

 口がむにむにして可愛い。


 ぽかっと口が開いたので、素早くスプーンを入れて食べさせる。


 太陽の光は存分に浴びたので、結界を半円に張って、空気だけを通り抜けるようにする。

 草と地面の匂いと陽の光で温められた風が自然を感じさせて爽やかだ。


 出来れば魔物も倒したいんだよね。

 造血剤と造血ポーションの材料が魔物の血液と薬草と魔法で出した水だ。

 魔力が強い魔物ほど高ランクの造血薬が作れる。

 勿論、この間倒したホーンラビットの新鮮な血でもいい。


 私がこの世界を創った時に、食肉も血液も内臓も野菜も果物も食べられるものはすべて新鮮な方が美味しいし、効果も高くなるようにした。


 医療の分野は未だ魔法に頼りきりな所が有り、注射器とかは作られていないので、大きな怪我をして血が足りない時は『ヒールポーション』を飲んで傷を塞ぎ『高ランク造血ポーション』を飲んで血を増やす。

 あまりにも大きな怪我だと、飢餓感が凄いので、すぐに食べ物を食べて身体を回復させる事が重要だとされている。

 食べた物から肉体が作られるのは知られているから、薬と食事療法が基本だ。


 珍しいと『鑑定師』が医者をしている所がある。

 『鑑定師』にも熟練度があるから、職業魔法『鑑定』を使うにつれて詳しく鑑定出来るので、徒弟制度が取り入れられている。

 『鑑定師』の医者は『治癒師』より診察・治療費が安いので庶民向けである。

 でも、やっぱり緊急時は『治癒師』頼りになる。料金が高いけど、すぐに完治するからね。


 でも、予想だけど、私の血を使えばSランク造血剤やポーションを作れると思う。

 創造神の神気に晒されている肉体だ。何か影響はあると見ている。


 でも、自分の体を傷つけるのは嫌だなー。

 ドラゴンを取りに行こうかなー。

 あ、子神みたいな事を思ってしまった。


 ドラゴンは知能が高いんだよね。

 あくまでも『魔物としては」だ。

 小学生5年ぐらいの知能かな?倒す時に心が痛まないようにはしてある。


 この世の中は、人間も魔物も狩り狩られる側だ。

 私は人だったから、人に便利なように世界を創ったが、魔物も生きている。

 子神の中に、魔物の生態に興味がある子がいて、いつのまにか【魔物神】になっていた。『守護者』じゃないから、人類の敵では無いが「お気に入りの子を助けて」とお願いされたので魔物を救った時もある(魔物同志の争いだった)。勿論【動物神】も【植物神】もいる。

 子神の興味は神それぞれである。


 魔物の寿命は長いから、知能を低くしても狡猾になる個体が出る。残虐性が酷かったら、神獣に対処させて亡骸を食べさせると神獣が賢くなる。

 今、各地に散らばっている神獣は、もしかしたら私より賢いかもしれない。

 神獣はハイエルフより寿命が長いけれど死なない訳では無い。寿命が来て死んだら、その亡骸を子が食べて新たな神獣になる。知識と能力を受け継ぐのだ。

 だから、もし、神獣が魔物に食べられたら(今まで起きてないけど)、その魔物を処分しなければ恐ろしい存在になってしまう可能性がある。

 神獣は『神』であるから『神殺し』の能力を授かる恐れがあるのだ。『界渡り』の能力は無いはずなので天界にいれば危険は無いが、こればかりは創造神の私もどう転がるかは分からない。

 【命の神秘】があるからだ。

 現に創造神も転生の渦に飛び込めば、只人として生まれた。10歳で覚醒したが肉体を離れる気にはならない。多分に人としての影響がある。今まで以上に人に愛着が湧いたからね。

 しかも、能力を制限されている感じがする。

 『神』を『人の身体』に押し込めたので制限があるのだろう。


 あ、ミーアが完食だ。

 勝手に散歩に行かれると困るので子供用ハーネスを装着させる。

 さて、今日買ったパンを食べるかな。


 収納庫からパンを出すと、何とも幸せな匂いがする。

 欲望のままに、多分食べれるれあろうパンを3つ取り出して、残りは収納庫へ入れる。


 神へのお祈りをして、パンを齧る。

 口がまだ小さいので、惣菜パンが口から溢れる。

 ん〜!!パンが香ばしくて美味しい〜!!

 じ〜ん、と感動していると、ミーアがアタックしてきた。

 ん?と見ると涎を垂らしている。浄化を掛けて、パンが食べたいのだろうなと思い、具じゃないパンの柔らかい所を小さくちぎってからミーアの口に放り込んだ。


 よし、喉に詰まらないようにもぐもぐしてるな。


 気がつくと、風を通す仕様なのにパンのいい匂いが勝ってしまっている。

 まぁ、仕方ないとうまうまと食べる。

 おばちゃん家にお土産としてパンを持って行くのも良いな。

 おじちゃんは儲けているけど、基本的にあまり贅沢はしない。とびきり高い肉などは特別な日にしか買わないのだ。一般庶民の生活をしているので、私が高い物を買って差し入れすると、もっと美味しいものが食べれるはずだ。


 むふふっと、美味しいパンを食べながら考える。


 いつのまにかミーアが地面に転がっているので、防水シートを創造して広げて、その上に仰向けで寝かせる。お昼寝の時間だもんねー。


 残りのパンを食べながら、パンの味を損なわない紅茶を創造して飲みながら、またパンを食べる。


 あー、のどかだ。

 魂が浄化されている気分になる。命の洗濯だね!


 満腹になるまで食べたら、片付けて、ミーアの隣に横になる。


 ここは、のどかだけど、今頃は母神が『世界の改変』をしたから、世界中がパニックだろうなぁ。

 母神も父神も神官に神託しただろうから大丈夫かな?大丈夫だといいなぁ。


 実は本当に世界中でパニックが起きていた。


 街は犯罪者だらけだし、もう時効だろうと田舎に隠れていた老人が光出したり、犯罪を取り締まるはずの兵士が光出したり、貴族や権力者が光出したので、一般兵士は困ってしまい教会に助けを求めたり、もう、てんやわんやである。

 勿論、人食い集落の者たちは生まれたばかりの乳児を除いて、全員光っているので暮らしにくいことこの上ない。救いはセーレが結界を張っているので、仲間以外には見られない事か。


 生きる為に魔物を殺す探索者は光らない。

 逆もあり、生きる為に他者を殺す魔物も光らない。

 畜産をして、鶏や牛を殺す者も光らない。


 無用で傲慢で自分勝手な理由で他者を害した者達は光る。


 奴隷商で魔法使いに【禁忌魔法】の【隷属魔法】を掛けてもらった重犯罪者だけが、光るのも、黒いモヤも無くなる。目立たなくなるのだ。


 重犯罪者は死ぬまで【奴隷】から解放されない。

 職業【奴隷】になっている者は、問答無用で奴隷商に連れて行かれて【奴隷】となり、死ぬまで自由意志・自由行動無く働かせられる。

 残された家族は混乱しているだろうし、貴族などの重要人物が突然いなくなれば、後を継ぐ者は混乱する。


 そして犯罪奴隷は、身内が購入してはいけない。

 何故ならば、犯罪者の身内が購入すれば【罰】にならないので禁止されている。

 それと、政敵や性奴隷としてや犯罪被害者家族の購入も禁止されている。当然だが【奴隷】を悪意を持って殺した場合には【殺した者】が職業【奴隷】となるからだ。

 いくら犯罪奴隷でも、人として最低限の生きる保証をしなければならない。痩せているのはいいが、飢餓状態にしてはならない。


 【生きて罪を償う】


 これが求められるからだ。


 逆に、借金奴隷は本人と家族の意見が一致すれば身内が購入しても構わないが、借金奴隷本人が拒否した場合には借金奴隷の気持ちが優先される。

 他人でも借金奴隷が拒否すれば購入されないが、拒否権は10回までしか許されない。11回目の購入者が現れたら買われるしかないのだ。


 しかし、借金奴隷・犯罪奴隷に関わらず、奴隷が死亡すれば『死亡原因』を兵士に調べられる。

 これは『義務』であり、不幸な事件を防ぐ目的がある。


 購入者に殺人が認められれば、当然【罰】が有り、【法】に裁かれる。


 これが常識なのだが、借金奴隷の『自殺』や、犯罪奴隷への『殺害』は無くならない。

 だから、奴隷になった近隣では売られないのだが、恨みが深い場合には追いかけてきて、自分が犯罪者となっても犯行に及ぶ事がある。


 人の世は神が管理しきれないのかもしれない。

 

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