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人食い集落の洗脳教育から幼児を助けよ!

 家の中から勝手に決めた北の地方から時計回りに、人食い集落から幼児(まだ洗脳されていない子)を保護する事にする。


 頭に世界地図を浮かべて人食い集落でピックアップする。


 あー、他国から人間攫って食べている集落だわ。

 潰したいけどどうしようか?まずは子供の保護だ。


 北の集落近くに瞬間移動する。

 景色が一瞬で変わった。

 あの、遠くに見えるのが人食い集落だな。

 【人感知】


 ん?この集落の近くで人が固まっている。


 【ズーム】

 目に魔力を集めて人が集まっている所を見ると、今まさにこの集落の人が狩りをする場面だった。

 獲物は、女の子?この子は集落の子じゃない。いけない!人狩りだ!

 【集落の住人よ住処に戻れ】


 これで、人食い共は集落の家に帰ったはず。

 苦しませる趣味は無いから、水場まで範囲指定して。


 【結界】


 これは、集落を囲むように半円の結界を張った。内からも外からも出られないし入れない。ちなみに人以外は出たり入ったり出来る。空気も太陽光も魔物もだよ。


 【犯罪者の素養がない者よ集まれ】


 私の周りに上は小学生くらいの子から、下は乳飲み子が集まった。皆、戸惑っているし、言葉が訛っている。


 帝国地図を頭に浮かべて、帝都の孤児院をピックアップすると、帝都だけで5ヶ所も孤児院があった。どれだけ大きいんだ。帝都。


 集まった子供達を帝都にある1つの孤児院の庭に瞬間移動させて、神託する。


 【子供達を保護せよ。教育を施せ】


 ありゃ?神託が子供の私の声になってしまった。まっ、いっか。子神が小さい頃にふざけて子供の声で神託した事があったし。あの時は母神が怒ってたなぁ。


 え〜と、場所は、ひとつ、ふたつ、みっつ……24ヶ所!?

 人食い集落、恐ろしや〜!別の大陸もあるのに〜!

 でも、帝国は広いから教育を帝国に全部押し付けられそうだ。

 よし、次の場所に瞬間移動!


 【人探知】


 狩りに行っている集団を集落に戻して。


 【犯罪者の素養の無い者よ集まれ】


 おおう!驚いた。大人が来たよ。

 頭の中を覗くとずっと人殺しを忌避してきたのか。

 せっかくだから一緒に送り込もう。

 帝都の2ヶ所目の孤児院に瞬間移動させる。


 【孤児院の庭にいる大人と子供を保護せよ】


 神託終了。

 あ、この集落も結界を張っておこう。悪さが出来ないように。



 と、いうわけで、24ヶ所にある、人食い集落の善人達を全て帝国に押し付けて午後18時。夕食の時間ですよ。


 自分に浄化を掛けてから、おばちゃん家に行くと、いい匂いが漂ってきた。

 幸せの匂いだ〜。


 だって、言葉は悪いが『人食い集落』の人はすえた臭いがして、まさに不潔。

 原始人並みの暮らしだからさ、仕方がないけど、今頃帝国で綺麗にされてるんじゃないかな?きっと孤児院は良い暮らし出来るし、美味しい食事も食べれるし、常識を教えてくれるよ。


 これで、集落が60年後ぐらいに自然消滅すればいいけど、乳飲み子がいたんだよなぁ。私が成人するくらいにもう一度24ヶ所巡りに行かないといけないなぁ。そうしないと新たに生まれた子供が大人に洗脳されちゃう。

 私の結界のせいで、狭い集落が更に狭くなったからね。食料を得ようとあれこれ考え始めるでしょ。生まれてきた子を犠牲にしないように保護しないとなぁ。


「あら、セーレちゃん、おかえり。もう食べられるから準備するね」


「ありがとう、おばちゃん」


 ミーアがミュンちゃんと遊んでいる。

 覚えた言葉で「にゃんにゃん」と言っている。可愛いけど、それ「お姉ちゃん」の「ちゃん」が「にゃん」になったんだよね?子供は面白ければなんでもいいのかな?


「今日はとろけたチーズがあるのよ〜。夜はまだ寒いからね。美味しいよ〜」


「やった!」


 とろけたチーズはおいしい!熱々だと子供の口じゃ大変だけど、それでも熱いうちに食べたい!


 あ、ミーアが涎を垂らして顎がてかってる。浄化は生活魔法だから使ってもいいか。

 ミーアに浄化を掛けると、ミュンちゃんに褒められた。照れるなー。


「さぁ!食事だよ!食べな食べな!ミーアちゃんは私が食事させるからね〜」


 おばちゃんが用意してくれたほかほかの食事をミュンちゃんと並んでいただく。

 く〜!熱いけど美味しい〜!大人になると濃い味付けが好きになるって言うからおじちゃんの為の料理なんだろうな〜。少し塩っ辛いけど、十分に食べられる。子供は代謝が良いからね。すぐに消化して排出しちゃうよ。


 ふー、顔が熱くなってきた。冷えのぼせかな?夜はまだ風が冷たいし。


「果物もお食べよー。味見したけどメロンと同じくらい美味しかったよー」


「何それ!食べたい!」


 おばちゃんが言うとミュンちゃんが立ち上がって保冷庫から切られた桃を取り出したて持ってきてくれる。おじちゃんが魔道具師だから、この家には結構魔道具がある。

 ん〜、温かいものを食べた後に冷たい物を食べると背徳感がある。いや、贅沢だけどさ。


「はい、セーレのぶん」


「ありがとう、ミュンちゃん」


 まだ、お兄ちゃんが家にいた頃に、美味しい食事を大皿で出したらお兄ちゃんが全部食べちゃった事件があったせいで、おばちゃん家では数量が限られている美味しい物はしっかりと1人分ずつ確保するクセがついたんだって。

 でも、わかるよ!食べても食べても成長期ってすぐお腹が空いちゃって何でもいいからお腹を膨らましたいよね。今の私で〜す。


 う〜っ!桃が美味しい〜!切ってくれてあるから食べやすいし、汁も無駄にならないし、いい事づくめ〜!

 地球に居た頃は面倒くさいから丸齧りして汁がポタポタと落ちてきたものだ。


 チラッとミーアを見ると、おばちゃんが蕩けそうな顔をしてミーアを甘やかしている。そうだよね!可愛いよね!ふくふくのほっぺがラブリーだよね!今日はお食事早く出来たんだね!偉い!


 食事を食べ終わったら、片付けはしないでいいと言われたからミーアとミュンちゃんとおしゃべりする。(ミーアは幼児語だけど)


「お母ちゃんに聞いたんだけどさぁ、セーレはもう働き出したんだって?幼年学校を卒業した後も勉強してたの?」


 ミュンちゃんは私が働いている事実が不思議そうだ。


「う〜ん、私の場合は職業を貰ったら理解できた感じだから、他の人はわからないけど」


 ミュンちゃんは「ふ〜ん」とやっぱり不思議そうだ。


「専門学校でもさ、才能の出かたが違うからそんなもんなんかなぁ?」


「個人差はあると思うよ」


「そっかー。私は戦士を選択したけど、初めは向いている武器がわからなかったけどなぁ。最近になってやっと落ち着いた感じなのになぁ。セーレが羨ましいな」


「ミュンちゃんが騎士になっても兵士になっても探検者になっても、安く薬を売ってあげるからね。安心してよ」


「えー!そこは妹なんだから「タダであげるよ」だろう?」


 ミュンちゃん、世の中そんなに甘くないのです。薬は高いのである。


「ミュンちゃん、チッチッチッ!だよ!薬には原価があるんだからね。材料費!安くするのは利益はちょっとだけなんだからね!世の中厳しいよ。私みたいにツテのある薬師が身近にいるのが珍しいんだよ。ミュンちゃんに仲間が出来たら教えてくれるよ」


「ふ〜ん。薬って高いのか?」


「うんとね、ポーションがすっごく高いの。薬包なら安いんだけど、使用期限が短いから戦う人はポーションだね。Sランクポーションなんて300万エンするんだよ!」


 ほへーっと、するミュンちゃんと違って、おばちゃんがハッと凄い勢いで振り向いた。

 視界に入った私は思わずビクッとしちゃう。

 あ!Sランクポーションを作れるのは内緒だった!おばちゃんなら内緒にしてくれるかなぁ?


「ミュンちゃん!おばちゃん!Sランクポーションを作れるのは内緒にして!お願い!」


 おばちゃんが凄い形相で迫ってきた。

 そして、肩をガシッと掴まれる。


「セーレちゃん。Sランクポーションを300万エンで売ったのは本当かい?」


 おばちゃんが怖い。


「う、うん、そうだよ。スッゴイ儲けでしょう?」


 お母ちゃんの貯金を上回ってしまったのだ。


 おばちゃんは必死の形相で伝えてくる。


「セーレちゃん、あんた、騙されたんだよ!何処に売ったか知らないけど、Sランクポーションはどんな物でも数千万エンするんだよ!それを300万エンで売ったなんて……。ごめんよう。おばちゃん、セーレちゃんが高ランクポーションを作れるって知らなかったから騙されたんだね。今度売る時はおばちゃんに相談しな!行きつけの薬屋さんがあるからね。そこなら、誠実な商売をしてくれるからさぁ」


 あ、え?私、薬師ギルドに、騙されたの?数千万エン?え?凄い詐欺じゃない?ギルドなのに?


「あ、あの、おばちゃん。売った場所は薬師ギルドなんだよ?本当に騙されたのかな?」


 おばちゃんは、酸いも甘いも知ったような苦みのある顔をして、真剣に教えてくれた。


「セーレちゃん、ギルドはね、相互互助組織で良い面も悪い面もあるんだよ。適正価格って知ってるかい?パンが一個100エンくらいで買えるのは一般的だよね。これが適正価格だけど、生産者さん、農家が麦を安く売ってくれるから、加工して私達に届いた時に手頃な価格で売れるんだ。ここまでは、わかるかい?」


「なんか、わかったかも。薬を作る場所は私が生産者でギルドに安く薬を売って、ギルドに仲介料を取られた、のかな?」


 おばちゃんはほっとした顔をした。


「そうさ。ギルドも金儲けだからね。農家とパン屋が直接取り引きをすると、双方に得がある。仲介する商人を挟んでいないからね。だけど、ギルドは使い用さ。今回の場合はセーレちゃんがギルドを儲けさせたから、何か特典があったんじゃないかい?」


 私は、ハッとした。


「あった!あったよ、おばちゃん!初回取り引きじゃギルドランクが上がらないのに、いきなり2段階上がった!」


「そう、それが見返りだね。何処のギルドでもギルドランクを上げるといい事がある。でも、ギルドを通すと今回みたいに損する事もあるから、おばちゃんと考えようね。旦那に詳しいことは聞いておくから、まかせんしゃい!」


 ふぁ〜、頼りになる。大人って凄い。


 てか、私、創造神なのに騙されたんだ。

 いや、騙してないけどさ。言わなかっただけ(・・・・・・・・)なんだろうな。


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