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薬師ギルドで初めての買取 1

 おばちゃんの家を出た私は、自宅に帰って作ったポーションをぼぽぽいと、収納庫の中にしまった。これから薬師ギルドに行くのだ。

 ダミーの布鞄も持っていく。


 家の玄関の鍵を閉めて、薬師ギルドに向かって歩き出す。


 今日も良い日差しだ。

 ある程度、体に太陽の光を浴びたら、私とミーアに日よけの結界を張る。日焼けは体に悪いからね。


 ミーアは外が楽しいのか足をバタつかせている。元気な証拠だ。髪を掴むのはやめてくれ。痛くないけど、感触はあるから。


 無理に早歩きせずに、安全にゆっくりと歩いて来た。中心街はやっぱり遠いな。


 大きい薬師ギルドの扉を開けて中に入ると、この間のお姉さんがいた。お姉さんは受付専門なのだろうか?


「いらっしゃい、お嬢ちゃん。今日の御用事は?」


 お姉さんが笑顔で話しかけてきてくれる。対応が良いと気分が良い。


「はい、ギルドカードです。初めての納品に来ました」


 収納庫に入れていたギルドカードを鞄から出したように偽装した。


「あら、よく見たらおんぶのお嬢ちゃんね。納品物をこの箱の中に入れてくれる?」


 布鞄から出したように偽装して、収納庫から薬とポーションを鞄に入っていても不思議じゃないくらい取り出す。取り出した物はヒールポーションと栄養薬だけだ。使ったのを全部取り出すと不審に思われるからね。


「鑑定するからね。あそこにあるソファに座って待っていてくれる?」


「はい。よろしくお願いします」


 お姉さんは薬が入った箱を持って、カウンターの奥へ行った。

 お言葉に甘えて、待合室らしいソファに座らせてもらった。身体が子供で小さいのでミーアを潰さずに座れた。

 薄ピンクの魔法瓶を創って、その中に冷たいミックスジュースを入れて飲んだ。身体に染み渡る気がして美味しい。

 ミーアが後ろから短い手を伸ばして来たので、喉が渇いたかな?とおんぶ紐を緩めて、ミーア専用のコップを収納庫から取り出して、果実水を入れてミーアに少しずつ口に含ませた。

 おしっこもしてるかもしれないと、浄化を掛けて綺麗にしてあげると、お尻をぽすぽすした。ミーアは元気だなぁ。


 その時、受付のお姉さんがカウンターに飛び出して来た。


「いた!え〜っと、キャンベル様!来てくれますか?」


 なんだか急いでいるようだけど、ミーアの水分補給が終わっていない。


「妹に飲み物を飲ませてからでもいいですか?」


「あ、あ、ええ、いいわよ」


 なんか気が抜けた返事をされたけど、ミーアにゆっくりと飲み物を飲ませる。


 飲み物を飲み終わったミーアは可愛いあくびをしたけど大人と子供のあくびをする理由は異なるので気にせずにおんぶ紐でお尻や背中を固定してソファからゆっくりと降りた。あ、ミーアのコップは浄化して鞄にしまうふりをして収納庫に入れた。


「お姉さん、どうしましましたか?」


 カウンターにトコトコと歩いて行くと、お姉さんは周りこんできて、1番近い部屋の扉を開けて魔道具のランプの明かりをつけて言った。


「キャンベル様。こちらに来てくださいませ」


 なんだか呼び方や扱いが変わったなと思いながら、部屋の中へ入ると、居心地の良さそうな、ぶっちゃけ高そうなソファセットが置かれていた。


「ソファに座ってね」


 お姉さんが座った対面のソファによじ登ると、ミーアを潰さないくらいのスペースはあったが、さっきのソファより弾力があった。ちょこんと座る。

 机の上には私が提出したポーションと薬が置いてあった。


 お姉さんが正面に座る。


「まず最初に、薬師ギルドの職員には守秘義務が有り、魔法契約書で縛られているから安心してください。

 それを踏まえて、キャンベル様の納品されたポーションを鑑定させてもらいました。全て素晴らしいお品です。買取は勿論させていただきますが、SランクやAランクのお薬がありました。作り方を教えていただく事は出来ますか?」


「え、普通に作りましたよ。レシピは変わらないはずです」


「製品にランクのばらつきはありましたが、鑑定結果は全て良品です。今後とも納品していただきたいお品ばかりです。レシピを教えていただく事は可能でしょうか?勿論情報料はお支払いいたします」


「はあ、普通のレシピでいいのなら教えます」


「ありがとうございます!準備をいたしますので少しお待ちくださいね」


 お姉さんは部屋の中にある、もう一つの扉の中に入り、何やら作業しているようだった。


 ミーアに意識を向けてみると、どうやら寝ているようだった。そういやお昼寝させてなかったや。

 首がカックンとしないかな?今度から日本製の危なくないおんぶ紐を用意した方がいいかもしれない。今使っているのは丈夫な太い布だけど、ただの布だ。自宅に帰ったら新しくおんぶ紐を創造しよう。着脱も楽になるだろう。


 お姉さんが扉から出て来て飲み物を私の前に置いてくれた後に、端に置いてあった紙とインクとペンを取り出した。


「それでは、お茶を飲みながらでいいので、ヒールポーションと栄養薬の作り方を教えてください。ゆっくりとお願いします」


 私は、まず栄養薬の作り方を初めから口に出した。

 お姉さんは真剣に紙に書いているので、ペンが止まるまで次の作り方を言うのをやめて、お姉さんのペンが止まったらまた話し始めた。

 合間にお高そうな味がするお茶を飲んで、むふーっと満足しながら、栄養薬とヒールポーションの作り方を教えた。


 お姉さんは目をキラキラさせながら、やり切った顔をしていた。


「ありがとうございます!これが本当ならば薬師ギルドのレシピが更新されて、質の良い丸薬とポーションが作れます!レシピ代は実際に薬師ギルドの職員が作ってみてからになりますが、ギルドカード口座に振り込みいたします。おそらく、1レシピ、ミスリル貨1枚程の金額になると予想されます。お名前の公開はさせますか?非公開に致しますか?」


 え?


 ええ!!?

 そんな重要なレシピじゃなくて、何処でも使われているレシピだよ?


「こんな、ありきたりなレシピに、そんな価値がありますか?」


「はい!まさか!ありきたりなレシピではありません!新しいレシピです!このレシピが本当ならば薬師ギルド本部に連絡が行き、全薬師ギルドに通達されます。もしかしたら、もっと高い金額が振り込まれる可能性もあります。ああ、なんて斬新な発想なのでしょうか!」


 実際にはポーションは錬金釜で作っていないから同じ薬効が出るかはわからないが、多分同じだろう。そういうふうに創造したからな。

 あ!錬金釜は最上級のものだから言わないと。


「あのー、錬金釜は最上級の物を使っているので、薬効が上がった可能性はあります……」


「最上級の物をお持ちですか!?凄いですね!大丈夫です。この薬師ギルドにも1つだけ最上級の錬金釜がございます。お任せくださいませ!」


「それと、レシピは間違っていないのですが、品質にかなりのばらつきが出たので、少しの間違いで品質が下がるかもしれないので注意してもらえますか?」


「計量は二重チェック致します。ご安心くださいませ」


「あ、あと、名前は非公開でお願いします。準成人の私の名前を公開されると困ってしまいますから」


「わかりました。秘匿致します。お任せください」


 言うことが無くなったので、今回の買取金額の話しになった。


「それでは買取額の説明を致します。

 栄養薬ですが、一度にまとめて作られたのしょう。全ての薬効が同じの良品となっております。一包み300エンが16包みございます。4800エンです。

 ヒールポーションですが、こちらは薬効にばらつきが見られますが等級の中では良品が出来上がっております。Gランクが1本500エンが2本ありますので1000エン。Fランクが1本1000エンが2本ございますので2000エン。Eランクが1本2000エンが2本ございますので4000エン。Dランクからは価値が上がりますので1本5000エンが2本で1万エン。Cランクは1本1万エンになりますので2本で2万エン。Bランクは1本2万5000エンとなりますので2本で5万エン。Aランクは1本25万エンとなりますので2本で50万エン。Sランクは1本300万エンとなりますので2本で600万エンでございます。全てで、栄養薬が4800エンとヒールポーションが6587000エンとなり、6591800エンとなります。今から硬貨を持って参りますのでお待ち下さい」


 お姉さんは薬の箱を待って、3つある扉の最後の1つに入って行った。


 え?Sランクだけ凄く高くなかった?え?ワンランク違うだけだよ?


 後からお姉さんに何で高いか聞いてみよう。


 

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