番外1
あけましておめでとうございます!
今年の抱負は「毎週更新」です。
私の場合は三日坊主ならぬ三ヶ月坊主にならないよう頑張る所存。
私に愛おしい子ができた。
初めて知ったときは驚いたし、あの人との間に子ができたという喜びと血を受け継がせてしまったという哀しみがあった。でも今は、たとえ哀しくてもめいいっぱい愛すと決めている。なぜならその方がこの子にとっていいものだと思ったのだ。
生憎、私は子供への愛し方など知らない。
私はこの村に引き取られた子供だ。もともとは他の、もうない村で村長の子として生を受けた。でも私が物心付く前にその村は憎き人間に滅ぼされて、私と母はその時この村に遊びに来ていたから助かった。でも母は父がなくなったことに心を痛め、次第に面影の残る私に父を求め始めた。怖かった。父の記憶はわからない。私の唯一の肉親は日に日に恐怖の対象になっていった。
村の人達は見た目も習慣も違う私を見てどう接すればいいのか分からなかったのかもしれない。エルフは普通、村という単位で子育てをするそうだ。私もこの村に来る前はそうだったのかもしれない。けれど、習慣が違う私をどう育てればいいのかを知らなかった。結果として、私は母の女手一つで育てられた。もちろん、この村には馴染めず、遠巻きにされる日々だった。私も母以外の人は得体のしれない人に見えた。
そんな私を見て、助けてくれたのはこの村の村長だった。私は母から遠ざけられた。そして母は、段々と衰弱し、死んだ。
私は母の死に目を見た。母は私を見て
「ごめんなさい。愛していたわ。」
と言った。そうして、母は私が初めて見た優しげな微笑みを浮かべて逝った。その瞳は私を見ていたのか、それとも私を通して父を見ていたのか、結局分からなかった。
でもどこか、悲しいような、胸にぽっかりと穴が空いたような心地になった。
これが寂しいという感情なのだろうか。物心付く前に母以外をなくし、母は恐怖の対象となり、周りとは壁を1枚挟んだ関係であった自分には初めての感覚だった。
それから村長の養子としてこの村に馴染むように努力した。いつか捨てられるかもしれない。でもこうしていれば私はこの村の一員に成れた気がする。
その中で初めて、その努力を恐怖の裏返しだと言い、私を優しく見守ってくれた人がいた。その人と私は結婚した。
あの人との生活はいつか消えるものかもしれない。でも、その中でも、今の感情は嘘なんかじゃない。
かみさま、私が私の周りが不幸になるような星のもとに生まれたのだとしても、もう少し、もうすこし、この仕合せを享受していたい。そして、傲慢なのは分かっています。願わくば、私の周りではなく私だけが不幸せを被り、その代わりに、周りが笑顔に彩られて、生きていけますように。
あの人との子は愛おしくてたまらなかった。
あの子が元気に、愛されるように生まれますように。
毎日願う。
その頃にはもう、あの子が世界の中心のようだった。
こんな血を受け継がせてしまう、でも、それでも、生まれてほしい。
そうして迎えた出産日。
痛くて、苦しくて。でも、やっと生まれた我が子はとても愛おしくて。これまでの苦痛なんか忘れてしまうほど可愛かった。
私は自分の子への愛し方がわからない。合っているかもわからない。でも、あの人はその上で、私なりの愛し方があるから、と背中を押してくれた。
だから私は今日も我が子を私なりに愛せている。
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我が子は天才だ。
生後たった3年で寝返りをうった。普通6年はかかる。
でも、一番驚いたのは寝返りよりも前にスキルを獲得したことだった。
スキルとは、神様からの贈り物だ。そして、その人の努力の証でもある。スキルを獲得するとそのスキルに対応した技術などの能力が上がる。中には、その人特有のスキルや、特定のスキルを持っていないとできないようなこともある。この子が獲得したのは補助系のスキルだけれど、この齢でスキルを獲得することは少ない。
かくいう私は『星屑のタルパ』というユニークスキルを頂いている。
そして、この子は初めての神前での儀式、「魔力奉納」で多くの神々からのご加護を頂いた。
この村では10歳のときに「魔力奉納」を行う。そして、神々からそれぞれの属性のご加護を得るのだ。先祖返りと呼ばれていた私でさえ、水、火、土、空、星、虛無という6属性だった。しかし、この子は水、木、火、土、空、星、闇、法則、虛無という9属性だ。すべての五大属性を得、珍しい闇と法則を得ている。やはり、この子は神様に、星霊に愛された子なのだろう。
魔力量も多いのか、先祖返りの証であるキラキラと吸い込まれるように光を放つ銀髪、あの人譲りの紅い、宇宙を閉じ込めたようにきらめく瞳。その瞳は光の加減によってレッドベリル、レッドスピネル、ガーネット、と様々に色を変える。この瞳に魔力が通ったらどんな色になるのだろうか。その一挙一動は周りを魅了すると言っても過言ではない。早くあの人にも見せてあげたい。
赤ん坊の時でさえこれなのだから、将来が恐ろしくもある。どうか、この子が悪意に晒されず、元気に育ってくれますように。
この儀式を担当した養父はこの子の加護の多さに興奮してしまった。
早くこの子をベッドに寝かせてあげたいのだけれど…。
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この子はまた、スキルを獲得したみたい。
少々落ち着かなそうだから、このスキルの効果を落ち着かせてあげましょう。
私はディアの額に指を当てる。
かみさま、この子が元気に生きますように。
願いを込めてスキルを落ち着かせる呪いをかける。
この子の目は私の指を興味深そうに追って、ちゃらちゃらと笑う。
「おやすみなさい」
どうか、元気に育ってね。私の愛おしい子。




