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時の流れと逆らう君達へ

彼女の放送を見始めてからどれくらいの月日が経っただろうか。

その日もいつもの様に生放送開始のメールが来たのでニコニコ動画(原宿)から生放送に飛んで行くと電灯の消えた部屋にパソコンののバックライトに照らされた彼女が画面越しに映し出されていた。

コメントを入力すると僕の固定ハンドルネームに反応した彼女が声を掛けてきた。


ねぇ会議作るんで入りませんか?


僕の心は一気に不安と喜びが入り混じった複雑な心境になった。一体どんな人達が来るのだろうと考える時間を与えぬままスカイプの着信音が鳴りに胸の高鳴りを感じた。


瞬間にして複数のアイコンが眼前に並んだ。


ゆーき。、くもー、Tochiginojoker、マシュー、遊、ZAKURO、星羅、優花、そしてひな。


僕は初めて声を聞くみんなに律儀に挨拶なんかしていた。


それぞれの声色、性格、通信環境、住んでる地域と何一つ合っているものなんて無いもののひなと言うコンテンツに魅了され走光性の様に集まりひとつの時間を共に過ごした。夕方から会議が始まり非生産性な中でもその時に流行っている物の話題や恋愛、下ネタ等話題に尽きる事は無かった。

朝刊紙を配りに来たバイクのエンジン音で朝が来てしまったのだというくらい時間の概念が麻痺する程に毎日の生活の一部にみんなとの会議が当たり前となっていった。


おい、いつまで寝てるんだよ。


父の呼ぶ声で目が覚めた。今日は学校は休みだというものの昼過ぎまで寝てしまっていた。パソコンにコタツと座椅子が妙に心地が良く熟睡してしまいパソコンのスカイプ画面には朝方に会議通話が終了した事がログに残っていた。


今日は父も休みで自分と父と2人で朝食としては遅く昼食としては早い時間帯に甘辛いつゆに柔らかくなるまで煮込んだカツに火が通り甘味の強い玉ねぎを多めの玉子を軽めに混ぜた卵液を鍋から溢れんばかりに注ぎ込み最後に中火にして炊き込んで作る父特製のカツ丼を作ってくれた。父の手料理は小学生の頃に休みの日になれば良く作って貰って食べていたがここ最近は中々休みが合わなくて久しぶりにこんなに手の込んだ料理を食べたなぁと思った。


食事を終え僕は自室に戻って再びネットに戻ろうとスリープモードのデスクトップを起こす為にマウスを動かそうとした際にアレっと思った。トランプのジョーカーのカードが1枚だけそこに置いてあった。

最近トランプで遊んだ訳でもないし、自室に友人を最近呼んだ訳でも無かったので何故ここにあるのか分からなかった。


1枚のジョーカーを眺めてるうちになんだか眠気が襲って来た。無理もない昨晩はといってもついさっき眠って起きた様なものだからもう一度眠ろうと思った。


どれだけ寝てしまったのだろうか。


ネットのニュースでも一旦読むかとYahooニュースを開いた瞬間訳の分からない用語が画面を踊っていた。「コロナウイルス」「stay home」「自粛」「3密」


一体寝てる間にどれだけ世界が変わってしまったのだろうか。さっきまでそんな言葉なんて無かったのにまるで一瞬にしてネットを更新したかの様に思えた。

突然下の階から勢い良く階段を駆け上がる足音が聞こえバタンと大きな音を立てドアが開いた。

そこにはスーツ姿の僕が立っていた。スーツ姿の僕も驚きを隠せない表情をしており、声一つ出せない緊張感が一瞬だったのだがとても長い時間のように思えた。

えっえ...。声にならない言葉で話しかけようとしたまでは覚えていたが、急に目の前がボヤけ気がつくと僕は自室のパソコンの前で寝落ちしていたのだった。

確かビールみたいなウイルス名前だったのは覚えていた。そしてどこかで顔を見たことあるような気がしたが名前が出てこない人が都知事をしていた。あとは...と考えてみたが思い出しそうで思い出せなかった。スーツ姿の僕は今の自分よりも少し痩せていた。


妙にリアルな夢だなと思った。


そういえば寝落ちする前に見つけたジョーカーのカードが見つからなかった。確かここら辺にあるはずなんだけどとゴソゴソ探してみたり荷物をひっくり返したりしてみたがどこにも無かった。


月日は流れその夢の事を忘れていた僕に1人の男が栃木県からダイハツのムーヴという軽自動車に乗りここ静岡までやって来た。彼の名前はTochiginojokerとなんだが長ったらしい名前のハンドルネームの男だ。そいつの名前の由来はダークナイトというバットマンの映画の敵役ジョーカーがど偉くカッコ良かったからという単純な理由だった。

自己紹介の名刺の代わりという事でダークナイトに出てくるレプリカのジョーカーのカードを1枚貰った。


このカードだ。


僕は確信した。変な夢を見る前に部屋で拾ったカードはこれだった。色々頭の中で考えていたら若干上の空だったように見えた僕を心配そうにTochiginojokerは顔を覗き込んでいた。僕は軽くあしらいその場を凌いだ。

僕に会う前に登呂遺跡の雨に濡れた芝生ですっ転んだ鈍臭い奴だったので僕は心のバリアを張り適当に話して帰って貰おうと思ったが、この際だからダークナイト見た事ないがカード欲しさに適当に話を合わせてもう2枚ゲットする事が出来た。


多分だがカードを消耗する事で過去に行けるかは分からないが未来には行ける?という事が分かった。本当の未来なのか夢なのかは分からないが。

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