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余命宣告されてみた!

 打ち合わせでは聞いていないような爆発音がして、慌ててチートプレイ用のウィンドウを下げる。

 ちょうど皇女が倒れる所をコマンド無しに動いたルシーズが水晶玉から庇うようにして支えていた。


 「うおっ?!」


 ノア:「な、何だったの…?あ、ありがとうございます、ルシーズ。」

 シズ:「皇女様…」


 ルシーズ、すまんよ。さっきのはマジで俺のせい。ノアさんも何が起こってるのか分からないけどごめんね。


 魔導師2:「きゃあっ!」

 魔法使い1:「ああ、あああ…」


 何か水晶玉に光を送っていた5人の内の女の人が水晶玉を見て怯えている。

 割れては…ないか、じゃあ破片が飛んで物理的にケガをした人はいないな。


 皇帝:「一体どうしたと言うのだ!」

 兵士:「へっ、陛下!近寄ると危のうございます!」

 皇妃:「ノアは大丈夫なのっ?!」

 兵士:「皇妃様も危ないですから!」


 両陛下もそりゃあ娘が心配だよな。

 会場もざわざわしている。

 こういう展開は…原作に無かった。


 ノア:「お父様お母様、落ち着いてください。私は無事です。」

 皇妃:「ああ…良かった。」  魔導師1:「いいえ、大惨事です!」

 全員:「ええっ?!」


 俺もハモっちゃったわ。


 ノア:「もしかしてケガをなさったのですか?」

 魔導師2:「いいえ、私達は無事でございます。しかし…大変申し上げにくいのですが。」


 5人が顔を見合わせる。そしてノアさんに土下座した。


 ノア:「えっ?えっ?…え?」


 皇帝:「どうしたのだ!」

 魔導師1:「……我々も十分に準備をしてまいりましたし、安全には十分なほど配慮しておりました。しかし!なぜか呪いが発動してしまったのです!そして先ほどの爆発…水晶玉に手を触れていた皇女様に直にかかってしまいました。」


 呪い?!


 皇妃:「そんなっ…ど、どのような呪いなのですか!」


 魔術師:「…先ほど見ました所、古に魔族そして天の世界の者達との対戦で人間を戦力に取り入れようとこの地に伝えられた禁忌となされる強力な呪いで、相手を定められた時間だけ生かす、つまり定められた時間を過ぎると殺す呪いでございます。」


 会場がざわめく。


 ノア:「そ、それで寿命はいつ全うするのですか?」

 魔術師:「皇女様が20歳になられた日の日没とともに。」

 ノア:「(短っ!)」


 えっ、ヤバくね?


 ノア:「ああ…」

 「(どうしよう、どうしよう、今度こそはちゃんと老衰で死のうと思っていたのに、まだぴちぴちな時に死ぬ呪いをかけられるだなんて。)」


 ノアさんの夢が最低限度すぎる!って、そんな場合じゃない!


 皇帝:「ノア、大丈夫か?!」

 ノア:「わ、分かりません…」


 大丈夫なわけねぇだろ!


 ノア:「(とりあえず、今は何ともないんだけど…メンタルだけがやられた。多分、アレだな、急にポックリいくパターンですわ。まあじわじわと衰弱するタイプの感じじゃなくて良かった。)」


 えっと…とりま、立たせた方が良いよな?

 俺はシズにコマンドを出した。


 ルシーズ:「…皇女様、どうぞ。」

 ノア:「…ええ、ありがとうございます。」


 ノア:「(いつも護衛だからってこういう些細な事でも手を差し伸べてくれて…何か悪いなぁ~。)」


 あっ、やべ、パニクってチートプレイ本格発動させてしまった!


 ルシーズ:「?いいえ、これが私の務めですので。先ほどは庇いきれず申し訳ございませんでした。」

 ノア:「えっ?」

 「(声に出していないのにそんな事を言われたんだろう。まるで先読みされたみたい。)」


 皇帝:「そうだ、ルシーズよ、お前は何をしていたんだ!」

 ノア:「(お父様がお怒りになっている。)」


 そうだよ、ヤバイじゃん。とりま、どうにもならんけど謝るか。俺のせいだし。

 ルシーズにすっと皇女から手を離させ、跪かせた。


 ルシーズ:「はっ、この事は私の手落ちにございます。命に代えてでも皇女様を守り抜くという誓いを破った罰は覚悟しております。」

 王:「…一族郎党を投獄しろ。」


 はあっ?!

 ちょい、それは罪重スギィッ!


 皇妃:「ちょっと、さすがにそれはやり過ぎではないのですか?」

 そうだよ!


 ノア:「(ロウトウ?でも、一族って言ってたから根絶やしって感じだよね!しかもルシーズの場合、血がつながっていない碧眼族の集落の長に育てられたって事だから、その一族ってさ…集落の住民ほぼ全員じゃない?)」

 そうだよ!


 ごつい近衛兵達がシズを捕らえた。

 えっ何、ヤバイ感じっスか?!これヤバイな~…台本には…書いてなかったぞ!

 田中に連絡…クソッ、ハッカーかウイルスか分からんが、こっちにトラップがあるから来れないと思ったらハメやがって!


 ノア:「ちょっと、ちょっと!!」


 ノア:「やめてくださいよ、ルシーズは何もしてないじゃないですか!」

 皇帝:「ああ、何もしていない事を今から責め立てるんだ。」


 ふざけんな!そこまでの罪じゃねぇだろ!俺だけ責められるって理不尽じゃね?

 八つ当たりじゃん、そんなの。


 ノア:「それに、一族みんな牢屋に入れるのもおかしいでしょう?!」

 皇帝:「そいつ1人でお前の寿命が縮んだ罰を背負えると思うのか?」

 もう暴論!


 ノア:「そんな…」


 そんな…だよ、マジで!皇女様、俺の方が泣きたい!おシズの代わりに!


 ノア:「…突然の事だったし、ルシーズでも対応出来ない事は対応できないと思います!」

 そうだよ、皇女様、あんただけよ、俺の味方。


 ルシーズ:「皇女様…良いのです、陛下が仰る通りの事を私は犯しました。決して許される事はありません。」


 シズ、てめぇっ!俺がコマンド出す前に動くんじゃねぇ!俺はお前で、お前は俺なんだよ!お前1人の体じゃねぇんだぞ!

 お前が動けなかったのは俺がチートアプリを画面中央でいじっていたからであって、お前のせいじゃない!


 ノア:「じゃあ、ルシーズ以外の一族の人達はこの事で牢屋に入ったらダメですよ!」

 皇帝:「…フン。」


 何が「フン」だ。ガキじゃねぇんだから。


 ノア:「(ダメだ、どうしても聞いてくれない。)」

 「じゃあ…陛下、これは私が被害を被った事なので、私に彼の処遇と罰を決めさせてくださいませ。」


 あざす!ましなの頼んだ!


 皇帝:「ほう…ただし、甘いのでは納得せんぞ。」

 車裂きとか腰斬とかやめてね?

 ノア:「分かっております。近衛兵さん達、ストップしてくださいね。」

 近衛兵:「はっ!」


 皇女様がまだ土下座している人達に近づく。

 いやいや、さすがに解呪は無理でしょってね。古の禁術がどうのこうのっつってたから期待しない方が良い。

 そもそも解呪できるならこんな土下座までする事態にはなってないって。


 ノア:「…あの、私にかかっているものは7年で死んでしまうって呪いなんですよね?」

 魔法使い1:「はっ、はい。そういう事です。」

 ノア:「じゃあ、ルシーズに7年と3日で死んでしまう魔法をかける事は可能ですか?」

 乃愛以外:「?!」


 ちょっと待って!何それ?!


 俺の叫びなんかガン無視して皇女様は陛下にほほ笑んだ。


 ノア:「私が死んだら3日間は葬儀などがあるでしょう?その間は私の魂はここにとどまり続けるので、ルシーズが死ぬまで待てます。死後の世界まで護衛をお願いする、それで良いですよ。」

 王妃:「ノアまでそんな…」


 メンヘラはグッとくるけど、この場合はシャレにならんぞ!

 マジでハッカーの顔ぶん殴りてぇ…!

 動画のアンチか?アンチが技術身に付けて「住所特定」ならぬ「ハック先特定」しやがったのか?


 ノア:「生きている間ももちろんこれまで通り、護衛をお願いする、という事でお咎め無しです。」

 皇帝:「はっはっは、それは心強いな。」


 ノア:「(良かった、乗ってくれた。)」

 良くねぇよ!


 ノア:「じゃあ、早速…」

 魔導師1:「お待ちください!」

 このおじさんの言葉ほど俺にとっての明るい希望は無かった。

【次回予告】 オトセンがお手本のような釣りタイトルをつけるシリーズ

       この期に及んで悪あがきすルシーズ


田中:「ああっ!ルシーズじゃないのが入ってる!バグかなぁ…」

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