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うちの騎士はチートなので弱い

 まあ良い、とりあえずハッキングをやってみるか。俺は向こうからノアさんの端末を通じてこっちにハッキングを仕掛けられた場合に備えてトラップを用意した。

 その上で俺はノアさんの端末を同じ要領でハッキングし、チートをかけた。

 動画に上げる事は出来ないだろうが、終焉への提出用にもちろん録画もしている。


 「さあ…来い、迎え撃ってやる。」



♡~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡


 「皇女様、ご入場!」


 アトラスの声でルシーズと共に入場する。これから私がどこかに嫁ぐまでこれか…。

 いや、私は大国の一人娘。高齢の父と虚弱体質の母にはもう子供は望めないだろう。私ですら奇跡と言われていたのに、そうそう簡単によそへ行かせるわけもない。


 どこかの次男以降の王子か、どこかの貴族の次男以降かが入り婿の形で来るだろう。

 そうなれば、両親の事もあるから私は早めの結婚と子作りを色んな立場の人間から迫られるはずだ。そして妊娠・出産をしている内に夫が私の政権をやんわりと奪ってゆく。

 子供に手がかからなくなった頃には私は形だけの存在となるだろう。


 別に政権を奪われる事は、よっぽどの暴君暴政じゃない限り良いと思っている。私はそこまで有能じゃないし、野心も無い。優秀な人間が政権を握って遺憾なく力を発揮してくれる方が市民にとって良いと思う。

 ただ、夫が権力を持った事によって暴君であり暴政の権力者でありエネ夫となった場合に、私は誰に頼れば良いのだろう。


 男の人は自由だ。女の人よりずっと、ずっと。

 この国も例外ではない。


 ルシーズはそれでも私を守ってくれた。

 私が弱くなって、ルシーズを守れなくなっても、傍にいてくれるだろう。

 傍にいてほしい、私は縛られないままでありたい、そう言う前に彼は先回りしてくれた。

 自分が闇に染まってでも私を守ってくれた。


 私は椅子に座り、今日も笑顔を振りまく。

 ルシーズはいつものように私の斜め後ろで気配を消している。


 ほぼ全員の挨拶が終わった頃、広間の中央には大きな水晶が設置されていた。

 懐かしい…確かこれでルートを大まかに分岐するんだったっけ。


 「それでは皆様、広間中央にございます、スーパークリスタルをご覧くださいませ。」


 アトラスの指示で皆が水晶に注目する。

 水晶の周りにいかにも「魔法使い」って感じのローブを着た人達が集まって私達に向かって頭を下げていた。



♡~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡



 ノア:「(いかにも「魔法使い」って感じだな。)」


 この反応はおかしくないか、うん。細かい台詞の書かれた台本を印刷した物を確認する。田中が「初期のデータなので、オトセンさんのハックの前にあった更新で変わってるかもしれないです」と言っていたし、そう問題視する必要は無いと見た。


 王佐:「魔法協会・魔術協会より我が国の誇るべき魔導師・魔法使い・魔術師を呼び寄せました。皇女様も13歳、そろそろ縁談が持ち上がる頃でしょう。」


 会場:「(ざわめきだす)」


 王佐:「そこで、皇女様の将来を占ってほしいとの両陛下の強いご希望により、ここで皇女様を占い、祝福を授けてもらいます。」


 会場:「(歓声)」


 ノア:「(私、占いとかあまり信じないタイプなんだけど、まあ祝福は受けておくか。)」


 皇女、こんな事言わないよな?

 台本をめくってもその類の台詞は無い。ついでに付け足したのかな。


 王佐:「それでは皇女様、水晶の方へお進みくださいませ。」

 ノア:「はい。」


 皇女が立ち上がり、水晶へ近づく。騎士も近づく。

 そうだ、俺、シズにチートかけてみようかな。さっきもチートかけてて変な事になったわけだし。


 魔導師1:「皇女様、お手をお借りしても?」

 ノア:「はい。」


 手相を見るシーンは確かに原作にもある。


 魔導師1:「え~…皇女様、施政の線がございますね。」

 会場:「おお!」

 魔導師1:「そして…人間関係が大変良好と出ております…仕事では。」

 会場:「さすが皇女様!」


 魔導師2:「男性運には恵まれておりますが、その行く先は…曖昧になっておりますね。」

 魔法使い1:「今から出てくるのでしょう、手相は一生変わるのですから。」

 魔法使い2:「この水晶では、手相で分からない事も大体見る事が出来るのです。」

 ノア:「(怪しい。街でこんなの言われたら早足ですぐ退散するわ。)」


 分かる!じゃなくて!

 皇女はこんな言葉遣いをしない。やっぱりおかしい。


 魔術師1:「それでは皇女様、水晶玉へお近付きくださいませ。」

 ノア:「はい。」


 魔導師2:「我々が今から鏡で水晶玉に魔力を込めますので、白く光ったら私の合図で手を触れてくださいませ。」

 ノア:「分かりました。」

 

 5人は懐から鏡を取り出し、水晶玉に向かって光を浴びせた。

 すげえ。シャンデリアの光の反射光だけの強さだけじゃここまでならないはずだ。


 そんな事より、ハッキングされているか否かを見なければならない。俺は操作性を確認するため

ルシーズの状態を確認し始めた。



 だから気が付いた時には……もう、遅かったんだ。


 打ち合わせでは聞いていないような爆発音がして、慌ててチートプレイ用のウィンドウを下げる。

 ちょうど皇女が倒れる所をコマンド無しに動いたルシーズが水晶玉から庇うようにして支えていた。


 「うおっ?!」

【次回予告】 オトセンの尻ぬぐいをさせられルシーズ。

       皇女の心中に付き合わされルシーズ。


ルシーズ:「(『〇〇るシリーズ』って読み間違えそうですね。)」

ノア:「(テンプレ化して人々の記憶に残ろうとすルシーズシリーズ。)」

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