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第9話 国を近代化しよう!其の参

サタナス国に戻り、少し遅いがみんなで昼食を取った。

キノコたっぷり酸辣湯風雑炊だ。

魔界に帰って来てから、いきなり疲れてしまった訳だが、転生して人間ではなくなった今でも、疲れると酸っぱい物が食べたくなるのだ。


「ニーズヘッグは魔界に家があるのか?」

「僕の家は、幻獣界にあるよ」

「ん?そうなのか?じゃあ何で俺が新しい魔界の王って知ってたんだ?」

「ケートスから聞いたんだよ、幻獣界では結構噂になってるよ」

(ケートス…何処かで聞いた事あるような…)

「ねぇ魔王様!初めて食べたけどコレ美味しいね♪何て食べ物なの?」

「コレは俺が適当に作ったゴハンだがら、特に名前は無いよ。名前といえば、俺の事は魔王様じゃなくてグルナでいいぞ」


ニーズヘッグ…よく考えたら有名な魔獣だ。

この世に1体しか存在しないかも知れないが、ニーズヘッグとは種族名の様なもので、個体名では無いのではなかろうか…失礼な話だが、非常に物騒だ。

違う名前を付けてみよう!


「なぁ、ニーズヘッグ?名前が少し呼びにくいから魔界での名前を付けたいんだが」

「え!?グルナ様が名前を付けてくれるの?」


どうやら問題無い様なので、名前を付ける事になった。

見た目は可愛らしい幼い美少年…しかし、その正体は、超凶暴な魔獣(しかも大食漢)…


「グルナ様、可愛い名前付けてね♪」

「可愛い名前じゃなくて、男らしいカッコいい名前の方が良くないか?」

「グルナ様、僕は女の子なんだけど…」

「えーーーーーー!!!?」



…………………………………



森の国。


まさかだ…魔界に帰って10時間も経たないうちに、森の国へ戻る事になるとは思わなかった。

何故、戻ったかと言うと、勿論ニーズヘッグの女の子発言が原因だ。女の子だと言い張るので、名前は”メリア”にしたが、とてもボーイッシュなのだ。

ちなみに、メリアという名前は、ミツバチの意味だ。可愛らしいが触ると危険というイメージで付けた。

その見た目だが、髪はショートボブ、魔力で具現化しているであろう服も男の子そのものだ。

森の国では、刹那の裁縫技術を習得した腕のいい職人が多数在籍している。

当然、服屋も多く、他国から商人が仕入れに来る程なのだ。

女装…いや、訂正しよう。女の子らしい服装をさせてみようと思ったのだ。


「グルナ、おかえり!早かったな!」

「ただいま…また直ぐに戻るけどな」

「こんにちは!ディーテ様でしょ?ケートスから聞いてるよ♪」

「ん?ケートスの知り合いなのか?」


メリア(ニーズヘッグ)は、幻獣界の住人。

最上位の幻獣は自らの意思で、違う世界に行く事も出来るらしいが、基本的には召喚者と契約し、異界で短時間活動するのだ。

ケートスとは、かなり前の話だが、森の国の魔物や精霊達が隣国に連れ去られる事件が起き、その救出作戦で活躍したドラゴンの様な海の魔獣だ。


「そうそう、知り合いなんだ♪ケートスは、とっても美味しい魔力をビックリする位もらったって喜んでたよ♪」


美味しい魔力と不味い魔力がある様だ。

そんな事は、今はどうでもいい。とにかく服だ。


「ディーテ、すまないがメリアに服を見繕ってやって欲しい」

「いいのか!?メリア!ファッションショーだ!行くぞ!!」


ディーテはメリアと城下町に消えていった。

性別を伝えていないのがミソだ。暫く待つとしよう。

2人の帰りを待っていると、ミダスがやって来た。


「グルナ、まだ魔界に帰ってなかったのか?まぁ丁度いい、1つ完成したから魔界で使ってみろ」


ミダスが持って来たのは製麺機。操作の説明をしてもらい魔界で試運転だ。

研修中のみんなの様子を見て周り、喫茶店で待っていると、2人が帰って来た。


「どうだ?可愛くなったろ?」

「マジか…」


男の子だと思っていたが、メリアはすっかり可愛らしい女の子に生まれ変わって…否、本来の姿になって帰って来た。

服が変わるだけで、ここまで印象が変わるとは…


「グルナ様、僕が女の子だって信じてくれた?」

「…う、うん。ごめんね、信じた」


メリアに謝罪し、魔界へ戻ったのであった。


…………………………………………………



魔界に戻り、数日が過ぎた。


城から程近い場所に建設中の商店街。その一角にある完成したばかりの店舗で、俺はフルフルと作業をしていた。

ラーメン屋の開店準備である。

麺は、ミダスが作った製麺機で小麦粉を捏ねる所からオートで出来るので楽だ。ストレートやちぢれ麺等好みの麺が作れる所も流石だ。

問題はスープなのだが、こればかりは試行錯誤しながらクオリティを上げるしかない。


寸胴に白湯ガラスープ、その横では魔界の湖で捕れる巨大伊勢海老モドキの頭や殻を炙り、粉々に砕き出汁を取る。

別の寸胴では、下処理した魔牛の骨を玉葱や長葱、生姜などと一緒に煮込んでいる。


アクを取ったり、濾したりする作業をフルフルにお願いし、俺は別の店舗へ。

住民達の居住区にも、商店街の中にも展開するのは喫茶店だ。

内装はレトロな雰囲気で居心地のいい昔ながらの喫茶店から、お洒落なカフェまで様々だ。もう時期、内装工事も終わり引き渡される予定だ。

メニューや備品の確認を行い、ファムと商談をする。


「何か変な感じやな、グルナはんと商談とか緊張するわ」

「あっちの世界の国々と直接取引したいけど、今は実績が無いからな。ファムが頼りだ」


試行錯誤と同時進行で行われたのは、従業員の募集だ。

一定期間求人し、ある程度の人数が集まったら、合同で接客などの研修を行う。ラーメン屋の指導を担当するのは、軍神アレス。

喫茶店はカラが指導する。

アレスは森の国の幹部の1人。

漢気に溢れる勇敢な戦士だ。熱血指導になるだろう。


試行錯誤や店の準備を行い、あっという間に、森の国へ研修に行ったみんなが帰って来る日がやって来た。

森の国からも、開店前後の応援を派遣してもらい、ベテランが居る間に諸々の問題に対する対応を覚えてもらう。

とても有り難い。

宿泊施設が完成していないので、森の国から来てくれたメンバーは城の客室を使ってもらう予定だ。

気になる給料だが、森の国から来てもらっている者には俺の貯蓄から報酬を払い、受肉して働いている魔界の住民達には、今月から給料を支給している。

ちなみに、入浴券は廃止し、今は無料で解放してある。

住民が受肉し終え、働き始めたら給料から税金を徴収し、温泉の運営や様々な用途に使わせてもらう予定だ。

今は全ての仕事が国営だが、そのうち、自分で起業する者も出てくると思うので非常に楽しみだ。


《ご主人様ー!オルフェ様が魔界に招待しろって言ってるよー?》


ムックである。

ムックの分裂体は、あちらの世界の王の元に散らばっている。そして、各国の王は要件をムックの分裂体に伝言を頼むと、それを俺の傍に居るムックの本体が直に伝えて来るのだ。

便利だ。

まだ何も無いが、招待しよう。


後日、魔王オルフェ夫妻がサタナス国を訪問する事になった。


今は内向きの開発しかしてません⸜( ´ ꒳ ` )⸝

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