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第78話 アルトミアの牝鹿を捕獲せよ!

アルトミアの城に到着した子供達を家臣達が出迎えてくれた。

何処と無く落ち着かない様子の家臣達。


「この度は、この様な雑用を引き受けて下さりありがとうございます……我々としましては恐縮の極みでございます」

「ん?引き受けたのは父さんだけど、僕達頑張るよー!」

「ありがとうございます。それと、1つ気掛かりな事がございます。

皆様は、かなりの頻度で城に宿泊されていますが、精神的に問題はありませんか?」

「僕達は大丈夫ですよ」

「そうそう!クロエはボロボロになって朝帰りするけど、大丈夫だよな?」

「うん!私アルトミア様大好きだから全然大丈夫♡」


いい子達であった。


王の間に行くと、元気の無いアルトミアの姿。


「アルトミア様?」

「お前達……待っておったぞ……」


あまりの元気の無さに心配になる子供達。

理由を聞くと、逃げた牝鹿が4日後までに捕獲されないと不味いらしい。

少し、鳥退治が長引きすぎた様だ。


「1週間後に、我が国で収穫祭がある……

そこで、天空神への供物として捧げられる予定なのが逃げた牝鹿なのじゃ」


クリアの条件は生け捕りである。

儀式で身を清めた者が、専用の道具で牝鹿を天に送らなくてはならないらしく、その後の処理も厳密に手順が決まっているらしい。


「決して殺してはならぬぞ」

「「はーい!!」」


アルトミアの話では、鹿は黄金の角が生えているらしい。

子供達は、早速森へ向かった。


「時間が無いわね」

「水場に行ってみよう!」


暫く森を進むと、小さな湖があった。

息を潜め、周囲を見渡すと対岸に金色の角を持つ鹿が見えた。


(すんなり見つかったな!)

(うん、後はどうやって捕まえるかだね)


ヒソヒソと会議を行っていた時、クロエは鹿と目が合った様な気がした。

(ねぇ……こっち見てない?)

((え?))


気のせいでは無かった。

明らかに、鹿は気付いていたのだ。

逃げるではなく、前足で地面を掻き……戦闘態勢の牝鹿。

子供達は息を飲んだ。

対岸に居る鹿との距離は、直線距離で凡そ150m。

(ねぇ、怒ってない?)

(……気のせいだろ、まだ何もしてないし)

(作戦も決まってないし、一旦退きましょうか)


その時、鹿は猛烈な勢いで走り出した。

水面を疾走する鹿。

(き……来たっ!!)

(いやーーー!!)


逃げ遅れたオリオンは、吹き飛ばされ森の彼方へ。

ちりじりに逃げ惑う子供達を、鹿は執拗に追跡し森の彼方へ吹き飛ばした。

飛燕の……いや、閃光の如く突進をする鹿に子供達は恐怖したのだった。


翌朝。

向かってくるならと、巨大な捕獲用の網と痺れ薬を塗った矢を持って森へ入る子供達。

湖の近くで罠を設置し、鹿の登場を待つ。

暫くすると、鹿はやって来た。

(多分気付いてるぞ。俺が囮になるから、ヤツが突っ込んで来たら網でグルグル巻にして、一斉に矢を撃ち込んでやるんだ!)


オリオンが囮になり、鹿を誘き寄せる。

かなり攻撃的な鹿なので警戒はしないだろうという予想通り、猛烈な勢いで水面を疾走し、罠の方へ向かって来た。

(来やがったな!鹿公!!)


限界まで鹿を引き付け、オリオンが身を躱すと同時に、鹿目掛けて大量の捕獲網が放たれた。

思惑通りグルグル巻になった鹿に矢を放つ子供達だったが、捕獲は失敗した。


毒・麻痺耐性


鹿は薬が効かないばかりか、網を引きちぎり何事も無かったかの様に逃走したのだ。

(反則じゃねぇか……)


更に翌朝。

期限まで後1日、子供達はアダマス鋼で作った捕獲用の檻や、強固な土魔法等々……

有りとあらゆる方法で鹿の捕獲を試みた。

しかし、檻は破壊され魔法も突破する凶悪な鹿に為す術はなかった。

あと1日しかない状況に、子供達は未だかつて無い程に焦っていた。


「あれだけ活きがよかったら、普通に攻撃しても大丈夫なんじゃないか?」

「うーん、万が一がありますからね……」

「生け捕りって難しいね」

「……もう最後の手段を使うしかないわね」


子供達は、アルトミアに大きな魔晶石を用意してもらい全員で魔力を込め始めた。

遅くとも、明日の夕方には捕獲しなくてはならないので、森の国で濃い目のネクタルを買い、魔力を回復しては魔晶石に込めるを寝ずに繰り返した。


「……もういいんじゃないか?」

「……うん、いいと思う」

「………………。」

(もう体が動かない……)

「……じゃあ、オリオン。お願いします」


”神竜降臨!!”


幻獣召喚である。

魔力量の多い子供達が、時間の許す限り四人で魔力を込めて、ようやく召喚可能な幻獣とは……


そう、竜王バハムート(実の母)である。


グルナから手を出すなと言われているアリスであったが、召喚されたのならば仕方無い。


「抜け穴に気付いていたか……」

「はぁ…まったく……まさか私を召喚するなんてね。

規定の魔力を満たしてる。行かない訳にはいかないわ」


とか言いつつも、竜化し子供達の元へ大喜びで飛び立って行ったのであった。


暫くすると、子供達の前に全長200m程の巨大なドラゴンが降臨した。

※魔界の王妃アリスである。


『小さき者達よ、望みを言うがいい』

※魔界の王妃(オリオンの実の母)アリスである。


「あの鹿を捕まえて欲しい!!」

『オリ……小さき者達よ!!任せるがいいっ!!』


鹿を発見したバハムートは、鋼の尻尾で大地を砕いた。

大木や岩と共に、宙に巻き上げられた鹿を傷付けない様に摘まむバハムート。

鹿を口元に近付け、威圧を込めて囁く。


”おい……絶対に逃げるなよ?”


白目になり動かなくなった鹿を城に運び、再び子供達の元へ帰って来ると、バハムートはチーズケーキを渡し飛び立って行った。


『小さき者達よ!また呼ぶのだ!何度でも呼ぶがいい!』

(24時間体制で待ってる//)


と言い残して。


「やっぱ母さん強えぇな」

「ドラゴンの姿も綺麗だったね♡」

「このチーズケーキ美味しいです//」


城に戻ると、大変な騒ぎになっていたのは言うまでもない。


「グルナよ、バハムートを召喚するのはオケ?」

「……無し寄りのアリだ」

「…………」


無しだろ……。とアルトミアは思ったが、無事に収穫祭を行えるのでクエストクリアとした。

第5の試練をクリアした子供達は、マカリオス王国の収穫祭を楽しみ、魔界へと旅立ったのであった。

無事、第5の試練をクリアし、魔界に向かった子供達。

困っている人を見付けては助けてまわるが、クリア出来ない。

行き詰まった子供達の元に、幹部の1人ビオンが現れる……

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