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第72話 単独クエスト ラクレスVS巨神族

てか、あの”神眼”って何なんだよ……

ディーテが言うには、誕生日から1週間が過ぎた頃に発現した能力なのだとか。

瞳に十字架が浮き上がり、状態異常の解除や治療をする事が出来る支援型の能力で魔法では無いらしい。

おかげで課題1は難無く突破されてしまった訳だが、問題ない。

課題2の人選は、極度の負けず嫌いや手加減を知らない者ばかりを選んだつもりだ。


一行と別れたラクレスは、ネモフィラ連邦国首都にある巨神族の神殿に到着していた。


「クレイオス様!こんにちは!」

「おー!ラクレス!よく来たのぉ!って昨日も遊びに来たんじゃったな」

「知ってるでしょ?今日はクレイオス様と戦いに来たこと」

「……ラクレスよ。長く生きているが、そんな儂でも知らない事が沢山あるんじゃ」

「ん?神様も知らない事があるの?」

「うむ、その中の1つは……手加減じゃ」


次第に高まるクレイオスの魔力は、嘗て母から聞いた事がある御伽噺……父と死闘を繰り広げたという元地上世界の支配者そのもの。

俄に胡散臭く思っていた自分の、クレイオスに対するイメージは消え失せ、御伽噺の登場人物と合致した。

不死の肉体を持ち、嘗ては天空の神々と争っていたと云われる巨神族。

その族長が、今まさに本気で自分の相手をしようとしている。

ラクレスは、自分は頭がおかしいのかも知れないと思っていた。

状況は、人生最悪。

なのに……


”なのに、何でこんなにワクワクしてんだ?”


ラクレスの武器は、肉厚な両手持ちのロングソード。

材質は神の金属、それに父と母が魔力を込めて仕上げた唯一無二の剣であり、正にレガリア。


「準備は良さそうじゃな」

「うん、いつでもい……」


一瞬見えた巨大な拳……

辛うじてガードするも骨が軋む程の衝撃がラクレスを襲った。


「聞いてた通りだ……クレイオス様すごく強いね!」

「無邪気じゃな」

(見えておったか……)


更にスピードを上げるクレイオスの剛拳。

その拳は、巨岩をいとも簡単に粉砕し地を揺らす。

しかし、恐るべきはラクレス。

転移魔法と見紛うスピードで拳を躱すと、剣の刃と呼べる部分全て……つまり鎺から切っ先までをフルに使った


”渾身の引き斬り!!”


クレイオスの脇の部分に添えられた剣は、容赦無くスライドした。


(クレイオス様ごめんなさい!治療するから許して)


腕の切断は免れない斬撃。

勝利を確信したラクレスだったが、次の瞬間、脇腹に激痛が走った。


「息の根を止めるまで油断してはならぬぞ」

「!!?」


”え?斬れてない……”


今まで、斬れないものなど無かった。

触れてもいないのに斬れた事もあった。

しかし、クレイオスは紛れもなく無傷……


「ラクレスよ。儂に単なる物理攻撃は通じぬ」

「そんなっ……」


(まだ脇腹に痛みが残っている……折れちゃったかも)


壊れた脇腹に、追撃の剛拳が炸裂する。


「ッッッッ!!?」


滅多打ち……辛うじて正中線はガードしているものの、クレイオスの剛拳は破壊の力そのもの。

当たった部分は急所と化す。


「今日は、この辺で終わりにしておくか?」

「クレイオス様……僕が、この程度で壊れちゃうと思ってんの?」

「…………?」

「クレイオス様と戦うのは、今日が最初で最後だよ」

(言っちゃったけど、どうしよう!!

オルフェ叔父さんは斬撃で勝ったらしいけど、それは”神の血(イコル)”と呼ばれる神の能力で顕現させた”蒼き煉獄の鎌”……

お父さんは殴り勝ったらしいけど、それも神の血(イコル)”雷霆”……僕には使えない能力だ

魔法もクレイオス様にしてみれば微風程度かも知れない)


「当分リベンジ出来ない身体になるぞ?」

「クレイオス様、僕はネモフィラ連邦国の王になるんだよ?

僕は国民には優しく接したいな」

「…………?」

「クレイオス様も国民だよね?

この戦い、クレイオス様を壊さずに優しく終わらせてあげる」

「それは有り難いな!じゃが、その手心は一歩間違えば死を招くぞ!!」

(じゃが、何をするのか興味深いのぉ)


剣を地面に突き刺し、構えるラクレス。


「儂相手に徒手空拳とは…….その無謀な勇気に免じて一瞬で楽にしてやるわい!!」


”闘神化と神眼……発動”


迫り来る剛拳を躱し、背後をとるラクレス。

その腕は、クレイオスの首に掛かっていた。

(裸絞じゃと?そんなものは通用せんぞっ!!出直すがいい!!)


「いくよー!!」

「ヴォッ!!!?…………。」


全身を同時駆動させ、全力で締め上げるラクレスの腕は、クレイオスの意識を飛ばすには十分過ぎる程、首にめり込んでいた。

闘神化による身体能力の大幅な上昇と、捕獲したクレイオスの首に集中的に浴びせ、物理絶対防御の源である魔力の流れを乱し、断ち切った”神眼”の能力。

ほんの一瞬……一部とはいえ、物理絶対防御を無効化されたクレイオスの意識は冥府を彷徨った。


「うー、身体中が痛い……。

クレイオス様、宣言通り今日が最初で最後だからね!」


10分程が過ぎ、クレイオスの意識が戻った。

息苦しさを味わいながら意識が途切れるのではなく、文字通り一瞬で意識を絶たれたクレイオスは状況がよく分からなかった。


「クレイオス様?そんなにぐっすり寝てたら僕に殺されちゃうかも知れないよ?」

「……そうじゃな。儂は、もう死んでいるのじゃろうな」

「僕の勝ちでいい?」

「そうじゃ、ラクレスの勝ちじゃ」

(グルナよ、成長が楽しみじゃな)


クレイオスやっぱり強えぇ!!

そのクレイオスに勝ったラクレス!さすがは我が子だ。

まぁ、クレイオスの物理無効を忘れてて、ハラハラしたのは此処だけの話だ。


「グルナ、ラクレス逞しくなったな……」

「あぁ、立派に育ってる」

「私はラクレスの治療してくるぞ!また後でな!」


肋骨や手の甲など、無数に完全骨折。

全身余すとこなく、内出血と亀裂骨折。

ディーテは大急ぎでラクレスの元へ駆け付け、最上位回復魔法で傷を癒した。


課題2、ラクレス勝利。

クレイオスとの戦いで満身創痍となったラクレス。

そこまで激しい戦いだと知る由もないクロエは、自称最強魔王アルトミアの元を訪れる。

アルトミアの魔力に圧倒され、諦めかけたクロエだが……

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