表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/132

第71話 始まり

今日は、オリオンとクロエの誕生日だ。

アリスとリリアは、ケーキとご馳走を用意し、家族水入らずで今日を祝う。


「父さん、俺も今日で15歳だ。いい加減子離れしてくれよ?」

「パパ!子離れしなくていいよ!私はもう少し甘えさせてもらうつもりだし♡」


頼もしい……そして可愛い……

15歳で成人。そう勝手に決めたのだが、そんな節目に渡すプレゼントを勝手に決める訳にはいかない。

ムックに探りを入れさせつつ、王妃達と相談し誕生日プレゼントを決めたのだが……

2人が欲していたのは武器と防具であった。


「2人は武器と防具が欲しいらしいけど……いいのかな?」

「だんな様、最高の装備をお願いしますね//」

「旦那様、普段使いも出来る物がいいと思うよ!」

「…………」

(クロエは女の子なのだが……それは気にしないのか)


武器と防具は、国宝級鍛治職人フェレットに依頼し、マントと外套はエキドナと刹那に依頼した。

きっと素晴らしい装備を作ってくれるだろう。

そう思っていた。


誕生日の1週間前。

依頼していた”ブツ”が届いた。


王子用。

王女用。

(…………)

届いた武具を検品しようと箱を開けると、超高純度ビトラス(神の金属)で作られた、戦棍(メイス)と太刀……

同じく神の金属で作られた軽装鎧が2セット……

(クロエは女の子なのだが……)


漆黒のマントは、ピュトンの猛毒で変異させた魔物糸で編み込まれた逸品。

因みに、この魔物糸は髪の毛の半分程の繊維だが、1本で数十トンの張力を持ち、防刃は勿論、魔法防御も桁違いだ。

外套は、神殺しの力を得ると云われる神話の魔物オピオタウロスの毛皮で作られていた。

地上世界で保管されていたのは知っていたが、まさか使うとは思わなかったな……

どちらも比肩する物が無い程の防御力だろう。

(てか、これ幾らするんだ……)


食事を終え、心做しかソワソワしている2人


「お父さんとお母さんから、2人にプレゼントだ」

「「!?開けていい!?」」


……うっとり♡


「綺麗な刀……これを血で染めてしまうなんて勿体無いわ♡」


漆黒の刀身から禍々しい輝きを放つ太刀を眺めながら溜息を吐くクロエ。

(……よかったのだろうか)


戦棍(メイス)だ!!父さん、母さんありがとう!」

(気に入ったんだ……)


「これでセレネをボッコボコにしてやるぜ!!」


オリオンは、何故かセレネを目の敵にしているのだ。

理由は分からないが、週に1度は地上世界に行き、セレネに勝負を挑んでいる。

セレネは軍の格闘教官であり、森の国で行われたオリンピックの最終種目パンクラチオンで、無傷で決勝まで勝ち上がった猛者だ。

当然だが、オリオンはボコボコにされて帰って来る。

セレネも戦棍(メイス)を使うので、メイス=強い武器という認識なのだろう。


「お礼を言いに行かなきゃ!オリオン?明日早起きだよ?」

「おう!」

「あ、明日は魔界にみんな来る事になってるから、その時にお礼を言ったらいいよ」

「「そうなの?」」


その後、ファッションショーをしたりと、賑やかに夜は更けていった。



……………………………………………



翌日。


今日は、試練を課す日だ。

予告などしていない。強制的に国から出て行かせるのだ。

サタナス国には、各世界から重鎮が見送りに訪れていた。


挨拶を済ませた子供達を集め、試練について話を始める。


「心して聴くがいい。全員が15歳の誕生日を迎え、成人と看做される年齢に達した。何れは国を治め、民を護る立場となるお前達に、12の試練を課す」

「「…………」」

「見事成し遂げ、全ての者に認めさせるがいい」


オリオンとクロエだけでなく、勿論ラクレスと、魔王オルフェの息子ディオニスも試練を課せられる。


「みんなで力を合わせて成し遂げるんだぞ?単独クエストもある、頑張れ」

「「はーい!!」」


内容が記された紙を受け取ると、子供達は元気に旅立って行った。

(普通に旅立って行ったな……)


「アンラ・マンユ。本当に1年後なのか?」

「心配するな、ヨグ=ソトース情報だ。間違いない」



………………………………………



国を出た子供達は、その内容を確認していた。


【課題1】

邪龍ファフニールの呪われた財宝を回収せよ。

【達成条件】

呪いの解除


【課題2】※単独クエスト

勝利せよ。


ラクレスVS巨神族クレイオス

ディオニスVS魔王軍デアシア

オリオンVS特殊作戦軍アレス

クロエVS魔王アルトミア


【達成条件】

相手の敗北宣言


【課題3】

天空神ゼウスの神殿を掃除せよ。


【達成条件】

感謝の言葉をもらう


【課題4】

畑を荒らす鳥を退治せよ。


【達成条件】

鳥の討伐


【課題5】

アルトミアの牝鹿を捕獲せよ。


【達成条件】

生け捕り


【課題6】

魔界で困っている人を見つけ助けよ。


【達成条件】

感謝の言葉をもらう



【課題7】

幻獣王リヴァイアサンの元で修行せよ。


【達成条件】

能力解放


【課題8】

サタナス国に戻り、魔王と幹部4名を討伐せよ。


【達成条件】

魔王と幹部の殺害


【課題9】※単独クエスト

従者を見つけ契約せよ。


【達成条件】

心の絆の構築


【課題10】

美味しいキノコを採取せよ。


【達成条件】

魔王パーシスにキノコを献上


【課題11】

海の魔物を討伐せよ。


【達成条件】

海の魔物に勝利


【課題12】

未開の地を踏破せよ。


【達成条件】

????


「「…………」」

「いきなりの事で驚いたけど、なんかボーナスステージ多いな!」

「でも課題2とか、私アルトミア様と戦わないといけないよ?」

「僕は、アデシア様です……邪神の誰かの頭を吹き飛ばした人ですよね?」

「俺はアレスとだ、ボーナスステージだな!

ラクレスはクレイオス様か」

「うん!元地上世界の支配者が相手か!楽しみだなー」

「ねぇ、課題8おかしくない?」


”魔王と幹部の殺害”


「何かの間違いだといいけど……」

「1年以内に課題8に辿り着けって言ってたな……蘇生の術式必須だったりして」

「その前に、パパを殺すなんてイヤ!無ー理ー!」


キャーキャー♪ワイワイ♪


「よーし!早速、旅の資金を稼がせてもらおう!」

「ラクレス、呪いの解除しないと持ち出せないらしいぞ」

「ん?楽勝だよ?」



…………………………………………



邪龍ファフニールの財宝が眠る洞窟に辿り着いた子供達。

そこに眠る財宝は、持ち出す者の命を奪う死の呪い。

並の魔法では解除不可能な強力な呪いであり、魔王の子供達とはいえ解除する事は出来ないだろう。

しかし、試練の中に不可能なものは無い。

自分達で解決出来ない事は、周りに協力してもらえばいいのだ。

俺は解呪の術式を記した紙を、洞窟近くの湖を守る白龍プリドルに渡してある。

その術式を、4人の魔力を合わせて発動させれば解呪出来るのだが……


「僕に任せて!”神眼”発動!」


みるみる解呪されていく財宝……

ラクレスの発動させた”神眼”は見たものの呪いや毒、身体強化魔法を解除する(らしい)


「呪いとか毒とかの解除は得意なんだ」

「ラクレス、お前すげぇな……」

「攻撃魔法とかは全然なんだけどね……」

「すごーい♪攻撃魔法なんて、その内出来る様になるよ!白系の魔法の方が難しいんだから!」

「次は単独クエストです!財宝を山分けして早速向かいましょう!」


財宝を山分けした子供達は、各々の対戦相手の元へ旅立って行ったのであった。


その日の夜。


「なかなか来ませんね……」


プリドルは待ち惚けていた。



…………………………………………



ネモフィラ連邦国、アレス領。


「くっ……」


ポタ…ポタ……

鼻血を流すオリオン。


「坊ちゃん……その程度じゃ俺には敵いませんぜ?」

「……あ!?」

(ボーナスステージと思っていたが、特殊作戦軍アレス……コイツは強ぇ……)



マカリオス王国。


「クロエよ、待っておったぞ」


王の間に充満する圧倒的な魔力。

その魔力に解放された魔王アルトミアの覇気が上乗せされ、クロエを襲っていた。


「アルトミア様、2人きりでお会いするのは初めてですわね」

(なんなの!?この魔力は……押し潰されそう)



ネモフィラ連邦国、巨神族神殿。


「ラクレスよ。長く生きているが、こんな儂も知らない事が沢山あるのじゃ」

「ん?神様も知らない事があるの?」

「うむ、その中の1つは……手加減じゃ」



サタナス国、郊外。


肩を撃ち抜かれたディオニスの額に、大型拳銃の銃口が押し付けられていた。


「ディオニス様、お会いできて光栄です。

私は、サタナス国軍特殊部隊所属 デアシアと申します。

私の任務は、ディオニス様と戦う事……」


ディオニスの額を冷たい汗が伝った。


「それだけです。殺すなとは命令されておりません」


直後、引き金は引かれた。

最初の課題を余裕でクリアした子供達。

しかし、第2の課題で認識の甘さを身体に刻み込まれる事に……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ