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第7話 国を近代化しよう!其の弍

魔界に戻り、着手したのは各責任者の選定と任命だ。

完全に忘れていたが治安維持と国境警備、それに作物の生産と街の開発を指揮する者が必要だ。

今まで国境の警備などはどうしてたのかと思ったが、どうやらサタンが怖すぎて誰も攻めて来なかったらしい。

納得だ。確かにサタンはヤバかった…


だが今は、サタンが王ではないのだ。新参者の俺では分からない事が多過ぎるので決めなくてはならない。

俺が名前を付けたサタンの旧家臣達は、各々が軍団を持っているらしいので、誰に丸投げしても良さそうだが…


「ベレトは国土安全保障部門を担当してもらう。街の治安維持と国境警備が主な仕事だ。おまけで他国からのスパイも取り締まるんだ」

「お任せ下さい!!」


次は、街の開発だが…


「ライカには住宅開発部門を担当してもらう。後で、今後の計画を伝えるから、それに沿って事を進めてくれ」

「喜んでお受け致しますわ!」


作物の生産、その管理だが…

毎日、畑に行ってる悪魔が居たのだ。

アミィと名付けた悪魔で、見た目は小柄なわんぱく坊主だ。


「作物の管理は、アミィに任せるぞ。

トムから色々教わるといい」

「やったー!頑張ります!」


国土安全保障長官 ベレト

住宅都市開発長官 ライカ

農務長官 アミィ

と決まった。


軍と財務は俺の直轄にするとして、当分は保留にしておく。他の配下達も日々の様子を見て、適した役を付けていくつもりだ。

早速、ライカに今後の計画を伝え、再開発を始めてもらう。

当然、区画整理をしないといけないのだが…

住民達が住んでいる家は、良く言えば雪洞…かまくらだ。

正確には、土を魔法で固めて作ったかまくらなのだ。城がおから工事という事は、民家はそれ以下なのは想像に難しくない。

ちなみに、家の中にあるのは椅子と机ぐらいだそうだ。

是非、この機会に建て替えるべきだと思う。


だが、今、住んでいる家に愛着があるかも知れないので意見を聞いてみると…反対されるかと思っていたが、城の完成度を見て、家の作り方を教えて欲しいと大勢の住民が建て替えに賛成だったのだ。

受肉した住人も、かなり増えたので魔導器(うつわ)作り以外にも人手を割ける様になっている。

手分けして作業開始だ。


こうして住居の建設も始まったのであった。


ライカは、ドワーフのクラティスや亜人達と協力して順調に建設を進めている。

俺は一旦森の国に戻り、ディーテ女王に進捗を報告だ。



……………………………………



森の国。


「いいか?この世界では、俺は王じゃない。俺より偉い人が沢山居るから、そのつもりでな」

「承知しました!」


そう、最初に転生した世界。

その世界では、俺は幹部の1人にすぎない。

そして、家に帰れば…俺は野党だ。


「グルナ!おかえり!魔界はどうだ?」

「今の所、順調だよ」

「紹介しないとな。此方が森の国の女王で、俺の妻のディーテだ」

「ディーテ様、初めまして。私リリアと申します、魔界でグルナ様の秘書をさせて頂いております」

「リリア、よろしくな!この子、すごい美人だな♪」


その日、森の族長達やセレネも交えて夕食を摂った。

セレネは、ハイエルフ族のお姫様にして森の国の守護神。

最強結界”破邪の盾(アイギス)”を使う守りの要だ。

一緒に魔界に行きたそうだったが、国の防衛は疎かに出来ないので、今回は留守番している。

今度、カラと交代で魔界に連れて行ってあげよう。

魔界の開発具合や今後の予定を報告し、その日は森の国で1泊する事になった。

リリアは温泉旅館のスイートルーム的な部屋にムックと泊まってもらい、俺は勿論、”自宅”だ。


「何で早く気付かなかったんだろう…」

「ん?何がだ?」

「こうやって一緒に眠るのが、こんなに心地良い事に…」


結婚する前の話だが、ディーテは

「私は処女(おとめ)だから結婚するまでは、同じ部屋で寝るけどベッドは別々だぞ!」

と言っていたのだ。

そう言っていたのが懐かしい。

今では、2つ有ったベッドが、大きな1つのベッドになり、一緒に寝ている。

ディーテは腕枕、背中にはアザゼルがくっ付いている。

とても幸せだ。


たまに魔界から帰り、こんな時間を過ごしていると…正直、魔界には、たまに顔出す程度でいいのでは?と思ってしまう。

俺は何時になったら、魔界の王として自覚するのだろうか…

まだまだ、これからなのだ。

目を閉じ…静かに内省するのであった。



……………………………………



翌朝。


リリアは、極上のマッサージ体験とムックとのおしゃべりを楽しみ、最上級の部屋を満喫したそうだ。

ミダスの進捗を確認し、ドワーフの国に依頼しておいた貨幣を引き取った。

空間収納は非常に便利だ。

魔界に帰ったら、配下の中から数名を森の国とヘルモス王国へ研修に出そうと思っている。

森の国では飲食店での接客や衛生管理、調理を習得し、ヘルモス王国では裁縫技術を身に付けてもらう。

実際に体験してもらうのが手っ取り早いのだ。


早速、森の国にベレト達と側近を呼び、各施設に行ってもらう。

軍での戦闘訓練は上杉にお願いし、接客や調理はエキドナの配下のラミア達。

ヘルモス王国での裁縫技術は刹那にお願いする事にした。

上杉とは、森の国の地上軍司令官にしてオーガ族最強の戦士。森の国が出来る前から俺の配下だ。

エキドナは、ラミア族を配下に持つ半人半蛇の精霊だ。ラミアの様な見た目だが別物である。


訓練所ではアマゾネスの部隊が整列し、素振りの稽古を行っていた。

普段使う剣よりも重たい剣を振るのだが、腕の力に頼る事無く、動きに柔らかさを感じるものの、速く、そして美しいフォームで様々な斬撃を反復している。

号令に合わせて行われる一糸乱れぬ動作は、まさに精鋭である。


俺は、裁縫技術を学ぶ予定のみんなとヘルモス王国へ向かった。


「グルナ、久しいな。魔界の方は順調か?」


わざわざ出迎えてくれたのは、国王の魔王オルフェ。

ヘルモス王国の王にして魔王。そして、冥界の王でもあるオルフェ。見た目は非常に悪そうな感じなので悪魔達はビビっているが良い奴なのだ。

ちなみに、俺の実の兄に当たる存在である。


「グルナ様、お久しぶりです♪」


刹那も出迎えに来てくれた。

魔界へ挨拶に行く時に装備した、ジャパニーズマフィアの様なスーツを準備してくれたオーガ族の姫だ。

元森の国の住人。今はヘルモス王国の王妃としてオルフェを支えている。

小柄で美しい姫だが、ある日発現した固有スキル”蝙蝠化”の影響で犬歯が少し伸び、可愛さ200%upしている。


「是非、刹那の技術を学ばせてもらいたい」

「喜んで♪」


魔界にも糸の原料は有るだろうという事で、ヘルモス王国では糸を紡ぐ技術から習得してもらう予定だ。

期間は3ヶ月。

みんなが魔界に帰って来る日が待ち遠しい。


みんなを預け、俺は魔界に戻ったのだが、ある問題が発生していたのである…


魔界の開発をグイグイ進めて行きます(๑• ̀д•́ )✧

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