第68話 [家族会議] 妻達の監視の手を緩めさせよう!!
アンラ・マンユを始末したグルナは、城に戻りシェイドの監視を緩めさせようと、王妃達と真剣に話をしようと試みます( ˙꒳˙ )
アンラ・マンユを始末し、俺は足早に森の国の城へ向かった。
頼んでおいた通り、城には魔界の王妃達も到着し俺を待っていたが、皆俯いて、気まずい顔をしている。
俺が怒っていると思っているのだろうか。
俺は、怒ってはいない。
ただ、話がしたいだけなのだ。
「グルナ、怒っちゃったか?」
「……だんな様、ごめんなさい」
「旦那様、私達は悪い虫が付かないか心配なの……」
心配か……。
少しだけ溜め息が出たが不快ではない。
寧ろ、心配なのは俺の方なのだ。
ちゃんと返せているのだろうか?とか、平等に愛を注いでいる”つもり”になっているだけかも知れないとか……
今回は神の悪戯が原因な訳だが、彼女達の心の何処かに、疑いや不安が少なからず有ったからこそ、精霊を新たに派遣する事態になった。
つまり、行動を起こさせたのは、俺の配慮が足りなかったという事でもあるのだ。
「そんなに心配か?」
「「「心配だし不安なの!!!だってみんなに優しいから勘違いさせちゃうかもでしょ!?」」」
「おふっ……ごめんね……」
申し訳ないが、俺はツンツンする性格じゃないのだ。誰も得しないだろうし、目障りな存在と化すだろう
ツンツンしてても許されるのは、妖艶な小悪魔だけなのである。
話が逸れたが、王妃達は心配と不安を感じていて、決して疑っている訳では無いと言うのだが、それを解決する為に他人に迷惑が掛かってしまうのは良くないだろう。
「俺は、心配な事は有るけど不安を感じてはないんだ。不安ってのは自由の目眩だったりもするからかもな」
「自由の目眩?」
俺は魔界の支配者だ。
正直、好きな様に振る舞える。
自由気ままに過ごしてもいいだろうし、最初の頃は、たまに顔を出したらいいんじゃないのかと思っていた。
しかし、国民に質量を与え”食事”を教えた。
アザゼルが自分の店を持ち、それを手伝い始めた。
魔界で2人の妻を迎え、俺は地上世界と魔界に居る期間を守る義務を負った。
気が付けば、そこに自由気ままは存在しなかったのだ。
何も無ければ、自分を繋ぎ止めるものも無い。
しかし、それは余りにも自由過ぎて”不安”という目眩を起こすのだ。
俺は、自由は余りないかも知れないが、不安も無い”今”が気に入っている。
ただ聴き入る王妃達に質問する。
「生きる事について考えた事あるか?」
「生きる?それは無いな……。でも生まれた理由は考えた事あるぞ!グルナと結ばれるためだ//」
(かわいいヤツめ……)
「俺達は、魂と身体がある。その優秀性、その善さとは何か……”それ”を突き詰める為に、良く生きると聞いた事がある」
「良く生きる?」
「良く生きるとは、正直に魂を傷つけず生きる事。悪い事をすれば魂は傷つく」
「……悪い事しちゃったな」
「愛する心は良い事だ。だが、愛するが故に心配や不安が生まれ、誰かを傷つけてしまったり迷惑を掛けてしまったとしたら、それは悪い事かも知れない」
「…………」
だが……。
それが悪い事だと分かっていても、行わずにはいられない時もある。
過度な監視をする事が良くない事だと分かっていても、それをせずにはいられない。
良い事と悪い事を繰り返しながらも、悩み反省し、歩き続ける事が”良く生きる”という事なのかも知れない。
そして、いつの日か”最高善”を見出す事が人生の最高の価値なのかも知れない。
俺も、麓に着いたかどうかという所。
良い事も悪い事も沢山経験して、もっと視野を広げよう。
最上の証明は経験である……有名な言葉だ。
沢山経験する事で、何を聞かされても、何を信じればいいか自分の心が判断出来るように成る。
自分の視野の限界を、世界の視野の限界だと思ってはいけないのだ。
「俺は、宇宙一幸せだと思ってるぞ?」
「「私達もだ!!」」
「あ、でも心が嘘くせぇな……と思ったら信じなくていいって事だ」
「「うん」」
「俺も努力するから見といてくれたらいいよ」
「「うん!」」
と、訳の分からない話をし、無事に闇の精霊シェイドの監視を若干手薄にする事に成功したのであった。
「コイツラ サイコーニアホ メスブタ二シテハイイヤツダトオモウケドナ」
(バカ!聞こえたらどうすんだ!やめろ!)
「ワタシハ コックブロッカーシェイドナリ!カンシハオコタラナイ!」
(名前スラングじゃねぇか!)
メイン監視装置はムックGPSとなり、シェイドはどうしても王妃達が付き添えない時だけ出動するようになった。
と言うか最近は、シェイドの出番は本当に少ない。
月に1度有るかどうかだ。
それは、勿論王妃達と常に行動を共にしているからなのだが……
実は、数ヵ月後にイベントがあるのだ。
第3回魔牛品評会!
1回目は、ほぼ野生の魔牛……
2回目は、品質に余り変化が無く、雷を落とした。
そして、数ヵ月後に第3回だ。
最近、普通に出荷される魔牛の質が上がっていて、かなり期待出来そうなのだ。
肥育日数も36ヵ月齢以上となり、肉自体の味も抜群だ。
そこで、審査員に王妃達も加わってもらうべく、見る目を養っている。
優秀席は、1kg当たり金貨1枚。
日本円で5万円ほどだ。
牧場主も強気だったので楽しみである。
果たして、仕入れ値5,000円/gの肉は存在するのでしょうか(´ºωº`)