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第67話 新たなる刺客 2

このヤバい精霊は一体なんなんだ……

会話の内容を、ひたすらメモしているので、王妃達が放った刺客なのは間違いない。

今回はコイツの試運転だと思うが、気になるのは出処だ。


「カラ、そろそろ出ようか」

「はい♪」


店を出てからも付いてくる精霊。


「ファッキンビッチトタノシムノカ? ガッテムボーイ」

(カラには聞こえてないみたいだが、何時聞こえるようになるか分かんないだろ!マジで止めろ!)

「ウエカラメセンカ オウ コラ」

(…………)


カラの家に着いたが、精霊は部屋に入り、当たり前の様に俺の横に座っている。

ディーテの水の精霊も態度悪いが、コイツは格が違う。カラを攻撃し始めないか心配だ。


「ナニスルンダ」

(ん?ちょっと話をするんだよ)

「オイタハダメダゼ ミスター」


カラは、おつまみを用意し席に着いた。

心做しか落ち着かないカラ。

誤解させるような事を言ったから仕方無いのだが。


「すまないな、突然お邪魔して」

「いえ//お声を掛けていただけるなんて思ってなかったので、何もありませんが……

あっ、その子精霊抱っこしていいですか?」

「危ないかも知れないぞ?」

「ナレナレシインジャ シャー オラ」

(カラに聞こえてなくて何よりだ……)


「グルナ様、今日は帰られますか?それとも……泊まっていかれますか?床の準備は出来てます……//ただ……」

(床の準備!!?ただ?ただ何!?)


「ミズカラサソッタナ ファッキンビッチ……」


王妃の呪い(スフラギダ)”ハツドウ!!


(!?……召喚魔法!?)

室内に暴風が吹き荒れ、現れたのは4体の精霊……というか、4体増えて計5体になっただけであった。

しかし、闇の精霊達は素早い動きと、見事なコンビネーションでカラを押し倒し、両の手足を固定するという偉業を成し遂げた。

自由を奪われたカラに迫る魔の手。


「クラエ ”断固たる制裁(キロシス)”」

「何この子!?やめて……

嫌ァァァァァァ!!」


その魔の手は、カラの脇腹を擽り悶えさせ続けた。

しかし、この状況で俺が黙っている訳はない。

少し追い込んでみようと思う。


「ちょいちょい、精霊さん。お前クビな」

「?……ドウイウコトダ」

「王妃に契約を解除させて、お前は元の主に返す」

「アワアワ… アンラ・マンユサマニシラレルノハ ウクツシクナイ」

(ふーん、アンラ・マンユか)

「知らねぇよ!俺のかわいい部下に攻撃を加えたんだ、リストラが嫌なら永久に封印してやる!」

「グルナ様、お待ちください!」


今まさに、精霊を封印しようとする俺を、カラは止めたのだ。

必死に悪霊……もとい、精霊を庇うカラ。

その表情は、父親の虐待から我が子を守る母親の様に、とても強い眼差しだった。

透かさず、カラの背後へ避難する精霊……

何故か、俺が悪者になってしまっている


「この子は、きっと遊びたかっただけなんだと思います!多分、悪気は無いんです!」

「いや、その精霊は……」

「封印なんて可哀想ですよ!」

「…………」


世の中には、知らなくていい事が沢山ある。

それと同じ様に、知っておくべき事も沢山あるのだ。

だが、今日は大事な話があるので、精霊の正体は後日伝えるとしよう。


「そう言えば、さっき何か言いかけてたな?

何だった?」

「え!?……。私は愛人みたいな関係は嫌なんです。妃にしてくれるなら、テーブルに並べられる前につまみ食いされてもいいかなって……。でも妃じゃなくて愛人みたいな関係ならお断りしようと……」

(つまみ食いって……)


「そんな扱いする訳ないだろ……。

今日は城に帰るし、つまみ食いする気も無い。

大事な話があるんだ。

空席になってる軍の司令官に、カラを推薦しようと思っている」

「私が!?……務まるでしょうか?」

「俺達は国が出来る前から、一緒に戦い続けて来たな。そして、俺の戦いを一番長く傍で見てきたのは、カラお前だ。

是非、任せたい」

「グルナ様……精一杯努めます!!」


俺は、空間収納からガントレットを取り出した。

これは、俺の専用武器”勝利の魔狼(ラーヴタバド)”をベースに、カラの腕に合うよう作り直したものだ。


「グルナ様、これは?」

司令官の証(俺のコスプレ)だ」

「やったー♪」


カラの家を出た俺は、真っ直ぐに城へ向かった。

色々と報告しないといけない事が有るだろう。


「メスブタニシテハ イイヤツダッタナ」

「やめとけ、聞こえたら大変な事になるぞ」


城に着くと、ディーテが待っていた。

何か聞きたそうな感じだが、何も聞いて来ない。

多少は罪悪感があるのだろうか。


「ただいまー」

「グルナ、おかえり!」

「ちょっと出掛けてくる。すぐ戻るからな」

「迷彩服着て何処行くんだ?」

「ん?アンラ・マンユのトコ」

「!!?」


明日、魔界の王妃達を森の国に呼ぶようしじし、俺は邪神の世界へ向かった。


(魔王は今頃大変な事になってるのではなかろうか……)

「デデーーン!!アンラ・マンユOUT!!!」

「!!?」

「テメェのおかげで、えらい目にあったぞ!!」

「魔王よ!落ち着け!!神殺しは重罪ぞッ!!」

「あ!?10年でも20年でも娑婆からおさらばしてやるよっ!!」


バスンッ!!!!!


「ンホォッッッ!!!」


その後、1週間。

アンラ・マンユは、玉座に座る事はなかった。

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