第65話 戦いの後
「グルナ!終わったな!」
「だんな様!」
「旦那様!守ってくれてありがとう」
抱きついて来る王妃達。
傍から見れば、ハーレム状態なのだろうか?
「「「パパ~//」」」
子供達はよく分かっていないだろうが、目の前で行われた激しい戦いの中でも、泣くこと無く見つめ続けたのだ。
きっと強く育ってくれるだろう。
両腕に抱っこと肩車。
何と幸せな時間なのだろうか。
「グルナ様。我々一同、この場に居合わせた幸運に感謝し、そしてグルナ様に仕えられる事を誇りに思います」
俺の元に集まり跪く幹部や隊長クラスの兵士達。
コイツらは、もっと強くなり国を支えていくのだ。今回の様な事が起こらないに越したことはないが、備えは怠る事は出来ない。
まぁ、放っておいても歯向かう気概を無くさせるぐらいの軍事力になってしまいそうだが。
「魔王よ、見事だったぞ」
「なーんちゃって!みたいなのは、もう止めてくれよ?」
「心配するな。もう覆さん」
アンラ・マンユは気にしていない様だが、俺が始末した配下達は、それなりの連中のはずだ。
あまり触れたくないが、話をしようと思う。
「俺が始末した配下達なんだが……」
「ん?アイツらの事は気にするな!生き返るし!」
「えっ!?」
アンラ・マンユが地面に魔法陣を展開し、詠唱を始めると……最初にティアマトが湧いてきた。
「ホントびっくりした……あんた!レディの顔を吹き飛ばすとか神経疑うわよ!!」
怒ってらっしゃる……直接手を下した訳では無いが……ぶっ放す様、指示したのは俺な訳で言い逃れは出来ない。
その後も、ぞろぞろ湧き出し全員復活してしまった。
ここまで簡単に復活させられると複雑な心境になるな……
まぁ、勝ちは勝ちだ。
忘れる事にしよう。
「我々は、お前の相手は2度としたくないのだ……トラウマ抱えちまったよ」
「…………」
「ん?そう言えば、アジ・ダハーカは?」
「あ!封印して神界に送ったんだった!」
無事に終わったし、解放するとしよう。
そう思い、神界に向かおうとしているとエンジェル ラダーが現れ、天空の神々が降臨したのだ。
何故だ?嫌な予感しかしない……
ゼウスにハーデス、ポセイドン……世界の意思に美と愛の女神アプロディーテまで来ている。
しかし、その中で皆の注目を集めていたのはゼウスだった。
蛇柄のスーツにグラサン……まんまジャパニーズマフィアだったのも原因だが、最大の原因は、ボコボコになったアジ・ダハーカを引き摺り現れたからだろう。
「アンラ・マンユさんよぉ。うちの若いもんに、えれぇ事してくれたなぁ。
この落とし前……ブフッッ!!………」
まだ何か言いたげだったが、世界の意思の強烈なビンタが炸裂し、ゼウスは深い眠りについた。
厄介なのが居なくなって何よりだ。
「グルナ様。正式に魔界の支配者となられた事、心よりお慶び申し上げます」
俺の前に跪く世界の意思……
「ちょっ!旦那様!その女は何なの!?」
「あぁ、この人は……」
「私は、グルナ様が転生してから、今日まで寄り添い続ける者です//」
「だんな様!?どういう事ですか!?」
「大丈夫、愛人とかでは無いですから。フフッ//」
「「………………。」」
「グルナ様、可愛い奥様に囲まれて幸せそうですわね……奥様達、裏山……」
「「………………。」」
黒ムックの本体を差し出し、何とか口を聞いてもらえるまでに関係は回復した。
俺は、今後永久に黒ムックGPSが取り付けられた状態となるだろう。
身体がボロボロなので勘弁して欲しい。
「魔王よ、我々の世界への通行許可を出してやろう。困った事があれば頼るがいい」
「ありがとう。落ち着いたら、挨拶に行くよ」
邪神の世界とは、一体どの様な世界なのだろうか……
後日、挨拶に行ったのだが、神界と似たようなものだった。
「グルナ!城に帰って、みんなに報告しなきゃな!」
そう。早く帰って休みたいが、皆を安心させなくてはならないのだ。
帰ろうとする俺の腕に、ディーテが絡みついて来る。
少し背が伸びたか?くっ付いて来るディーテに違和感を感じつつもゲートを開こうとした。
その時、背後から強烈な殺気を感じたのだ。
振り返ると、ディーテが鬼の形相で此方を見ている……では、腕に絡みついているディーテは一体?
「グルナ、何してるんだ?早く帰るぞ?」
女神アプロディーテであった。
俺とオルフェも、ゼウスとハーデスの分身だが全然似ていない。
しかし、この2人はめちゃくちゃ似ているのだ。
違いは背丈と瞳の色ぐらい。声に関しては、ほぼ同じだ。
「アプロディーテさん?何してるんですか?」
「ん?何を言ってるんだ?あっちがアプロディーテだぞ?」
「…………」
(神様達は、俺を陥れたいのだろうか……)
暫くの間、俺は地上世界でも魔界でも、何故か肩身の狭い思いをしたのだ。
用意してもらえるだけで有難いとは思うが、夕食は、どちらもズボラ飯という悲劇が半月程続き、俺は何とか平常運転に戻すべく、人生で1番奮闘したと思う。
そして、決して1人で神界に行かないと心に誓ったのだった。
今回分かったが、王妃達も嫉妬するのだ。
3人の王妃達が、内戦を起こすことなく共存しているのは奇跡だと思った。
その奇跡を維持する為に、俺のするべき事は平等に愛を注ぎ、決して間違いを起こさない事だろう。
間違いとは、勿論…不倫だ。
危機も去り、次話から開拓再開です⸜( ´ ꒳ ` )⸝
ちびっ子達も、どんどん成長していきます(,,•﹏•,,)