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第58話 終末戦争前夜

終末戦争前夜。


サタナス城には、大勢が集まっていた。

地上世界の魔王夫婦、竜人族の偉いさん、周辺国の王達。

そして、ディーテだ。


「ディーテ様、我々は旦那様と国に人生を捧げると誓った身。此処に居ては、ラクレスもディーテ様も危険です」

「アリス、リリア、私もグルナの妻だぞ?グルナが居ない人生に意味は無いのだ」


責任重大だ。

机の上には、明日のメンバーを記した紙が置いてある。


「グルナ様、先鋒は私が務めます。幾らなんでもグルナ様が先鋒というのは納得いきません」

「その通りだ。どう考えても順番間違ってるぞ!」


納得いかないデアシアとパーシス。

他のみんなも納得してはいないだろう。

その時、黙り込んでいた竜人族が口を開いた。


「姫を嫁に出したのは失敗だったな」

「黙れ!私は自分の意思で膝を着き願い、そして嫁いだのだ!旦那様に無礼な態度は許さんぞ!!」


誰一人として口を開く者が居なくなった瞬間、訪れるはずの静寂は、顔を出した途端に捻り潰された。


「竜神族のオッサン。アリスは俺の元に嫁いだんだ。テメェは関係あるようで、もう関係ないんだよ……すっこんでろっ!!」

「なっ!?」


怒りに震えているが、相手をしてる暇は無い。

俺は、配下に伝えたい事があるのだ。


「いいか?お前達、心して聴け。

この世の全ては、移ろい変わりゆく。

オリオンかクロエは、何れ魔界の支配者に成るだろう。

その時、サタナス国は魔界に於いて最強でなくてはならない。

その最強のサタナス国を支え、新たなる支配者を支えるのは、お前達なのだ。

明日。お前達の役目は、俺の闘いを眼に焼きつける事だ」


国民達も不安だろう。

俺は国の上空に、全ての国民が見る事が出来るように映像を投写した。


「明日。この世界の存亡を賭けた闘いが行われる。

だが、安心して欲しい。

俺は、必ずお前達全員を”護る”。

そして、この”命の物語”を繋げてみせる。

決して疑うな。

一点の曇りもなく、俺達の勝利を信じろ!!お前達の仕える王は!!お前達の属するサタナス国は!!”最強”であると信じろ!!!

分かったか!!お前達ッ!!!!」

「「「うおおおおおおっっ!!!!」」」


国中から発せられる6000万を超える生命の魂動。

押し寄せた”それ”は、1つの衝撃波となり俺に打ち付けられた。

重なり合う魂動……

その一つ一つの命が、未来を切り開く原動力となるのだ。


………………………………………


月の神殿。


「ゼウス様、何故グルナ様は地上世界に戻らないのですか?あれは退去命令書ではありませんか」

「んー、自分が地上世界に戻ったとして、それで魔界に害が無いなら戻ったかも知れん。

しかし、何か起こると感じたんだろ」

「根拠がありませんよ?」

「あるだろ。あいつは変え過ぎてしまった。悪魔を受肉させ質量を与えた。そして、悪魔と神のハーフをも誕生させた。邪神達の作った魔界は精神生命体が支配する世界だ。更地に戻す理由としては十二分だ」

「…………」

「だが、あいつも勝算が無いわけじゃないだろ。俺の分身だし、将来有望。

それに、そこまで他人の世界を作り変えるんだ。

その存在は、最早”神”だ」

「その有望な人財を放っておくのですか?

私は、我々が出るべきだと思いますが」

「出るまでもねぇよ」

「…………」


転生初期からグルナを導いていた”世界の意思(超絶美人さん)”は周囲を見渡した。

どいつもこいつも酒を喰らい楽しんでいる。

自分達の下した命令が原因で、命が途絶えようとしているのに……

世界の意思は、ゼウスの指示が無ければ下界には行けないのだ。

しかし、何も行動出来ない訳ではない。


ベシッッ!!!


「ブフッォッ!!!」

「この……ろくでなしめっ!!」


”世界の意思”は、今まで1度たりとも放った事の無い全力のビンタを、ゼウスに見舞った。


………………………………


丑三つ時のサタナス国。


3人の王妃達は、眠れぬ夜を過ごしていた。

声を発する者は居ない。

3人とも闇の中を彷徨っているのだ。


”だんな様は死ぬ気なのかも知れない……”

”旦那様に万が一が起これば……その時は私が……”

”グルナ……定期的に荒れちゃうな。今回も帰って来てくれ……”


「お通夜じゃな!」

「アルトミア!こんな時間に何してんだ!?」

「ん?お前達の様子が気になってな。まだ死んでもいないのに案の定お通夜ではないか。お前達の重い表情がグルナの負担になるとは思わんか?馬鹿者共め!」


アルトミアは、王妃達に言うのだ。

お前達は”王妃として、何より妻として失格である”と。

民が分かっているのに、何故お前達が分からないのかと。

王妃として、妻として、すべき事はただ1つ。


”誰よりも王の勝利を信じ、送り出すのみ!”


3人の王妃は、役割分担について相談を始めた。

愛する夫を信じ、そして必ず勝利を掴み取らせる為に。


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