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第5話 美人秘書を採用しよう!

サキュバスと別室に行った俺は、疚しい事をする前に…基、疚しい事をする事無く、幾つか質問をする。


「お前は名前はあるのか?」

「いいえ、私は名もないサキュバスです…」

「どうせ、パズズは俺に取り入るために、お前を連れてきたんだろ?俺は、お前から自由を奪うつもりは無い。だが、1つだけ願いを聞いて欲しい」

「はい…魔王様の心象が良くなる様、奉仕しろと…。しかし、願いとは?」


俺はサキュバスに受肉してもらいたいのだ。整った顔立ちだからというのが理由の1つなのは否定はしないが、決して疚しい理由からでは無い。

恐らく、パズズの配下では無く攫われて来たのだろう。酷い目に遭わされる予定だったサキュバスの未来が、俺と出会った事で光り輝くものになるとしたら、それはお互いにとって最も良いのだ。出会いは大切にしたい。


アザゼルに説明してもらい、サキュバスは魔導器(うつわ)に入っていった。


「全魔力を放出してイメージですのん♪」


すると、まぁ何という事でしょう!

みるみる魔導器(うつわ)が変化し、白に近い金色(プラチナブロンド)の髪、青い瞳…そして完璧なスタイル…モデルや芸能人など霞んで見える程の美女に変化してしまった。

是非、サタナス国に住み着いてもらいたいと思ってしまった。


「魔王様…これは一体…?」

「これは”受肉”だ。成りたい姿をイメージしただろ?朧気だった存在が安定し、真の姿に成ったって感じだ」


鏡に写った自分の姿を見たサキュバスは戸惑った。しかし、その感情は憂鬱等ではない。質量を感じ、美しく生まれ変わらせてくれた魔王に対し、自分に何か出来る事が有るのか…どうすれば、この恩を返すことが出来るのか…そう考えていた。


「どうだ?快適か?その身体は好き使って構わないぞ。

パズズが帰ったら、お前は自由の身だ。

何処にでも行くがいい」

「魔王様!私は一体どうすれば良いのですか!?」


少し混乱している様だ。

どうするも何も、自分の好きにしたらいいのだ。少し落ち着いてもらった方がいいだろう。パズズを待たせているので、話をしている間にクールダウンしてもらう事にした。


今度はパズズに受肉させつつ、通貨の件について説明だ。

魔界の通貨…というか報酬は入浴券。

店や娯楽が何も無い魔界では入浴券でもいいかも知れないが、俺は色々な店を作りたいのだ。

そうなってくると、勿論、様々な仕事が生まれる訳だが入浴券では話にならない。


「パズズしゃん、お久しぶりでしゅる!♪」

「アザゼル様、お久しぶりでございます」

「ん?2人は知り合いか?」


何となく、パズズはビビっているが気のせいだろうか?

知り合いなのは間違いなさそうだが…。

まぁ、知り合いならば話は早い。早速アザゼルに魔導器(うつわ)について説明してもらい、パズズを半強制的に受肉させた。


「大成功ですのん♪」

「こ…これは一体…」


受肉したパズズは、胡散臭い悪魔から胡散臭い人間の中年男性に近い見た目に変化した。


「パズズ、”味覚”を手に入れたはずだから、”食べて”みろ」

「味覚?食べる?」


用意したのは、特製デミグラスソースのハンバーグだ。

カラが途中で何処かへ行ってしまったので、俺とアザゼルが仕上げた。

アザゼルが手本を見せる。ハンバーグを頬張り、若干大袈裟にモグモグするのだ。とても可愛らしい。


「おいちぃですのん♪」

「こ…これが”食べる”…そして”美味しい”という事なのか…素晴らしい…」


ハンバーグを完食したパズズは悪魔だが、天に昇っていた。食事の素晴らしさは充分理解してもらえたと思う。

次は通貨についてだ。

生活を豊かにする為には、必然的に様々な仕事が生まれてくる。そして、当然その仕事に見合った報酬が支払われなくてはならない。

その報酬は、誰もがその価値を認識出来るものでなければならないのだ。

魔界の状況で言えば、働いて得た報酬が入浴券な訳だが、その入浴券を別の物に交換したい時に、相手が入浴券を必要としていなければ取引は成立しない事も起こりうる。と言うか絶対に起こる。

なので、決済機能と資産の保存機能、それに価値の尺度機能として、お金の導入は必須なのだ。


「分かった様な…分からない様な…」

「まだ、商品やサービスが無いから分かりにくいな。

先ずは、サタナス国で導入するから体験しに来い」


準備が出来次第、体験してもらう事になった。その後も周辺国の王が訪れたのだが、受肉と通貨についての説明を繰り返した。

面倒臭いが森の国を興す時と比べれば、とても楽だ。

挨拶も一通り終わった様なので、次はサキュバスだ。

あれから、結構時間が経ったので落ち着いているだろう。


「すまない、大分待たせてしまったな」

「魔王様、私はどうすれば良いのでしょう…」

「好きにしたらいいと思うぞ。パズズも帰ったし」

「私は魔王様のお役に立ちたいのです!何でも致します!身の回りのお世話も、夜のお相手も…何でも致します…どうか、お傍に置いてください!」


一瞬、超魔王になってしまいそうだったが、自動ブレーキ(理性)は問題無く作動し、無事に衝突を回避した。

しかし、困った。

住み着いてもらいたいとは思ったが、夜のお相手までは求めてないのだ。言っておくが、これは本心だ。


「グルナしゃま。夜のお相手とは何でしゅか?」

「夜のお相手は…お酒を注いだりする事だ…」

「じゃあ、わたちも夜のお相手しましゅる!//」


何と複雑な心境なのだろうか…。


「うーん…じゃあ秘書やってくれ」

「秘書?」

「俺のスケジュール管理をするポジションだ。だが、条件があるぞ」


俺は紙に、”条件”を書きサキュバスに手渡す。

その条件とは、制服だ。

黒系のワンピかスーツだろ、足元は遊んで構わない。胸元は開ける必要はない、だが眼鏡は必須だ。

基本的に悪魔は魔力で作った服を纏っているので微調整が可能なのだ。わがまま言わせてもらう。

そして、別室からサキュバスが帰って来た。


「魔王様…これでよろしいでしょうか?」

「ダメだ!やり直し!」

「…………シュン。」


そして、3回目。


「魔王様…如何ですか?」


…………。

完璧だ…素晴らし過ぎる。

知的で落ち着いた大人の女性の雰囲気に、程良い若干のエロさを兼ね備えている。


「会合や出張の時は同伴してもらうぞ?」

「喜んでご一緒致します//」

「名前が必要だな。お前は今日からリリアと名乗れ。俺の事は魔王では無く、グルナと呼んでくれ」

「名前まで…グルナ様ありがとうございます//」


こうして、俺は偶然にも美人秘書リリアを採用する事が出来たのだ。

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