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第46話 会員制高級クラブ 1

戴冠式が終わり、その日の夜。

ディーテは、俺が地上世界で過ごす日について、魔界の王妃と話し合いをし帰って行った。

俺は、まとてめ半月では無く、隔週で地上世界に帰る事になったのだ。


アリスは以前から無理矢理一緒に寝ていたが、今日付でリリアも王妃となったのだ。

当然の事だが、寝室にはアリスとリリア、アザゼルが待っていた。


「今日はみんなで寝るですのん//」

(マジか……)


大きなベッドなので、問題なく寝れるのだが……

何故か寝苦しい……

俺は夜中に、その理由に気付いた。


目を閉じて、どうにか寝ようとしていた俺は、ふと視線を感じ薄ら目を開けた。


暗闇に光る2つの光……

赤い2つの光が見えたのだ。

(……!?)

寝返りを打つフリをし反対を向くと、反対側にも2つの光がある。

青い2つの光……

(……!?)


ベッドには、アリス、アザゼル、俺、リリアの順で寝ている。

アザゼルはアリスにくっ付いて寝ているので俺に背中を向けている状態だ。

確かめなくてはなるまい。

赤と青の光の正体を……


俺は、小声で”喉乾いた……”とボソッっと呟き、意を決して起きた。

すると、2つの光は消えたのだ。

水を飲み、ベッドに戻るも光は無い。

そして、目を閉じて暫く様子を伺っていると光は現れるのだ。

寝ると光が現れ、起きると光は消える……

俺は、寝たフリと起きるを繰り返した。

アリスは赤い瞳、リリアは青い瞳。

そう、彼女達は寝ていなかったのだ。

テンションMAXな彼女達の高まった魔力は瞳を光らせていたが、当の本人達は気付いていない。

だんだん楽しくなって来たが、そろそろ寝たい。


俺は、薄ら目を開け、合計4つの光がある事を確認すると呟いた。


「何時まで起きてるんだよ!」


すると、光は消失した。

恰も、寝てますけどと言わんばかりに完全に消失したのだ。

その後も、点灯と消灯を繰り返す2つの光との戦いは続き、結局一睡も出来ないまま朝が来たのであった。



………………………………………



寝不足だが、開発の手は緩めない。

会員制高級クラブは内装工事も終わり、備品を運び込んでいる。

キャストは数名目星を付けているが、一応募集もしてみようと思っている。


そんな事を考えていると、メリアがやって来た。


「グルナ様!僕、城を出ようと思うんだ」

「ん?一人暮らしするのか?」

「うん、自分の力で生活してみたいんだ」


素晴らしい。

幼い見た目だが、流石は推定年齢12000歳だ。

魔界には賃貸物件は無いので、家を建てなくてはならない。

俺は地図を用意し、空いてる土地を紹介した。


「家は用意してやるぞ!」

「ホントに!?ありがとう♪」


メリアはアリスの護衛だ。

今後は、リリアの護衛も頼む事になる。家ぐらいは用意させてもらう事にしたのだ。

メリアが希望した家の外観は、森の国で俺とディーテが最初に暮らしていた家に近いものだった。

城が出来るまで住んでいた家だが、ギリシャのサントリーニ島の建物をイメージして作ったオシャレな家なのだ。

メリアは意外と分かっている。流石だ。


家の建設を依頼し、俺はある場所に向かった。

醸造所である。

人材育成と魔界オリジナルの酒を開発する為に、森の国から名醸造家の甚内を派遣してもらっていたのだ。

今日は、会員制高級クラブと各国の城にしか卸さない最高級酒の試飲だ。

非常に楽しみである。


「グルナ様、魔界のホタル草を使ってみました」


出されたのは2種類。

銘柄は、どちらも”隠れ魔王酒”となっているが、瓶の色が違う。

どうでもいい話だが、隠れ魔王酒とは恐らく、隠れ魔王種だった俺の事だ。

魔王最有力候補には魔王の種が宿るが、俺は種が宿っていなかったが魔王になった。


1つは、飲みやすいが、重厚で複雑な味わい……ナッツや果実のフレーバーが口いっぱいに広がりとても美味しい。

もう一方は、穀物系のフレーバーでストレートよりも割って楽しみたい感じだ。

加水するだけでも変化を十分楽しめるが、料理との相性も良さそうなので、レモンやハーブで変化を付けるのもいいだろう。

2種類とも採用である。


午後から面接が入っていて店に行くので、並べてみようと思う。


ボトルを並べて、自己満足に浸っていると直ぐに面接の時間になってしまった。

今日の面接はホステス希望3名とヘアメイク担当が2名だ。

因みに、週5勤務した場合で最低保証が金貨10枚。

そこから、所得税的な税金が引かれ、手元に残るのは金貨9枚程。

週5勤務すれば最低でも日本円で45万程だ。

勤務日数は限定していないので、頑張りたい者は頑張ってくれればいい。

様子を見ながらだが、顧客を抱え込んだホステスとは契約更新して給料を歩合制にしようと思っている。

上限は売上の50%だ。

勿論、契約更新は任意。

最低保証は無くなる訳だが、最大値である売上の50%を給料とする契約をする事が出来れば実力次第で収入は跳ね上がる。


ヘアメイクさんは、月給制のみで金貨5枚からスタートだ。


順調に面接が進み、いよいよ最後の1名……

その最後の1名は、変装……いや、姿を変化させたメリアだった。

何を企んでいるのだろうか……

完全に別人を装っている。


幼い中性的な見た目から、大人な清楚な女性の姿になったメリア。

短気なので傷害事件を起こさないか心配だが、仕事を通じて色々な経験をするのもいいだろう。

俺は、気付かないフリをしてメリアを採用した。


キャストの採用も終わり、オープンは目前だ。

問題だった黒服も決定している。

配下の中から黒服のトップとして任命したのは”ビオン”という悪魔だ。

背も高く、黒髪で整った顔立ち。

余程の事がない限り、表情を変える事なく職務に当たるナイスガイだ。

最終的には、国営の夜の店は全店任せるつもりなので、後任の育成も申し付けてある。

メリアの件については、俺は知らない設定だが、ビオンは正体に気付いた唯一のスタッフという設定でいいだろう。

サポートは必要なのだ。


オープンまで、後2週間。

各国の王族や豪商に招待状を送らなくてはなるまい。

城に戻った俺は、ベレトに招待状の作成を指示するのであった。

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