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第34話 魔王復活祭

その日の午後。

広場には大勢が集まり、宴が行われた。


その名も”魔王復活祭”


とても嬉しい。

国を守れたという実感と、最初はギクシャクした悪魔達との関係の深化を、俺は素直に嬉しく思った。


「グルナ!回復したようで何よりだ!お前に重症を負わせる化け物が居るとはな!絶対に遭遇したくないぞ!」

「まったくじゃ!だが妾の敵では無い!妾はグルナの10倍は強力なのじゃ!」


パーシスやアルトミアも復活祭に参加していた。

アルトミアも何だかんだ言いつつ心配してくれていたらしい。

俺の義手に守護の刻印を転写してくれる優しい義姉なのだ。

アリス達の到着まで治療をしてくれた白いドラゴンも人化し宴を楽しんでいる。プリドルという名で、人化するとドラゴンの特徴は何処にも見当たらない。

たまには国に遊びに来て欲しいものだ。


「グルナ様、都合のいい時に稽古を付けて下さい!!」


ベレトは気にしているのだろうか……

あのまま残っていたら、2人共死んでただろう。問題視される行動は何も無かったと、改めて伝え、後日稽古に付き合う約束をする。

俺の護衛に、森の国の幹部が派遣されている状況を早く何とかしなくてはならない。

そんな事を考えていたら、その幹部がやって来た。


「グルナ様、あーん」

「ん?」


カラである。

俺が不自由してると思ったのだろうか?

こんがり焼けたお肉を食べさせようとしてくれるのだが……

高性能な義手のお陰で、全く不自由していないのだ。

普段なら断るが、まぁ今日はいいだろう。


パクっ。……。

(た…たべた// グルナ様があーんした//)


大慌てで何処かへ走って行ってしまったが、直ぐに戻って来る。セレネを連れて。


「グルナ様、あーん」

「…………」


パクっ。…………。

(ホントだ!あーんする!//ヤバい//)


楽しんでやがる。

だが、やられっぱなしじゃ終わらねぇ……

俺も彼女達を試してみようと思う。


「セレネ。今日は飲みたい気分だ。オススメの酒を持ってきてくれ」

「すぐにお持ちしますわ!!」サッ!

「カラ、オススメのおつまみを用意して欲しい。酒はセレネに頼んだから」

「お任せ下さい!!」ササッ!


今日は、アルコール度数の高いお酒をちびちび飲みたい気分だ。


「「お持ちしました♪」」


セレネが持ってきたのは、魔界で作ったウイスキーモドキ…アルコール度数43%。

そして、カラが用意したつまみはビターチョコとドライフルーツ。

申し合わせたような結果だ。


「…………」

「「……お気に召しませんでしたか?」」

「……いえ、ありがとうございます」


ナンセンス共め!と弄ってやろうとした俺が馬鹿だった。

完璧なチョイスだ……

素晴らしい女性達に言い寄られてる事を改めて実感する訳だが……なんとも…。


その夜、ディーテは用事があると言い、何故かアザゼルを連れて森の国へ戻って行った。


…………………………………


寝室に行くと、アリスが待っていた。

何故だろうか、少し元気がない様に見える。


「アリス、どうした?」

「旦那様……元気になって本当に良かった」

「アリスは治療してくれたんだろ?もう少し遅かったら死んでたかも知れない。ありがとうな」


頬を赤くするアリス。


「私は、旦那様が喜ぶ事がしたい!」

「……た、例えば?」

「旦那様好みの服装とか!」


一瞬だが、疚しい事を考えてしまった。1度死んだ方がいいかも知れない。

馬鹿は死なないと治らないというのは有名な話だ。

しかしだ、死ぬ前に、大人な美女と美少女の良いとこ取りをした様なアリスに色々な服装をさせてみるのも面白い……

メイド服、セーラー服、ナース服、チャイナドレス。

番外編でスク水。

これらを紙に描き、アリスに手渡した。


「ちょっと待ってて……//」


何というソワソワ感なんだ。

落ち着け……落ち着くんだ……。

(清流に腰まで浸かり、静かに瞑想している状態をイメージするんだ……)


メイド服姿のアリスが部屋に入って来た。

何と可愛らしい……恐らく、何を着ても100点だろうが、これは500点は下らない。

その後も、諸々の服装を披露してくれたアリス。いよいよ番外編のスク水である。


紙を見ながら、震えている……

怒ったのだろうか?少し調子に乗り過ぎた様だ。


「こ、これはダメ!旦那様には早すぎる!!まだダメ!!//」


顔が真っ赤っかである。

実に可愛い。

パジャマに着替え、布団に包まるアリス。

余程恥ずかしかったのだろう。

翌朝、俺はコンビニの朝勤なので弄る事無く、横になる。


「旦那様……私の心は、とても貧弱……だから、ただ傍に居たい。私頑張る」

「…………」


そろそろ、決断の時だろうか……。

何も言わず、俺は眠りについた。


翌朝、メイド服姿で朝食をつくるアリスが目撃され、ミダスとケンジが大騒ぎしていたが俺は無視した。

俺の頭の中は、それ所ではないのだ。



………………………………………


アザゼルの代わりにオーナー枠で朝勤に入り、15時までコンビニで働いた。

その間、ずっと考えていたのだ。


魔界の王妃について


今日は、その事ばかり考えてしまう。

昨日のアリスの言葉は、繰り返し俺の頭の中に響くのだ。

片言の様な歯切れの悪い言葉だが、不器用なアリスの精一杯の気持ちが込もっているのだ。


城に戻り、横になっているとアザゼルが帰って来た。


「グルナしゃま、朝勤ありがとうごじゃいました♪」

「うん、ディーテは何の用事だったんだ?」

「着替えてきましゅ!」


アザゼルは別室から戻って来ると、ドレス姿になっていた。

どうやら、俺がアザゼルにお姫様だと言ったのが、ディーテの耳に入ったらしい。

ティアラまで装備している。


「アザゼル、すごく可愛いな!」

「……照れますのん//」

(照れてやがる……可愛いヤツめ……)


アザゼルがドレスを仕立ててもらった。

些細な事かも知れないが、俺の発言が与える影響力について、より深く考える切っ掛けとなった出来事だ。


決断の時は近い。



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