表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/132

第31話 強欲の邪龍

数多の猛者を葬りし時 我 降臨せん


死の運命に抗い 手に入るがいい


欲する全てを


我が名は 強欲の邪龍 ファフニール


死の運命に抗い 切り開くがいい


そして手に入れるがいい


目も眩む財宝を


表を歩けぬ程の名声を


愛する者との時を


己の命を


新たな運命を


我が名は 強欲の邪龍 ファフニール


全て奪う者なり


「ベレト!先に国へ戻れ!こいつは、俺の客だ」


…………………………………………



数時間前。

アリスに、スレイプニルを召喚してもらった俺達は荒野を疾走していた。


森を目指して!!


「グルナ様!何で転移門(ゲート)じゃないんですか!?」

「久しぶりに馬に乗りたくなったからだ!それだけ!!」

「えっ!?」


森の入口にスレイプニルを待たせ、歩いて進む事にした。

スレイプニルは軍馬。大きいのだ。

暫く進むと大きな湖に出た。

無音音が聞こえる程に静かな湖、その畔には葉の先端が光り輝く植物が群生していた。

森の国の特産である酒や清涼飲料水、その原料となるホタル草。その魔界版を俺は見付けていたのだ。

この植物は光る部分が美味しいのだ。これを食べに来る魔牛や謎の生命体が居てもおかしくない。しかし、湖の周囲に気配は無いのだ。

静か過ぎる湖に、ベレトは不気味さを感じていた。


「静かですね……」

「そろそろ現れるぞ」


鏡の様だった水面が波立ち、水霧と共に白く美しいドラゴンが現れた。

ゆっくりと此方に向かって来るドラゴン。

俺は、構えるベレトを落ち着かせ、空間収納から大きめのバケツの様な容器に入れたプリンを取り出し、ドラゴンに差し出す。


「魔王様、お久しぶりですわ。今日は約束を果たしに?」

「久しぶりだな!そうだ!約束通り、今日は大量だぞ」


このドラゴンは、俺が放浪している時に出会ったドラゴンだ。

最初は驚いたが、敵意は無く、実体があり人語を操る稀有な存在。

プリンが大のお気に入りで、国に帰る時、プリンを持ってくる代わりにホタル草を分けてもらう約束をしていたのだ。

恐らく、このドラゴンを恐れて、魔牛などの草食動物は湖に近付かないのだろう。

森の国のホタル草と同じ様に、光る部分は摘み取っても2週間程で再生する。

湖のサイズはビクトリア湖程、その畔にびっしり生えているので無限に収穫出来る。


「物々交換だ。少しサンプルをもらうよ」

「たまに美味しい物をいただければ十分ですわ」


俺達は、諸々の試作に必要な分をもらい、少し森を散策していたのだが…

突如、地面が割れ…

俺とベレトは穴の中に落ちてしまった。


そこは洞窟に一部だった。

ついでに探検でもするか!と、奥に進んだが。


それが間違いだった。


薄灯に照らされる眩い未知の宝石、精錬された黄金。

そこは、宝の山だったのだ。


「グルナ様、とんでもない量ですね!」

「……精錬されている。天然じゃないな、持ち主が居るだろう」


その時、そいつは現れた。

強欲の邪龍 ファフニール。

肉体も魂も奪い去る、最凶の黒龍。どうやら俺は、その眼鏡に適ったらしい。


「ベレト!先に国へ戻れ!コイツは俺の客だ!!」


ベレトはサタナス国へ急いだ。

グルナを見捨てた訳ではない。その圧倒的な恐怖に、自分が役に立たない事を一瞬で悟ったのだ。

足手まといになり、邪魔な存在にしかならない以上、出来る事は国へ戻り、王の危機を報せる他無い。

サタナス国には、異世界の守護神と竜王バハムートが居るのだ。



……………………………………………



ベレトはサタナス国に到着し、邪龍ファフニールと交戦している事を告げる。


「お前達!私とセレネが向かう!留守は任せたぞ!」


普段、冷静なアリスが焦っている。

恐怖に震えるベレト。相手が自分の思っていた以上の脅威だった事を察したのだ。


セレネを連れ、全力で飛行するアリス。

その脳裏に、竜神族の老害共の言葉が蘇る。

”強き心を持つ者の元に現れる、伝説の邪龍が居る。狙われるのは、その美しき強い心。

しかし、討ち滅ぼせるのも、また強き心を持つ者のみ”


大勢で駆け付けても無意味。犠牲者の山が出来るだけだろう。

(旦那様!死なないで!!)



………………………………………………



(財宝が欲しいと思ってんのか!?舐めやがって……)

グルナは、この場で邪龍を葬らなければ生きて出られない事。そして、邪龍に敗北すれば、失うのは命だけでは無い事を嫌という程感じていた。


文字通り、全てを失うのだと。


邪龍の吐き出す火球は、まるで隕石。

地面を砕き、抉りる。

その肌は、金剛石が可愛く思える程の超強度。

”並”の攻撃はダメージが通らない。

グルナは専用装備”勝利の魔狼(ラーヴタバド)”を装備する。

神の金属ビトラスで創られた手甲は、自身の能力を増強するのだ。


”雷牙!!”


雷牙は、魔王オルフェの側近であるケルベロスを一撃で仕留めた技だ。

自然界には無い破壊力を秘めた雷が邪龍を直撃する。

案の定ダメージは無い。

(なんてバカげた強度だ!)


邪龍の羽は…尻尾は…まるで斬鉄剣。

光輝の胸当さえも切り裂き、防ぎきれない威力はグルナを襲う。

長くは持たない……

(側がダメなら、そのちっせぇ脳ミソを直接破壊してやる!!)


邪龍の口元に飛び込むグルナ。


「テメェの命と引き換えなら……腕の1本ぐらい喜んでくれてやるぞっ!!」


タイミングもクソもない…ただ、渾身の雷霆を纏った拳で思いっ切りぶん殴る。

ホワイトアウトする程の眩い光は洞窟内部を覆い尽くした。



絶体絶命のピンチです!:( ;˙꒳˙;):

竜王と守護神は間に合うのか!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ