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第29話 女子会2

和やかな雰囲気。

飽くまでも表向きなのかも知れないが。

一同が食事と会話を楽しむ中、アルトミアは違和感に気付く。


グルナの送り込んだスパイが混ざっている…


アルトミアは、魔界からの参加者リリアを夜景が一望できるテラスへ誘った。


「単刀直入に聞くぞ。お前が参加した目的を述べよ」

「私はグルナ様の秘書。会の内容を報告する様、命じられております」

「お、おう……実に素直だな」


逸らかされると思っていたが、返ってきた素直な答えに戸惑うアルトミア。


「ふむ、悪くない…」

「……?」

「包み隠さぬお前の態度、妾は好みじゃ!

しかし、それだけではあるまい?申すがいい」

「私も立候補したいのですが……参加してみて思いました。正直怖気てしまったのです」


他の参加者の美しさ、覚悟に、己の劣等感を禁じ得ない。

既に、有資格者ではないと悟っていた。


「ふむ、分からなくもないが……勘違いしてはおらんか?参加した事で、お前は選択肢の一つとなっているのだが……」

「……!?」


ディーテは、女子会に参加しない者は王妃として認めないと言ったが、それはグルナが伝言を聞く前提だからだ。認めるも認めないも、それはグルナが決める事である。即ち、ディーテはグルナの選択肢から除外するぞと遠回しに言ったのだ。

そして、敢えてグルナの目に付くように受付をさせたのだ。

その中に名前がある者のみに目が行くように。意識し、しっかりと候補者を見るようにと。

参加する事自体に意味があったのだ。

決めるのグルナ本人。

この会の自体は、自覚させる為。

覚悟の足りない者は自ら身を引く様に促すもの。

後は親睦を深める目的か?とアルトミアは勝手に思っている。


「辞退しない限りは選択肢の一つ。決めるのは魔界の王じゃ。会場に戻るぞ」


リリアは、女子会が終わればディーテに王妃の件の辞退を伝えようとしていた。

しかし、今はグルナの判断を待とうと思えていた。アルトミアのお陰である。

”その時”まで、待とう。

少しだけ期待し、リリアは決断の時を待つのであった。


会場では、ディーテとメリアが仲良く話をしていた。


「メリアも王妃候補なのか?」

「違うよ!美味しいゴハンがあるって聞いたから参加しちゃった♪

僕は誰かを好きになるとか、よく分からないから♪」


メリアに恋心が芽生える日は来るのだろうか…そんな事を考えつつ、ディーテは食事を楽しむ。

食事しながらも、参加者の様子を見ていたが、意外だったのはアリスの様子だ。

誰とも話さず、静かに過ごしているかと思っていたが気さくに会話を楽しんでいる。

(普段は超が付くクールな美人だが、笑うと抜群に可愛いな……)


どうやら根性の腐った女は会場には居ない様である。

和やかな雰囲気のまま、女子会は終了したのであった。



…………………………………………


サタナス国。


森の国での女子会を終え、みんな帰ってきた。

アザゼルは、明日は休みらしいのでアルトミアに連れ去られたそうだ。

早速、リリアに確認だ。


リリア曰く、始まって直ぐにザワついたが、それ以外は和やかな雰囲気だったらしい。

その、始まって直ぐの内容を聞いたが、俺もザワついた。


「マジか!?第二夫人まで!?」

「……はい。地上世界と魔界なので、最大で4名の女性と婚姻関係になれます」

「…………」

(なれます。じゃねぇだろ……)


全然吉報じゃねぇ…

だが、俺の意思を尊重する事と過ごし方については納得してもらっている様だ。

それは評価するべきだろう。

リリアを帰宅させ、俺も寝室に向かう。

(まさか第二夫人とか……一体何を考えてるんだ)


部屋でアリスが待っていた。

少し酒を飲んだのだろうか…頬が赤い…


「旦那様、待ってた!」

「女子会はどうだった?楽しかったか?」

「うん、楽しかった♪食事もとても美味しかったし♪」

「チラッと聞いたが、第二夫人がどうとか言ってたらしいな。アリスは嫉妬とか無いのか?」


俺の偏見かも知れないが、女性は嫉妬する生き物だと思っている。

世界が違えば、顔を合わさない分ストレスを感じにくいかも知れないが、同じ世界に王妃が2人居たら、毎日顔を合わす訳で、その内爆発するのでは?と思ってしまうのだ。

内戦の始まりである。


「……私は」

「私は?」ゴクリ……

「私は、王妃が2人居たとしても…平等に接してくれたらいいよ?私だけ冷たくされたら悲しいし嫌だけど……旦那様そんな事を気にしていたの?」


バカな…”そんな事”なのか?

そんな事で済まされない問題だと思うが……

転生して10年以上になるが、まだカルチャーショックを受ける。


「旦那様?今日は添い寝したい……//」

「ダメだ。また今度な!」

「いや!今日添い寝する!//」


俺は気付いた。

玉座の横に小さな自分用の椅子を準備したのはアリスの既成事実作りだ。

しかし、旦那様という呼び方や添い寝などは既成事実作りなどの生易しいものではない。


思考操作だ。


竜王バハムートが牙を剥く気配……

俺は一定の距離感を保ちながらやり過ごそうとするのだが…

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