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第28話 女子会

名簿を受け取ったディーテは、会場の手配と食事の指示をしていた。


「ディーテよ、本当に良いのか?」


魔王アルトミアである。

ディーテの姉にして、マカリオス王国の女王。彼女は、王妃など必要ないのでは?と思っている者の1人なのだ。

忙しく、ただでさえ魔界から戻るのもままならないのに、魔界に王妃が誕生してしまったらディーテとの時間が更に減ってしまうではないか…そう思っているのだ。


「私は平気だぞ?私も忙しいし、グルナの身の回りの世話をしてやる者が居た方が安心だ。グルナは召使いが苦手なんだ」

「苦手?」

「自分の身の回りの事をするのに、誰かに指図するのが好きじゃない。だから、仕事以外の事は全部自分でやろうとするんだ」


ふーん。と思いつつも、思い返すと確かに専属の召使いという存在は森の国には居ない。

部屋の掃除をしてみたり、変な時間に戻って来れば自分で食事を作ったりと、凡そ王がする事ではない事をグルナはやっているのだ。

それなら、王妃の気遣いは有難いのかも知れないが。

とは言っても、愛する者と過ごす時間は大事だろ?と思う。

アルトミアに出来るのは、溜め息を吐く事のみ。


地上世界からの参加者は…


ディーテ(主催者)

アルトミア(魔王)

カラ(空軍司令官)

マリア(雑貨屋店主)

刹那(魔王オルフェの妻)

ジーノ(駐森の国大使)

アレクシア(隣国の副騎士団長)


である。


アルトミアと雑貨屋の店主、それに人妻が混ざっているが、彼女らの目的は食事を楽しむ事である。

森の国の食事は美味しいのだ。

アルトミアと刹那は、どの様な女性が立候補してるのかを確認しておきたいのもあるのだ。

アルトミアはディーテの姉であり、グルナは義弟。

魔王オルフェはグルナの兄であり、刹那はその妻。王妃として認められた者とは無関係ではなくなるのだ。


…………………………………………



女子会当日。


森の国では、厳戒態勢が敷かれていた。

ネモフィラ連邦国軍に加え、城は勿論、街の至る所に各国の精鋭部隊が配置され最高レベルの警戒を行う。

それもその筈、城に集まったのは魔界の王の王妃候補達。

万が一も有ってはならないのだ。


時刻は17時。


候補者達は城に到着していた。


お茶を楽しむアルトミアと刹那。

興味は尽きない。


「オルフェは何と申しておった?」

「フフッ、えーーー!!って言ってました。でも、それだけ。それ以上は何も……」

「此処には来てないのか?」

「大人しく城に残ってますわ。男子禁制ですから」


フルプレートアーマーを装備した兵士の中に魔王オルフェが紛れている事を刹那は知らない。


時刻は18時。

会場の準備も整い、いよいよ女子会の始まりである。

続々と会場に入る候補者達。

配膳が終わり、部外者は部屋を出る。


「今日、この会に参加している者は一部を除き、魔王グルナの王妃となる可能性がある。つまり、私と同格となる訳だ」


静かに女子会は始まった。


「分かっているとは思うが、この場で王妃が決まるわけではない。一番尊重すべきは本人の意思だ。誰も王妃として選ばれない可能性もある訳だが……この件を機にこれまでの関係が崩壊してしまうのは避けねばならない。遺恨を残す不安を持つ者は、即刻退場せよ」


誰一人として席を立つ者は居ない様だ。


「では、会を楽しむ前に もう1つ。

これだけ多くの素晴らしい女性が集まったのだ。地上世界に1人、魔界に1人では勿体ない」


場はざわめいた。

現時点では全員”候補者”であり、ディーテの発言には反論出来ない。


アルトミアも刹那も驚きを隠せない。ディーテの発言は、複数の王妃を認めるというもの。魔界だけでなく、地上世界にも。

一体何を考えているのか……

当事者ではないが、物申したい。

しかし、アルトミアは人生で一番我慢し、成り行きを見守る事にした。


「ルールはシンプルだ。各世界で最初に選ばれた王妃が序列1位、絶対である。認められるのは第2夫人まで。魔界の王妃が決まれば月の半分を魔界で、残り半分を地上世界で過ごしてもらう。仮に第二夫人がいた場合、第一夫人は最長で週5日間を共に過ごせる。つまり第二夫人は最短2日となる。勿論、何方とも過ごさないなんて事もあるだろ」


祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。

この世の全ては、変わり移りゆく。不変なものなど無い訳だが……ディーテは何時から考え方が変わってしまったのだろうか……

その変化は良い変化なのか?それとも……


「ディーテよ!本当に良いのか!?」


アルトミアは我慢の限界だった。

考えるまでもなく、第二夫人など必要無いのだ。何の為に存在してるのか分からない様な女に王妃の称号など不要!まさに仰る通りなのだ。


「アルトミア、これは私達とグルナの問題なのだ。本質を違えてはならない」

「本質だと!?」

「ただ一緒に居たい等という、初心(うぶ)な感情だけでは成り立たない。権力が欲しいという煩悩だけでも成り立たない。分かるだろ?」


いや、分かんねぇよ!と思ったが、それ以上口を挟むのを止めるアルトミア。

刹那も同じだ。


「よし!じゃあ女子会始めよう!

この会は、みんなが互いを知り仲良くなる会だ♪

楽しんでくれ♪」


アルトミアは関心していた。

色々気になるし、何を考えているのか分からないが…よくぞ、これ程の者が集まったものだと。

何れも、容姿、経歴は文句無し。

特にアリスという幻獣界の王。

異質とも云うべき輝きを放つ容姿、性格にクセが有りそうだが、内包する魔力量は桁違い…底が見えない。


「ちょっと御手洗い行ってくるっす!」


ジーノである。

トイレの鏡を眺め、気持ちを落ち着かせる。

カラやセレネなどは勿論知り合いで仲良しなのだ。

しかし、驚いたのは魔界からの参加者達である。

(みんなバリ美人やん……ワヤじゃ……)


勝負にならない…

そう直感したジーノは美味しい食事を楽しむ会だと割り切る事にした。

(みんなラスボス級じゃけぇ……やっとれん……吐きそ……)


ジーノ脱落。

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