表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/132

第26話 知的なハイエルフ、魔王様を誘惑する♡

悪い予感は的中した。


翌朝、アリスは俺の玉座の横に少しだけ豪華な自分用の椅子を用意したのだ。

(用事ってこれの事だったのか…)

恐らく、既成事実作りの一環だろう。


「だって、ずっと立ちっぱなしだから足が痛くて…//」


確かに、俺が座っている間ずっと横に立っているのだ…なので極力アリスが居る時は玉座には座らない様にしていた。

椅子を持って来てしまったが、勝手に座るな!立っていろ!とは言えない…俺はサディストではないのだ。


しかし、悪い予感とはアリスの椅子の件ではない。

隠れ問題児セレネである。


今、魔界で繁華街を作ろう計画を、こっそり進めている。試験的に居酒屋をオープンさせたのだ。

明日の夜、その居酒屋に行こうとセレネに誘われている。


……………………………………………



グルナとの食事を楽しむ日、当日。


私はネモフィラ連邦国の守護神セレネ。

今日は、魔界の王グルナ様を食事に誘っているのだ//


どうやって誘ったかと言うと、嘗て森の国で開催されたオリンピック。そのとある種目で覇者となった私は、ディーテ様から”グルナを食事に誘ってもいい券”という素晴らしい褒美をいただいていた。


しかし、悪魔の襲撃があり国の復興もあり…

グルナ様が魔界に行ってしまったりで使うタイミングを見失っていたが、その時は遂に訪れた。使ったのです//


ちなみに、私はハイエルフの姫でもある。

ハイエルフとは、数多の美しい魔物の中でも群を抜いて知的で美しく優雅な一族なのだ。

人間が魔物売買をしていた時代には、ハイエルフを王に献上すれば3代は安泰と云われていたらしく、それ程の価値を持ち、所有欲を満たす存在なのだ。

家柄も良い。


話が逸れてしまったが、食事に誘った目的は…魔界の王妃として認めていただく為の足掛かり。

失敗は許されない…何としても、グルナ様のお傍に置いてもらうのだ!


今日の為に、私は人間の国に化粧品を買いに行って来たのだ。


素の状態で美しい私が化粧をする…

なんと卑劣で卑怯な行為なのか…それは不意打ちにも等しい。


卑怯者?何とでも言うがいいわ!その様な侮蔑など、グルナ様を手に入れられると思えば、取るに足らない雑音。


身を清め、化粧をし、今日の為に用意した勝負服(若干胸元が開いている服)を装備し待ち合わせ場所へと向かう。


「早かったな。ん?セレネ今日は一段と美人だな」


気付いた!!!//


流石はグルナ様、臨戦態勢の私にちゃんと気が付く。嬉しい!♪//

向かったお店は、お酒を楽しめる”居酒屋”というカテゴリーの店。

ここを選んだのもワケがある。


「お疲れ様ー!カンパーイ!」

「カンパーイ♪//」


グルナ様は弱くはないが、そこまでお酒が強い方でもないとムックが言っていたのだ。

(ムック!ありがとう!)

飲み過ぎて弱った所を介抱する…グルナ様は私の女子力と胸元が開いた戦闘服にイチコロになるに違いありませんわ!

そして、以前開催された女子会でグルナ様は奥手であり、押しに弱いとの情報…ニヤリ

必殺技もバッチリ用意してますわ。


楽しく過ごしながら2時間が経過。


「グルナ様…お酒強いんですね…」

「そうか?人並みだろ」


ムック…グルナ様全然酔わないよ?

ダメだ…このままでは、私が先に潰れてしまう…


「セレネ、大丈夫か?少し風に当たりに行こう」


優しい…そして、よく気が付く…流石ですわ!

公園のベンチで2人きりの静かな時間が流れる。

上着をそっと掛けてくれるグルナ様。


こんなに近くにグルナ様が居る…

なのに酔っ払いの女なんて見苦しいですわ!私とした事が…こんな醜態を晒してしまうなんて…

何か泣けてきた…


「セレネ?具合悪そうだぞ?部屋に戻ろうな」


結果オーライですわ!

グルナ様ナイスですわ!


具合が悪そうな私を、お姫様抱っこで部屋まで連れて行ってくれたグルナ様は、ベッドに私を寝かせ、水を持って来てくれた。


「グルナ様…申し訳ありません。折角、誘いに応じて下さったのに…」

「気にするな、また行こうな」

「グルナ様…」

「ん?なんだ?」


今しかない。

あたため続けた超必殺技を繰り出すのは”今”しかないですわ!!


”種を残すという男の本能”


目の前には、明らかに好意を寄せている戦闘服(若干胸元が開いた服)に身を包んだハイエルフの姫がベッドに横になっている。

グルナ様の理性をぶっ壊して差し上げますわ!!


「グルナ様…何だか…」

「ん?」

「何だか…受精したい気分…♡」

「……………!?」


静まり返る部屋。


直球…過ぎた?もう少しオブラートに包んだ方が良かったのかしら…それとも刺激が強過ぎたかしら…

グルナ様は硬直している…

何とかしなくては!


「な、なーんちゃって…テヘペロ♪」

「う、うん…セレネがそんな生物学的なギャグ言うなんて新発見だったよ。今日はちゃんと寝るんだぞ?じゃ!」

「…………」


終わった…


逃げる様に立ち去るグルナ様…

私は眠れぬ夜を過ごした。

この失態がカラやバハムート様に知られてしまったら…


”流言は智者に止まる”

流石はグルナ様。翌朝、私の失態を知る者は誰一人として居なかった。

セレネは懲りずに色々仕掛けます|´-`)チラッ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ