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第16話 魔界コンビニ«アザリコ»其の参

周辺国も纏めて覆ってしまう程の”何か”は、ゆっくりと移動している。


「何なんだ…コレは」


笑うしかない…

こんな化け物を召喚されるなんて思わなかった。

勝てるのか?一瞬、脳裏に過ぎった後ろ向きな言葉に自分でも驚く。

勝たなくてはならない。例え命を失っても。


神の血(イコル)。それは選ばれし者だけが操る事の出来る神の力。

グルナの神の血(イコル)”雷霆”は一気に最大値を振り切り、漏れだした圧倒的な破壊の力は超出力の稲妻となりグルナの体表を走りだす。

招待に応じて、アロカス国に出向き始末しておけば良かったのだろうか?

あの招待に応じておけば、今回の危機は回避する事が出来のだろうか?

無意味と分かっていても、考えずにはいられない。


「ダメだよ?」


メリアである。

顔が青醒めている…勝気で凶暴なニーズヘッグであるメリアが初めて見せる恐怖した表情が、事の重大さを伝えている。


「グルナ様、死にたくなかったら…いや、国を護りたかったら絶対に手を出したらダメ」

「メリア…どういう事だ?」

「あれは、幻獣界の王にして、全てのドラゴンの頂点…竜王バハムート様。

幸い、この国を目指してはいないみたいだから…」


突如、アロカス国で爆発が起こる。

その破壊力は、嘗て巨神族との戦いで魔王アルトミアが放った超大規模殲滅魔法の比ではなかった。

強烈な衝撃波と目も眩む閃光…

その瞬間、魔界からアロカス国は消滅した。

アロカス国の存在ったハズの場所は半径1000kmを越える巨大なクレーターに置き換わっていたのだ。


辺りが明るくなり、バハムートの姿はない。


「バハムート様は好き嫌いが激しいし気分屋だから…今回は呼び出した悪魔が逆鱗に触れちゃったみたいだね」

「マジかよ…呼び出す方も命懸けだな…」


メリアの話では、バハムートは契約に必要な魔力も相当に膨大だが、召喚者の動機も重要らしい。

不純な動機なら逆鱗に触れるのだろうか…

バハムートは芯がある様だ。

話を聞いてしまった俺がバハムートを召喚する事は、今後、万に一つも無いだろうな。


「もう、バハムートは魔界には居ないのか?」

「帰ったと思うよ!気配を感じないし!良かったね♪」


メリアも元気になったし、バハムートは本当に居ないようだ。

もう忘れよう…

一瞬とはいえ死を覚悟してしまったが、事なきを得た俺は街の開発を再開するのであった。


………………………………………



オープン直前のアザゼルの店 «アザリコ»


オープンまで後3日。

大分、店内も整って来た。

アザゼル達は、マニュアルを見ながら模擬接客を頑張っている。採用した悪魔達も無事に研修を終え定着してくれそうだ。


「アザゼル、ちょっといいか?」

「いいですのん♪//」


今日は防犯用カラーボールの説明だ。

魔界なので要らない気もするが、念の為だ。

ボールに入っている液体は色が付くのは勿論だが、もう1つ効果がある。

皮膚に付着すると徐々に浸透し、1分程で強烈な痒みを発生させるのだ。

解除は俺しか出来ないので、出頭しなければ一生痒みと戦いながら生きる事になる。

ちなみに、出頭して来たら解除のついでに闘魂を処方してやるつもりだ。痒みを忘れられるだろう。


「いいか?これは相手に直接投げつけるんじゃないんだ。相手の足元に投げて中の液体を飛び散らせるんだ」

「やってみましゅ!」

「!?強盗が来た時しか投げちゃダメだ!」


ボールはカウンターの客から見えない場所に置いておき、万が一に備える。

サタナス国の住民は問題無いと思うが、他国の悪魔達は分からない。

ボールを使っても怯む事無く襲って来た時は、店長部屋に逃げ込むよう周知している。店長部屋入口の壁と扉は、セレネの装備している鎧に近い材質なのだ。俺でも壊すのに苦労する強度を持たせてある。


アザゼルは手作り弁当のレシピ作りを終え、容器や食材の手配も終わらせている。

緊急通報用とピーク時の応援要員としてムックの分裂体も配置し、後はオープンの日を待つのみだ。


非常に楽しみである。


………………………………………………


アザゼルの店の準備が一段落し、俺はリリアと森の国に来ていた。

今日は、地上世界での俺の部下、軍神アレスに用事があるのだ。


「アレス、お前に頼みたい任務がある」

「グルナ様、内容を伺ってもいいですか?」


アレスは過酷な任務だと察していた。

グルナが直接伝えに来る任務は、毎回死と隣り合わせであり、限りなく不可能命令なのだ。しかし、鍛え上げた身体と全能力を駆使し何とかクリアしてきたのだ。

今回も内容を聞いたアレスの背中を冷たい汗が流れる。


「グルナ様…自分に務まるでしょうか…」

「グルナ様はアレス様を優秀な戦士(ウォーリア)だと仰っていました」

「アレスよ…目の前に居る漢が野生のライオンかどうかは眼を見ればわかる。これを頼めるのは、お前しかいない。明日の22時に城で会おう」


グルナの鋭い眼光はNOとは言わせてくれない。

最早やるしかないのだ。


「必ず成し遂げます!!」


グルナは専用装備をアレスに手渡し森の国を後にする。

グルナは期待しているのだ。魔界の王となり自由が制限された自分に代わり、アレスは見事に任務を達成してくれるだろうと。

アレスとは、そういう漢なのだ。

敵が居なくなってしまいましたが、また違うのが出て来るので大丈夫です|´-`)

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