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第130話 一夫多妻制が強烈苦しい

事故から2日後。


グルナは、配下との絆を解除しクロエに譲渡していた。


「よし、完了だな」

「すごい……沢山の命の鼓動を感じる」


サタナス国だけでも、六千万以上の住人が暮らしているのだ。

クロエは、改めて魔界の支配者として、自分の肩に掛かる責務の重さを感じると同時に、ほぼ0の状態の魔界を、地上世界にも引けを取らない世界に育て上げた父グルナの偉大さを感じたのであった。


譲渡も終わり、クロエと城の大広間に行くと各国の王族達が集まっていた。


「なぁ、俺達は行き来出来るのか?」

「出来るぞ、多分。

ムックの分裂体とシェイドは連れて行くから、少なくとも今まで通り連絡は取り合える」

「え?……多分?

住む家とかも無いんだろ?大丈夫なのか?手伝うぞ?」

「メイドさんと執事も創るから大丈夫だ。

それに、のんびり家作りとかして過ごすのも悪くないと思ってな」

「そうか……」


グルナは、妻達からプレゼントされた魔力増殖炉を使い、許可無き者のアクセスの一切を拒む強固な結界に隔絶された新世界を、別次元に創ったのだ。


少し寂しそうな魔王オルフェ。

まぁ、永遠に会えない訳では無いのだ。

家が完成したら、招待してやろうと思うグルナ。


「グルナしゃま……」

「アザゼル……家が完成したら遊びに来てくれよ?

俺も、元気なアザゼルに会いにコンビニに行くし」

「はい!1番に行きましゅる!新店はグルナしゃまの世界に出店しましゅ」

「フフっ、待ってるぞ」


溢れる涙が零れない様に、必死に堪えるアザゼル。


「グルナよ。礼を言うぞ」

「ん?何のお礼?」

「魔界を開拓してくれた礼だ。お前が来なければ、 何時まで経っても原始時代のままだったろうからな」

「そう言ってもらえて正直ホッとしてる。

無許可でやりたい放題やって、1回はこっぴどく怒られてるしな」

「フフっ、意外と気にしいなのだな」

「今後はクロエの元、更に繁栄するだろう。温かく見守ってくれよ?」

「勿論だ」


魔界の今後は、アンラ・マンユも見守ってくれるのだ。

あれ程、激しく殴り殴られた事が有っただろうか……そんな好敵手の加護が上乗せされた魔界は磐石だ。


「グルナ、ご苦労だった。

俺の分身だから心配はしてなかったが、まさかこんな短期間で魔界を平定して世代交代までするとはな。

正直、驚いてる。

新しい世界ではお前が創造神(ルール)だ、心ゆくまでのんびり過ごせ」

「あぁ、ボケない程度にのんびり過ごすよ」

「グルナ様、また神界(私の元)にいらしてくださいね?」

「う、うん。落ち着いたら行くよ……」


ゼウスと世界の意思(超絶美人さん)も見送りに来てくれた。

どんな感じで、世界を制御するのか謎が多いので、これからもお世話になると思うグルナ。


みんなと話していると、故郷で別れの挨拶を済ませたディーテとアリスが帰ってくる。


「こっちは済んだぞ?」

「旦那様、私も挨拶して来た//」

「……うん、じゃあ俺も皆に挨拶しなきゃな。

クロエ、頼む」

「うん!」


クロエは、ムックの分裂体を各地に放ち、宴を楽しむ魔界の住人達に語り掛けた。


「宴の最中だが、先代魔王から話がある。皆、心して聴くがいい」


魔界は水を打ったように静まり返り、住人達は跪き聴き入る。


「突然だが、俺は魔界を去る事にした。

死ぬ訳では無いぞ?。

だが今後は、あまり会う機会は無いだろう。

遠く離れた場所に、新たな世界を創る事にしたのだ。

離れるが、お前達の今後の心配等していない、寧ろ楽しみだ。

清く強い心を持ったお前達なら、新たな魔王と共に何事も乗り越えていけると信じている。

世の為、人の為などと気負う必要は無い。

ただ、自分の為になると信じて励め、行いは自分に返ってくると思い生きよ。

お前達の未来は、更に光り輝くだろう。

遠くの世界から、見守っているぞ。

さらばだ」


城の上空に、巨大な魔法陣が虹色に輝く。

瞳を閉じ、感謝の気持ちを贈る者。

笑顔で送り出そうとするも、流れる涙を止められない者。

様々だ。


「グルナ、何か凄い我儘言っちゃったな」

「ん?」

「私達だけの世界を創ってくれなんて……今更だけど、とんでもない女だよな」

「…………」


術式が発動し徐々に転移が始まる中、妻達は目を閉じ何かを祈り始めた。


「何を祈ってるんだ?」

「今年はもうすぐ終わるだろ?新しい世界で、来年も仲良く過ごせる様にお祈りしてたんだ」

「私も!//」

「私も、だんな様と仲良く過ごせる様にお祈りしました//」

「…………」


何も言わないグルナ。

次第に景色は白く霞み始め、光速を遥かに超える速度で移動が始まり、やがて次元を超越した。

時間にして5秒程だろうか。

到着した世界は、緑に溢れる大地が広がり、青く透き通った海からは心地好い潮風が運ばれて来る。


「これがグルナの創造した世界か//」

「すごーい//私達だけの世界なのね//」


火種も脅威も存在しない、心安らぐ自分達だけの世界に、妻達は感動しグルナに抱きつく。

抱きつく妻達を抱きしめ返し、グルナは言った。


「……なぁ」

「……?」

「来年だけでいいの?」



”来年も仲良く過ごせる様にお祈りしてた”んだろ?



「「ううん……ずっとがいい//」」


やっと終わったのだ。

使命感から社畜となり、会社の為に働き続け報われる事無く死んだグルナ。

そして、転生してから数十年。

魔物の為に戦い、魔界の為に戦い、他の世界の者の為に戦い……

そして今、戦いに次ぐ戦いの日々は終わり、その背中に”命”という重責を背負う日々は終わりを告げた。

これからは、愛する者達と自分の為に生きれるのだ。


これまでを思い返すと、辛い事は山ほどあった。

よく今まで生きていたものだと自分で関心するグルナは、ふと思ったと言う。


”思い返せば、開拓よりも戦争よりも……一夫多妻制(妻達に翻弄される日々)が強烈に苦しかったな……ハハハッ”



おしまい。

誤字、脱字のみならず、不可解な部分の多い駄作を最後までお読みくださりありがとうございました。

ブクマや評価をして下さった皆様、覗きに来て下さった皆様のおかげでエタる事無く描き終えることが出来ました。最早、感謝の気持ちしかありません。

これにて、”«2度目の異世界は魔界開拓»何より一夫多妻制が強烈苦しい”は完結となります。

今後は、シリーズ完結編”《神々のお遊び》元魔王様は勇者になって魔王を倒したい!”(タイトル変更を変更する可能性があります)の連載を始めます。

これまでの作品とは全く違う世界観を、マシなクオリティで描けたら(願望)と思っております(笑)

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