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第122話 次期魔王について

ヒソヒソと、何やら話をしているメイドさん達や幹部達。

魔界に戻ると、魔王を待っていたのは妻達からの説教であった。


「旦那様?旦那様は魔界の支配者なのです。

王の中の王、King of Kingsなのですよ?

今回の件で、民は勿論、私達がどれ程心配した分かりますか?首を突っ込むなとは言いません。

でも、少しは私達の身にもなってください。アザゼルだって、どれ程あなたの事を心配していた事か。リヴァイアサンなんて、鱗が全部抜けてしまうぐらい心配して…………………………どうのこうの………………………………………………………………どうのこうの………………………………………………………………………………………………………………」


3時間にも及ぶ説教が終わると、翌朝まで、王の間の入口でバケツを持ったまま晒し者にされた魔王は、心の底から反省したのだった。

(首突っ込んだ事もだろうけど、本命は強烈苦しい発言だよなー。まぁ怒るわなー)


「魔王よ。何をしておるのだ?」

「見て分からん奴には、言っても分からん」


アンラ・マンユ降臨である。

晒し者になった魔王を弄りに来た訳ではない。アンラ・マンユは、次期魔王の件で話をしに来たのだ。


「で?その無様を晒す仕打ちは、後どのぐらいで終わるのだ?」

「分からない。妻達に聞いて来てくれ」

「ふむ」


数分後、王妃達に聞きに行ったアンラ・マンユが帰って来た。


「明日の朝食が出来上がるまでらしいぞ。後15時間後にまた来よう。喫茶店で待っておるぞ」

「うん、じゃあ後で」


その後も、様々なものが魔王を襲うのだ。


漂う夕食の香り。


目の前を横切る、米粒を頬っぺに付けた黒ムックの姿。


水の精霊とジェイドによる、執拗に続く脛への蹴撃(トーキック)


そして睡魔。


体内時計が夜明けを報せた時、現れたのは謎の生命体(毛サラン)であった。

魔王が持っていたバケツを撤収し、食堂へ案内する毛サラン達。


「…………//」

「なぁ、まだ怒ってた?」

「…………//」


謎の生命体曰く、王妃達は怒ってはいない様だ。

少し安心した魔王は、テーブルに着いた。


「旦那様?懲りた?」

・それより、お腹すいた

・すごく懲りた ««

・懲りた


「うん、すごく懲りた……」

「だんな様?私達との結婚生活は強烈に苦しい?」


・正直、苦しい時もある

・ドMの俺にとっては、まるで麻薬の様だ ««


「いや、苦しいどころか、寧ろ病みつきだ……」

「グルナ、私達の事をどう思ってるんだ?」


・いきなり、そんな事聞かれても

・これからも宜しくお願いしたいです ««


「命よりも大切な存在だと思ってる。これからも一緒にいて欲しいです……どうか、お願いします」

「「よし!許す!!//」」


許してもらった魔王は、朝食を手に入れた。


「グルナ?この後、アンラ・マンユと会うんだよな?」

「うん、次期魔王の件らしい」

「私達からの要望は伝えておいたぞ」

「……要望?」


気にしつつも合えば分かる事と思い、魔王は美味しい朝食を楽しむ。

朝食を済ませ、向かったのは街の喫茶店。

店内の一番奥の席には、やや細身の美青年が1人……

4人掛けの席に1人で座っている。


「邪神のオーラって消せるのか?」

「うむ。皆、寛ぎに来ているのであろう?」


珍しく気を遣うアンラ・マンユ。

それならば何故、城ではなく喫茶店なのか。

ましてや、これから話す内容は、次期魔王についての大切な話なのだから違和感しか無い。


「魔王よ。例の飲み物は?」

「今、ドリップ中だ。楽しみだな」


魔王が、魔界の喫茶店でのみ楽しめる珈琲豆を作る為に品種改良を指示していたのだ。

悪魔達は、数年間の試行錯誤を経て出来上がった新種の珈琲豆を、更に手作業で上質な物のみに選別していた。

それを、興味深く見守っていたアンラ・マンユから試飲をさせろと言われていたのだ。


「香りが強いな。フルーツの様な爽やかな香り……悪くない」

「モカみたいだな」


アンラ・マンユも魔王もご満悦である。

珈琲を楽しむ2人は、本題の次期魔王の件について話し始めた。


「オリオンは、御伽の世界の支配者として君臨しそうだな?」

「まぁ、カーラとローラ次第な感じだけどな。帰ってくるにしても1年後だろう。

そう言えば、妻達からの要望って何だ?」

「ん?あぁ、来月中に王位を継承させろと言っていたな。それと、これは要望では無いが、試練は終了で良いのではないかと申しておったぞ」

「来月中!?」

「試練はともかく……王位継承を来月中なんて」

「クロエで良いではないか。悪魔の血を引き、大天使(サリエル)の能力も操るのだ。申し分無いぞ」

「女魔王か。確かに、アリだな……ってなる訳無いだろ!匂わせてはいるが、クロエどころか幹部達も何も知らないんだぞ!?」

「伝えてみれば良かろう?とにかく、俺はクロエが魔界の支配者に成る事に文句は無い。

オリオンも良いが、創造神の本音としては、やはり悪魔の血を引いている者が王に成るべきと思うのだ」


アンラ・マンユは邪神界に戻り、一人喫茶店に残る魔王。

その後、数時間悩み続けた。


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