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第1話 魔界に行く準備をしよう!

回が進む毎に色々と不可解な出来事が起こり始めますが、温かく見守っていただけると幸いですm(_ _)m

誤字の御指摘やアドバイス、コメント等は常時受付けております。

厳しいコメントも真摯に受け止めて、良い作品の糧にしていきますので宜しくお願いします。

俺はこの物語の主人公 グルナ。

過労死し、異世界に転生した日本人だ。

今はネモフィラ連邦国(通称:森の国)という国で軍の最高司令官をしている。

転生してから色々あった…魔王候補を育てろと言われ、国を興したり、悪魔と戦ったり…もう思い出すのも大変なほどだ。

だが俺は見事、魔王候補を育て上げ、悪魔の王サタンを倒した。

ホッとしたのも束の間。

二度と悪魔が、この世界を侵略しない様に魔界を支配しろ!!と指令を受けたのだった…


プティア王国某所。


今日は、ある人物に会いにプティア王国という島国に来ている。


「久しぶりだな」

「あ?俺は見世物じゃねぇぞ。何の用だ!」


この口の悪い馬鹿野郎はミダス。

何度となく世界大戦の引き金を引き、最終的に俺の部下にボコボコにされた挙句、異界の地で禁錮1000年を言い渡された日本からの転生者である。


「此処から出たくないか?」

「おい!マジかよ!出れるのか!?」

「出してやってもいいが、条件がある…」


ミダスが収監されている建物は、魔王デメテルの維持する逃亡侵入防止結界に覆われ、脱獄は不可能。

俺の出す条件を飲めなければ、娑婆の空気は死ぬまで吸えない。

正直あまり期待はしていなかったが、ミダスは快諾してくれた。

出所は1ヶ月後に決まったのである。


俺が森の国へ戻った後、プティア王国で少し騒ぎがあったようだ。


「グルナ様、看守が驚くので手加減して欲しいとプティア王国から要望が来ております」

「ん?俺は何もしてないぞ?嬉しすぎて壁に頭ぶつけたんじゃないか?」


しかし、魔王デメテルは後に語る。


「びっくりしましたよ。

ミダスの様子を見に行ったら、白目で泡を吹いて失禁してたんです。

頬にはくっきりと手の平の跡が残ってまして、最初は平手打ちかなって思ったんですが…どうやら掌打だったみたいですね」


脅したのではない。出所祝いに闘魂を注入してやっただけだ。

必要な人材は揃った。1ヶ月後、俺は新米魔界の王として悪魔達に認めさせつつ魔界の支配を開始する!


とは言ったものの、悪魔達の王サタンとの死闘の後、天空の神々から魔界への転移門(ゲート)を開く能力を授かったのはいいが、国の復興やら諸々あり過ぎて1度も行っていないのだ。

アザゼルは何も無くて退屈な所と言っていたが”無”ではないだろう。

試しに見に行ってみた。


「グルナおかえり!魔界はどうだ?草とか生えてたか?」

「うん、草は生えてたな。一応、木も生えてたぞ」


俺の帰りを待っていたのは、妻のディーテ。

森の国の女王にして、俺が育て上げた元魔王候補の美少女だ。

今では立派な魔王だ。

最近、結婚した。


話が逸れたが、魔界には意外にも植物や川、湖もあった。見慣れない植物だらけだが、慣れれば問題無さそうだ。

唯一、気になるのは日照時間。

大体だが、夜が10時間・夕方12時間・昼2時間なのだ。

1日の大半は薄暗い…まさに魔界だ。


「ミダスが出所したら、本格的に開拓を始めるから暫く留守にするぞ」

「……留守にするのか?」

「…?…うん、留守にする…」

「…わかったぞ!頑張れ!!」


非常に聞き分けがいい…

何時もなら、自分も一緒に行くだの通勤しろだの言って騒ぐ可愛いやつなのだが…

こんな時は何かを企んでると思うべきだろう。

俺は家では野党だ。通勤しろと言われたら従うしかないのだ。何を企んでるか知らんが今回は有り難い。


出所の日、ミダスを迎えに行き娑婆の空気を吸わせてやる訳だが、コイツは逃走する恐れがある。

前科二犯だ。なので安全装置を仕込んでおこうと思う。


「ミダスはん、うちの呪印は強力やさかい逃げられへんで?逃げようとしたり危害を加えようとしたらホンマに知らんで…折角、娑婆に出たんや長生きしなはれ」


ミダスに圧力を掛けているのは、森の国の商務長官ファム。

ファムは森の国に攻め込んで皆殺しにされた敵兵数万人を、呪印を刻んだ上で蘇生させ捕虜にしたが、一斉蜂起される事もなく1人の逃亡者も出さなかった呪印のプロである。


魔界の支配兼開拓だが、既に拠点はある。

前魔界の王サタンの領地をそのまま貰うのだ。

だが、城などは建て直す。何しろ不気味な作りだし、縁起が悪いだろう。

先陣として魔界に行くのは俺とドワーフの職人、精霊やゴブリンなど森の国の種族達1000名。そして護衛としてカラとオーガ族の戦士100名程。

ミダスには暫く森の国で研究をさせる予定だ。

護衛が少ないと思うかも知れないが、カラは元ガーゴイルにして森の国の飛行部隊長。美人な見た目とは裏腹に、数万の悪魔達を瞬殺する超が付く程の猛者である。


この間視察しに行った時は悪魔に遭遇しなかったが、サタンの城には悪魔の家臣が居るだろう。

みんなを転移させる前に、安全確保…先ずは挨拶だ。

相手はサタンの城に居る悪魔達。手加減などしている余裕は無いかも知れない。


部屋には、発注してあった服が届いていた。

ヘルモス王国という魔王の国。その魔王の王妃刹那に依頼していたのだ。

ちなみに、刹那は元森の国の住人でヘルモス王国へ嫁いだオーガ族の姫だ。

高い防刃性を持つ魔物糸で作られた黒いシャツに蛇柄のスーツ。鰐皮の靴。

それに合わせるのは、ドワーフの職人クラティスが作ったサングラス…


それらを装備し、俺はサタンの城へ向かったのであった。


………………………………………



サタンの城。

家臣達はサタンの死に気付いていた。

サタンとの心の絆が切れ、その支配から解放されていたのだ。

自分達の主であるサタンの実力はよく知っているつもりだった。魔界は広大で未開の地がかなり残っている。

勿論まだ見ぬ強者が居るかも知れないが、少なくとも、今の時点でサタンより強い悪魔など聞いた事もないのだ。

そのサタンを凌駕する猛者が居るとは…

サタンの話で持ち切りになっていた城に、遂に”その”猛者がやって来てしまう。


「侵入者だ!城門が破壊されたぞ!!」


正面から堂々と侵入してくるとは…サタンを始末した者に違いない。

サタンを倒す様な者に勝てる訳がない。恐怖した家臣達は王の間に避難した。

城には王の間を守る兵士の叫び声が響き渡る。

(もうダメかも知れない…殺されてしまう…)

怯える家臣達の前に、遂にその猛者は現れた。


「…おい、お前達がサタンの家臣か?」


なんと悪そうなヤツなのだ…コイツァは極悪だ…

しかも、極悪なだけではない。あれ程の兵士を1人で片付け無傷で王の間まで辿り着く生粋の猛者!

悪魔達は死を覚悟した。


「お前ら!俺は今日からサタンに代わり城の主となるグルナだ!夜露死苦!!」


シーーーン。

静まり返った部屋。

家臣の1人が口を開いた。

「よろしくお願いします…」


グルナは混乱していた。

悪魔達は明らかに自分を恐れている。

もしかして…やり過ぎたか?

蛇柄のスーツに鰐皮の靴。そしてサングラスという佇まい。”夜露死苦”という死語を巧みに捩じ込んだ対悪魔用挨拶…


…普通で良かったのかも知れない。

そう思い始めたグルナは急に恥ずかしくなった。


「サタンを倒したのは俺だ。サタンの領地は俺がもらい、好き勝手に開拓する。文句あるか?」

「…いえ、文句ありません。よろしくお願いします」

「……………………」

「いいのか?この城は壊して建て直すぞ?本当にいいのか!?」

「老朽化が進んでましたので丁度いいタイミングかと…工事は何時から始められる予定ですか?」

「えっ?…明日から始めたいけど…」

「承知しました。必要な荷物だけ今日中に運び出しておきますね」

「…うん、よろしく頼むよ…」

(普通に話は通じるな……)


こうして、俺はサタンの元家臣達に挨拶を済ませ拠点を確保したのであった。


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