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6代目総長の極めし道  作者: ジロ シマダ
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決まっていた運命

 「総長!」


 連絡を受け聖は大慌てで駆けつけた。30分前にめったにならない携帯電話がなりだし見れば『6代目』という表示に聖はすぐにスワイプした。


 「菊池組消すから」


という尊の声のあとに聞こえる切断音が聖の耳に入る。

 聖は10秒ほど切断を聞きながら固まっていたが理解した瞬間、事務所を飛び出した。聖は尊の散歩してくるくらいのノリの声を思い出し体を震わせる。




 うずくまる菊池のそばに膝をつき、開いた本を聖は手に取った。息で揺れていた肩を怒りでもっと震えさせると本を菊地の頭にたたきつける。


 「聖、お前は知っていたのか」

 「いえ! こんなやつだとは」


聖の手の本には子供といっていいような女の子や若いアイドルたちが食い物にされている写真が閉じられていた。聖の言葉に頷くと尊は椅子から立ち上がり、黒木が椅子に触れていたところを軽く払った。


 尊は足元に転がる組員を踏みつけ聖を見る。


 「これは俺が連れていく。そいつの処分はお前に任せる」


尊の言葉に聖はひきつった顔で頭を深く下げて了承した。黒木が入口を開けると組員がしりもちをついて尊を見た。情けない組員に尊は親指で後ろを示し命令する。


 「あれをもってこい。行くぞ、黒木」


 這う態で転がっている仲間に近寄れば鼻は折れ、指もあり得ない方向に曲がり血濡れた姿があった。その姿に誰もがぞっとした。


 「何をしている! その屑を持っていけ」


聖の怒声に震えながら仲間を組長室から運び出して行く。聖はそれを見送るとうずくまる菊池を殴りつけた。


 「お前がそんな屑だとみぬけんだ俺がばかだった!」


 半年前に傘下に収めたことを後悔した。尊の中で聖の株が下がったことは明白である。八つ当たりも含め菊池を力の限り踏みつければ、あばらのおれる音が小さく部屋に響いた。






 「お手数をおかけしました」

 「・・・・・・あぁ」

 「総長自ら動いてくれたとは」


 尊の目の前には副総監の山戸、警務部長の源田が座っていた。神林組本邸の応接間に警察がいるのはおかしいように見えるがお互いのために取引をする案件は多くある。今回の件も一般人を巻き込んだ事件で犯人はできる限り表で捌かなければならない。


 「今回はご迷惑をおかけし申し訳ありません。菊池組についてはうちで始末をつけました。柏木さんの容態は」


 「大丈夫ですが今後はこういうことがないようにきちんと管理してくれないとこまりますよ」


もみ消すことが面白くないのか尊にあう源田はいつも渋い顔でにらむような眼で尊を見る。そして・・・・・・


その源田が気に入らないのか黒木が源田をにらみつけてしまう。これもいつものことではあるが源田の発言を山戸が


 「源田部長、総長は悪くない。言いすぎだぞ」


とたしなめた。


 「すいません」


納得いかない顔で源田はお茶を飲んでから事情聴取を始め、尊は質問に答えながら思った。


 「早く帰れ」


 尊は心の中でそういった。何度でもいうが本邸は尊のテリトリー、部外者にあまり長いをされたくないというよりは入られたくない場所だ。


 「では我々はこれで失礼します」

 「ありがとうございました。黒木、お送りして」


 山戸と源田を見送り、部屋に戻ってきた黒木はソファでぐだる尊に小さく笑ってしまう。菊池組で見せた鋭い刃物のような雰囲気、のらりくらりと人を交わす先ほどまでの雰囲気とは違いありのままの尊の姿に笑みがこぼれる。



 「今日の夜ごはん何?」

 「さぁ? なんでしょう」

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