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6代目総長の極めし道  作者: ジロ シマダ
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会場に響く

 「おっ! 黒木!」


 尊の呼ぶ声に走ってきた黒木もテレビを見て驚きの声を発する。

 「これからが大変だろうね」

 「そうですね」

 画面には頭をさげながらも凛とした様子で会見に挑む未来の姿があった。

 未来は堂々と彼氏がいることを伝えた。記者たちは人気アイドルの告白に衝撃を受けいろいろと質問を投げかける。真剣に答える未来に視聴者やファンはどう感じるのだろうかと尊は思う。


 たまに画面の端に未来の横にはマネージャー原田の姿が映る。その原田はどこかほっとした様子な顔をしていた。記者の様子を映そうと動いた映像に入った野口は原田とは対照的に壁際でうなだれるように頭を抱えている。


 尊は未来と原田が勝手に手配して会見を開いたと理解した。大胆な行動に尊は楽し気に小さく笑った。




 会見が終了した未来の背にワイワイとまだ聞きたいことがあると記者たちの声が追いかける。追いかける声ににこやかに笑みを振る舞く未来が倒れた。会場の人は気が付いていないが尊は気が付き、画面の中で小さく飛び散る血を目で追っていた。


 「あっ!? 若!」


 黒木は驚きのあまりテレビをつかんで覗き込むが番組はすぐにスタジオに切り替わりそれ以上現場の様子を映し出さなかった。尊は不快感をあらわにテレビを消す。


 「撃たれたな。柏木さんの周辺を調べさせろ」


 尊は黒木にそう命じると携帯電話を取り出した。


 「俺だ。グランホテルの監視カメラのデータを集めろ」


 椅子に掛けたジャケットを手に部屋を出た。幹部たちがいう冷徹が顔をのぞかせる。銃はそこまで困難なく手にはいる代物だ。ただし普通の経路ではない。尊は銃を扱ったのが神林組ならば粛清対照だと目を細めた。

 尊とすれ違う組員は脇に逃げ、廊下を開けた。



 到着してまっすぐ、本部の地下室に入れば大きな機材がでんと構える冷えた部屋が尊と黒木を出迎えた。さらに奥に進めばパーカーに白衣の男が1人椅子をくるくる回している。尊の姿に椅子の回転を止めるとキーボードを軽やかにたたく音が聞こえてきた。


「集められたか」

「はい、総長。おそらく探し物はこれでは」


 咥えていたキャンディを持ちながらEnterを本居は押す。目の前の大きなモニターにホテル内の動画が映し出される。個人経営などの店はオフラインでカメラを設置するがホテルなどは大概オンラインで管理するため本居にかかればすぐに情報を抜き取ることができる。


 モニターは会場の入り口についているのか部屋全体が映し出されている。未来が打たれた場所と軌道を考え視点を絞り込む。

 すると1人の男が目についた。時間が進んでいくと壁にもたれるように立っている男が薄気味悪く口を歪めた瞬間、胸ポケットから少しだけ黒光りするものが顔をのぞかせる。

 尊と黒木が思った通りサイレンサー銃を使用していた。尊が本居に男の顔を拡大させていると黒木の携帯電話はなった。


「すいません」


 黒木は少し言葉を交わすと電話を切った。


 「未来ちゃんはどうもストーカーされていたかもしれないそうです。気のせいかもしれないと周りにこぼしていたそうです」


 黒木の報告を聞きながら尊は拡大された顔をみて眉を顰める。


 「どこかで」

 「知っている男ですか」


 黒木は画面をみて考える。そばにいないことのほうが少ない黒木は自分も見たことがあるはずと頭をひねる。尊が手をたたいた。

 「クラブで後ろに控えていた男だ」


 尊はクラブで菊池の後ろで影のように控えていた男が画面の顔をしていたことを思い出した。

 つまり、神林組関係者であることが確定したということになる。そうわかれば一層尊の雰囲気が鋭くなった。

 本居は尊のまとう空気に十字をきってあったこともない人間の冥福を祈り、黒木はそんな本居を肘でつついた。


 「行くぞ、黒木」


 サングラスをかけ部屋を出ていく尊を黒木は追いかける。それを見送る本居は


 「あららぁ‥‥‥まぁいいか! 相手がどうなろうと関係ないし! ゲームの続きしよ」


コントローラーをカチャカチャを動かした。

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