後始末後
「せんぱーい! よかったです!!!」
堂園はベッドに横たわる長谷川に涙をぬぐうことすらせず、嬉しそうな声を上げる。長谷川はものすごい顔に引きながらも生きていたことに感謝していた。
そして、堂園が死ななかったことに安心すると、福田はどうなったのかと気になってくる。自分が無事に生きているということは捕まっていることは確実だ。
「福田はどうした」
「捕まりました」
「・・・・・・それはわかっている。お前が捕まえたのか」
ものすごい時間を有したが堂園がぼそぼそと答えた。
「神林組総長が・・・・・・」
「・・・・・・やはりか」
長谷川は何となく予想していた答えに少し上げていた頭を枕に沈めた。
「(お偉い方にとやかく言われるだろうか)」
と新しい悩みの種が生まれた。
長谷川を見ながらわざわざ言う必要はないとは思ったが、堂園は懺悔する。
「おれ・・・・・・先輩が打たれたとき福田を殺そうと思ったんです」
「・・・・・・」
「でも・・・・・・神林総長が刑事が殺意を抱くものじゃないと教えてくれて」
堂園は自分の手を見つめた。情けなく震えている手はあの時の自分への恐怖からだと長谷川はわかった。
「お前は殺さなかった」
長谷川はそれだけ言うと仕方がいないやつだと堂園の頭を強く撫でた。
栄組の情報を福田が有しておらず、騒ぎにならなかったため栄へのお咎めはなく神林組は平穏な毎日がすでにスタートしていた。




