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6代目総長の極めし道  作者: ジロ シマダ
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大切とお気に入りの違い

 神林組本部では珍しく本居(もとい)が地下室から出てきていた。総長室のソファで携帯ゲームを楽しむ本居(もとい)に黒木はすでに諦め何も言わない。そして睨みつけるのも無駄と隣に座り新聞に目を通していた。



 「ねぇ、総長」

 「なんだぁ」

 「あの強盗殺人、結構、凶暴だけどいいの?」


 何が言いたいのかと(たける)は書類から顔を上げれば、本居(もとい)(たける)に目を向けていた。その目は若干拗ねた子供のような色をしている。

 (たける)はその目に首を傾げ、本居(もとい)はそんな(たける)に面白くないと口を尖らせる。

 (たける)はいつまでも拗ねられていては困ると直接本居(もとい)に問いかけた。


 「いいの? ってどういうこと」

 「気に入ったんでしょう? あの刑事」


(たける)本居(もとい)の言いたいことを理解して頷いて書類に視線を戻した。あまりにくだらないことだったからだ。 


 「気に入っただけ」

本居(もとい)(たける)が監視カメラの映像を用意しろと指示した時にパッとでの刑事を助けるのかよと面白くなかった。しかし映像を提供するだけでそれ以上動かない(たける)に首をひねってしまう。助けないのかと思う。

 (たける)は刑事として堂園を気に入ったというだけでそれ以上助けるほどではない存在として認識していた。簡単いえば警察官というカテゴリー内で人気ランキング上位に位置しているというだけのことである。


 そして映像を提供したのもただの市民として協力したようなものだ。(たける)の答えに本居(もとい)はさらにとがらせて首をかしげる。


 「よくわからないなぁ。気に入ったものは大切なものでしょ」

 「気に入ったといっても大切かどうかは別だ」


本居(もとい)は口をとがらせて携帯ゲームに視線を戻し、納得いかないなという顔をし続けている。(たける)はくすくすと笑いながら本居(もとい)を見た。


 「人の考え方なんて簡単に理解できないよ」


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