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6代目総長の極めし道  作者: ジロ シマダ
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神林と幡中の対峙

 「俺のものが世話をかけたようだな。そろそろ、返してくれると嬉しい・・・・・・幡中(はたなか)さん」


隠岐(おき)がバンっとあけた扉をくぐり、尊は開口一番幡中(はたなか)に提案した。提案というには強制力がある声だった・・・・・・


 幡中(はたなか)は初めて見る6代目総長の姿を思わず、凝視する。若い若いと聞いていたが青年といっていい尊の姿に一目で総長とわかるオーラを放ち、出会って早々に堂々自分に物申す度胸。

 「(危険だ)」

と感じた。肌で、目で、そして頭で・・・・・・



 尊は床に押さえつけられ何度も殴られたのか痣まるけの應武(おうたけ)を見た。死んではいないがやはり自分の大切なものを傷つけられるのは不快であると顔をしかめる。そして抑え込む男をにらみつけた。

 「はい、そうですかというて返すやつはおるか」



 幡中(はたなか)の怒気など気にせず流し返事を返す尊。そんな尊が逆に問いかけた。


 「いてほしいところだ‥‥‥幡中(はたなか)さん、あなたは一体何をしに東京に」


ここで全国制覇のためだといえば尊はそうですかとまた流すだけであったが、幡中(はたなか)は違うことを言った。


 「おまえは危険だ‥‥‥いつか関西にまで支配を広げられる前につぶしておかねばいかんだろ」

 「‥‥‥ふっ! ははははははは!!」


 尊は体を曲げて思いっきり笑った。その爆笑に幡中(はたなか)も大国組組員もそして神林組側も尊を凝視する。


 「そんなことするわけないでしょうっ! ははははっ!」

 「何がおかしい」


 まだおかしいのか肩を震わせる尊に幡中(はたなか)は掴みかかった。それをすっとよけた尊はふっと笑った。

 流れるようによけた尊に武闘派の幡中(はたなか)は驚いてすり抜けた手をみた。


 「俺は支配を広げようなんて思いませんよ。もし東北のことを言っているなら、あれはたまたま」

 「というかうちの総長がやろうと言ったら4日で全国制覇できるぜ」


 「隠岐(おき)~、いらないことを言うな。それに全国制覇ではなく全国の組の崩壊だ」



 けろっとした顔でのたまう尊と隠岐(おき)にさすがの寡黙で幡中(はたなか)も目も口も開いてしまう。笑いをおさめ尊は幡中(はたなか)から視線を外す。

 いまだに應武(おうたけ)を押さえる組員2人をみると不愉快だと顔をゆがめながら1歩前に出た。そして左手の銃口から2人の肩を弾丸で放つ。突然攻撃をしかけた尊を撃ち殺そうと大国組が動いた。


 しかし、それよりも先にいつの間に握られていたのか右手の銃で幡中(はたなか)の額を狙っていた。信じられない動きに誰もが恐れをなし、聖たち幹部も目を見開いた。銃の扱いがここまでうまいなど思っていない。


 還田(かんだ)はやはり黒木に仕込まれただけはあると感心するように一つ口笛を吹きならす。

 「黒木」

尊が呼び声に黒木は應武(おうたけ)を支え起こす。應武(おうたけ)が手元に戻ったことを確認すると幡中(はたなか)のほうに尊は顔を向けた。


 「俺は大切なものを守るためなら何でもする。そして傷つけられればどんな手を使っても復讐する‥‥‥だから‥‥‥安心して何もせずに大阪に戻ってください」


 幡中(はたなか)は20も年の離れている目の前にたつ尊に恐れている自分が信用できなかった。武者震いなどではないとわかる。

 化け物を前にしているようだと額から汗が自然に流れる。

 「なにが安心できるのか」

幡中(はたなか)は言いたかったが唇を開かず黙って尊を睨みつけた。


 目の前の男を慈愛溢れる天使などといったやつは騙されていると幡中(はたなか)はせめて怖気づいたことなど出さないようにポケットに手をいれて胸を張った。


 「今回はひこう」

 「親分!」

銃を尊たちにむけて大国組組員はなぜここでやめるのかと声をあげる。




 「では私はこれで失礼します」


 一人称もかわりふわりと笑う尊に大国組は声をとめた。先程までの存在感が嘘のようにそこら辺にいる大学生のそれにあっけにとられる。幡中(はたなか)にもう一度ふわりと笑みを向けた尊を先頭に應武(おうたけ)を支え去っていく尊も神林組に何もすることができず見送った。





 「すいませんでした・・・・・・総長」


 痣まるけの應武(おうたけ)は本部大会議室で正座だ。湖出と栄の間の位置で机に腰を下ろす尊からの無言の圧力に應武(おうたけ)はじっとたえる。

 しかし、長い無言に耐えられなかった應武(おうたけ)は口を開いた。



 「勝手に動いて捕まって」

 「はぁ・・・・・・まぁ私も應武(おうたけ)さんに言える立場ではないですが私が勝手に動かないように指示を出したときは動かないように。以上」


 尊はそれだけいうと机から降り、手を降りながら会議室を出ていく。隠岐(おき)は見送ると應武(おうたけ)の肩をポンポンと叩いた。


 應武(おうたけ)は顔を上げ隠岐(おき)をみる。ずっと気になっていることを應武(おうたけ)は聞いた。


 「頭、あいつらやったやつが死んだっていうのは本当ですか・・・・・・大国のやつらに見せてもらったんです。写真を」


應武(おうたけ)の言葉に隠岐(おき)還田(かんだ)は顔を見合わせてあららと似たような表情をする。


 「その・・・・・・ものすごい惨状で、俺、気がついたんです。あいつらが撃たれたところや組員や俺が撃たれたところを撃たれていて、誰がやったんですか」


 應武(おうたけ)は写真をみてすぐに気がついた。神林組の誰かがやったということを警察の一部や神林の幹部しか知らない撃たれ部位を知っていることから、この中の誰かがやったか命じたのだと察しが付く。


 「総長だ」

 「えっ」

應武(おうたけ)隠岐(おき)の返答に嘘だろと目を見開いた。隠岐(おき)は困ったようにハンチング帽をくるくる回し、還田(かんだ)もその横で乾いた笑いをこぼした。


 「おっしゃっただろ? 大切なものを傷つけたものには復讐すると」

 「頭、あの後調べたんですがね。頭の言う通り総長は天使ですね」


 還田(かんだ)隠岐(おき)にいえば隠岐(おき)はだろと仲間ができたと嬉しそうに還田(かんだ)に肩を回した。楽しそうな2人に話がつかめない幹部は尊を天使だと称する隠岐(おき)還田(かんだ)を信じられない目でみていた。

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