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6代目総長の極めし道  作者: ジロ シマダ
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川熊事件の余韻

川熊(かわくま)は指を2本を失いはしたがカタギの世界で細々と生活していくことになり、神林の一員と望んだ組員は湖出(こで)が引き受けることで落ち着いた。そして尊は望んではいなかった東北地方が神林の支配地になってしまった。



  「さすがは総長!」


手のひらくっるくっるの(ひじり)(さかえ)が幹部会で尊を持ち上げる。尊はわかりやすいまでの手のひら返しに楽しそうにくすくすと笑った。


 「たまたまですよ」

 「さぁ! このまま全国制覇に突き進みましょう!」


(さかえ)が拳を天井に突き上げながら意気込みを叫ぶ。それにわらわらと賛同の声が上がる。


 「しないよ」


 「「えっ」」


 尊の否定の言葉にこぶしを突き上げていた者たちがその状態で固まり顔だけ尊のほうを見る。帽子を顔に乗せ上を向いていた隠岐(おき)が体を起こす。

 「なぜですか」


 「逆になぜ全国制覇したいのですか」


(さかえ)がすかさず尊に言葉を返した。


 「夢です」


 「夢? 夢のために血を流すのですか? 俺達だけならまだいい・・・・・・カタギに世の中に迷惑をかけてまで夢を追いかけますか」

 「それがヤクザです」



 (さかえ)の言葉に尊は立ち上がり全員の顔を見た。尊の鋭い眼光に誰もが目を離せない。真正面から捕らえられた(さかえ)は息も忘れ、その目をみることしかできなかった。


 「たしかにヤクザだ。でもただのヤクザじゃない。極道者(ごくどうもん)だ」


 尊の言葉に息を詰まらせ背筋を思わず伸ばした。極道者(ごくどうもの)、弱気を助け強気を制す任客を極めたものを指す言葉でヤクザにとっても憧れだ。


 「そのことを忘れるな」


 黒木と還田(かんだ)を従え部屋を出ていく尊が扉の向こうに消え、パタンと扉が閉まった瞬間、床にへたり込む人、額をぬぐう人に別れた。


 「くぅ~! さすが総長だぜ!」


隠岐(おき)は拳をぐっと握りうれしそうな顔で総長席を見た。湖出(こで)もつられて総長席を見てしまう。普段は穏やかな口調で総長かと疑われるような男それが尊だが、やはり仕えるべき方だと思った。


 「6代目におなりになり1年半、改めて総長はあの方しかいないと実感させられました」


湖出(こで)は若干潤んだ目で言った。

 それに対して隠岐(おき)

 「何をいまさら」

と笑うと深く総長席に頭を下げ部屋から出ていく。(ひじり)(さかえ)も不服ながら自分たちの上に立つ総長の姿を目の当たりにし普段の反骨はこのときばかりは鳴りを潜めた。





大阪府某所

 「東北が神林組のものになっただと!? いつのまにたたこうたんや!」

 「戦わず、手打ちでかたつけたようです」

 「んな、あほなこと・・・・・・幹部をすぐにあつめろ」

関西最大組織大国(おおくに)組2代目組長幡中(はたなか)は甘く見ていた神林尊への警戒を強めた・・・・・・

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