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6代目総長の極めし道  作者: ジロ シマダ
11/32

最高に愉快で不愉快

 「おはよう」

 「おはようございます、若」

 「おはようございます、総長」


 還田(かんだ)はあの日から本邸に住み始めた。2日しか経っていないが(たける)は違和感なく受け入れ、黒木と還田(かんだ)の掛け合いを楽しんでいた。


 「おはようございます」

 「隠岐(おき)さん! おはようございます。今から朝食ですが一緒にどうです?」


隠岐(おき)が朝から本邸に顔を覗かせる。隠岐(おき)(たける)の誘いに是非とも笑顔で答える。


 「でどうでした?」


緊急幹部会のあと(たける)を襲ったのが東北の川熊(かわくま)組組員だとわかり、隠岐(おき)(たける)の命令で東北に赴き探索してきていた。


 「組長の川熊(かわくま)はなにも知らなかったようで。神林組の総長を襲ったのが自分のとこがしでかしたと慌ててますよ」


帽子をくるくる回しながら隠岐(おき)は報告をした。食後のプリンを掬いスプーンをくわえて(たける)は笑った。


 「あららぁ、あっ、このプリンうま!」


(たける)はおいしさにもっと笑顔になりプリンをすくう。扉の近くで橋がとてもうれしそうな顔で小さくガッツポーズをしていた。頑張って作った甲斐があるというもの。


 還田(かんだ)隠岐(おき)の報告に首を訝し気にひねる。


 「組員が勝手に暴走したということですか」


組長に何も言わずにやるにはことが大きすぎると誰でも思うことである。隠岐(おき)もそれは疑問に思ったと頷き、この場にいる誰もが聞き捨てならない答えを言った。


 「あぁ、今の神林組など怖くないといって」

 「「・・・・・・」」

 「なめやがって!」


黒木も還田(かんだ)は憤慨しプリンを持ったまま立ち上がり吠えた。対照的な笑い声が響いた。


 「あははは!」



 突然の(たける)の笑い声に黒木と還田(かんだ)はぽかんとしながら、(たける)を不思議そうにみた。下を向きながら笑っていた(たける)が顔を上げた。その顔はにんまりという音が付きそうな笑みが張り付いていた。


 「たかが東北の一角(いっかく)を支配しているだけなのに大きく出るねぇ。最高に愉快で・・・・・・不愉快だ」


(たける)の表情に隠岐(おき)と黒木は気持ちが高ぶる。そして還田(かんだ)は初めて見る(たける)にぞくりと背中に寒気と興奮が走るのを感じた。還田(かんだ)の口角も沸き立つ感情で自然に上がってしまう。



 「川熊(かわくま)がどこにいるかわかりますか」

 「こっちに向かってきてるようですよ」

 「へぇ」


面白いと目を細める(たける)の口に最後のひとすくいが消えた。

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