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ハーフエルフの娘


 「???何を言ってるの?」


 2階から降りてきた彼女はイマイチ状況を飲み込めていないようだ。


 「あの女は今までずっといなかった。それに魔法使いだ。上手く忍び込んで風の魔法を使って殺したに違いない!」


 「ちょっと待ってよ!一体何なのよ!状況が良くわからないんだけど。誰か説明してくれない!」


 仕方ないのでフゴー氏が亡くなったことを伝えた。


 「嘘でしょ!どこにいるの?」


 奥の部屋まで案内する。惨たらしい光景が広がっている。


 「キャァァ」


 悲鳴が起こる。かなりショックのようだった。


 「誰がヤったの?」


 「それはまだわかりません。調べている最中です」


 「そう・・・・・」


 部屋から出て会場に戻ると全員の視線が集まる。


 「時間稼ぎの芝居はいいじゃろう。犯人はこのハーフエルフの娘で決まりじゃあ!」


 「まぁまぁマジックさん、まだ犯人と確定できるほど証拠もありませんし・・」


 「わしは見たんじゃ!コイツがフゴーを脅してこの屋敷に半ば強引に入り込んできたところを!」


 「なんだって!」


 新たな情報の出現であった。


 「アレは16時頃じゃったか・・・。たまたま玄関で言い争ってる声が聞こえたんじゃ。見たらこの娘が何やらフゴーに見せておった。それを見たフゴーは顔面蒼白になっとった。そして半ば強引に娘が客として2階の部屋に通されたのじゃ。フゴーのあの様子・・・。娘はフゴーを殺しにきたに違いない!」


 「はぁ。ちょっと話が飛躍しすぎではないかと思いますけど・・・実際のところはどうなんですかノエルさん。何を話したんですか?あなたは何の目的でここにきたんですか?」


 本人に聞くのが一番早い。


 「・・・・・・いいたくない」


 「でも教えていただかないとあなたが犯人の第一候補になってしまいますよ」


 実際はそんなこともないのだが少し脅しておこう。


 「わかったわよ。言えばいいんでしょ!私はフゴーを殺すためにここに来たのよ!」


 

 ええっ!これは・・・自供してるのか!


 急展開にどよめきが起こる。


 「私の母親はエルフだった。人族と交わってた母と産まれた赤ん坊だった私は、エルフの里から追放されてしまったの。それから流浪の生活で物心ついたときから貧しい暮らしをしていたわ。ある日フゴーがやってきて私達を捕まえようとしたの。アイツは裏で奴隷商人をやっていたのよ。そのとき母が私を逃がしてくれたけど母は捕まってしまったの。それからずっと母を捜したけど見つけたときはすでに死んでいたの。ボロボロにされてゴミのように捨てられて・・・・だから殺しにきたのよ。あのときアイツが落としたものを持っていたから脅してやったの!」


 嘘ではなさそうだけど・・・。普通、本当でも殺しに来たとは言わないし・・・正直な性格なんだろうか。マジックさんの見た光景とも辻褄はあっている。


 「決まりじゃな。こうして自供もしとるわけだし」


 「ちょっと待ってよ!私はやってないわよ。寧ろ先を越されて悔しかったほどよ!」


 「動機も十分、アリバイもない、魔法も使える、犯人としては十分じゃな」


 「ちょっと待ってよ。体調が悪かったから部屋にいただけよ。大体こんなに人の多い時に殺すわけないでしょ。それにどうやって皆に気づかれずに殺すのよ!」


 「通風口があるじゃろう。アレは一階の廊下の奥の壁に繋がっとる。あそこから伝って部屋まで接近して魔法で殺したんじゃ。小柄なオマエさんならあのサイズでも入れるじゃろう」


 「無理よ。魔法は・・・。私はやってないの。お願い信じて!」


 彼女が殺した証拠は無い。でも彼女が一番怪しいとなると。うーん・・・・。


 「あの・・・ちょっとよろしいでしょうか」


 「何でしょうか。アリッサさん」


 メイドさんか。


 「あの通風口を使うのは無理だと思います」


 「どういうことですか?」


 「あの通風口には侵入者用の罠があるんです」


 「なんですって!」


 また新たな展開を迎える。

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