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第2の犠牲者


 「ホゴーさん?」


 大広間にはホゴーさんが見当たらない。


 「アリッサさん。ホゴーさんは知りませんか?」


 「ホゴー様ですか?そういえば見ていません」


 「いつ頃いなくなったかわかりませんか?」


 「すいません。いつからいないかもわかりません。そういえば大広間には最初からいらっしゃらなかったような気もします・・・」


 誰に聞いてもホゴーさんの居場所はわからなかった。本当に迷惑なおっさんだ。妙な特技を持っている。


 「アリッサさん、ウルフィーさん、マジックさんの3人で屋敷内を見にいってくれませんか?一応3人で固まって行動してください!」


 「わかりました」


 出て行く3人。結界の反応はないから必ず屋敷内にるはず。


 ・・・・・・

 ・・・・

 ・・


 10分後、3人が戻ってきた。


 「ダメです。どの部屋にもいません」


 おかしい、屋敷内にいるはずなのに・・・・。


そのとき扉が目に入った。そう言えばフゴー氏殺害現場は見ていないがまさか・・・・。皆の視線が集まる中おそるおそる扉を開けると。


 「キャァァァ」 「うわぁぁ」


そこにはまるで血の海に浮かぶかのようなホゴーさんの姿があったのだ。


 「ホゴーさん!」


 駆け寄って確かめるも既に息絶えている。ホイルさんに目配せするも顔を横に振るばかり。死因は一目瞭然だが顔を縦に両断するほどの傷だろう。かぶと割と言うのだろうか。鋭利で滑らかな傷口は刃物によるものなのか、それとも・・・。


 ホゴーさんは書棚の前で座るように死んでいる。床には大量の血が、ここで死んだと見ていいだろう。さらに後ろの通風口のほうの壁に向かって血が飛び散っている。凶器は見当たらないが・・・ロビンさんの剣を確かめているも使用された形跡はない。


 「ん?」


 ホゴーさんの胸には緑色のブローチがつけられている。確か青かったとおもうのだが・・・。ホゴーさんのポケットを探ると青色のブローチが入っている。これは一体どう言うことなのか。ちなみにフゴーさんの胸にはブローチはなかった。となるとホゴーさんが取ったのだろうか・・・・。


 「ウルフィーさん!」


 死亡推定時刻を確認してもらう。


 「すまん。こうも血が入り混じるともう区別がつかねぇ」


 やはり現場が重なってしまうと難しいか。


 こうして現場検証を一旦終えて皆の前に戻る。


 「誰かホゴーさんがこの部屋に入るのを見た人はいますか?」


 誰一人知らなかった。なぜだ・・・あんなに目立つ挙動をしている人なのに。一体どのタイミングで入ったのだろうか。通風口を見に行ったときだろうか、それともノエルさんの部屋に押しかけたときか?


 一応はっきりさせておかないといけないので仕方ないアレを使うことにした。この世界に来たときに得た魔法。


 「メモリーダグ!」


 目の前に大きなスクリーンが映し出される。


 「ええっ・・」 「おおっ・・」「これは・・」「本物なのか・・」


 一同驚愕の声が広がる。


 メモリーダグは自分の見た情報そのままをを映像として具現化できる能力だ。早い話が自分の目がカメラのレンズとなって視覚情報を録画し映像として見せることができるのだ。


 ただし一回眠るとリセットされるので目が覚めてから眠るまでの視覚情報までしか再生できない。編集も可能で一部分を写真のように取り出すこともできる。便利だが魔力の消耗も多いので長時間の使用は難しい。


 早戻しで確認していく。流れる光景にみんなは唖然としてる。


 「神官殿はこんな高度な魔法が使えたのか・・・・でもライトは使えんかったみたいじゃが・・・」


 「はははっ・・・まぁ、そんなところです」


 ライトは初歩の魔法の1つだが使うことが出来ない。元が普通の日本人だけに一般魔法が使えない。メモリーダグは特別に使えるだけだ。神官になって初歩魔法が使えないのはなんか恥ずかしいけど・・・。


 「ここですね。ホゴーさんがギリギリ確認できるのは。ちなみにここに映し出されているは俺の見た本物の映像なので真実です。幻ではないですよ!」


 ホゴーさんが見切れているのは通風口を確認に行くときだった。それ以降は全く映っていない。


 「そして同様にそれ以降に全く映っていない方もいらっしゃいますね。マリックさんですね」


 皆の視線がマリックに釘付けになる。


 「参ったな・・・確かについては行きませんでした。私は自分が犯人でないことを知っていますし・・・後は誰が犯人であろうと興味もありませんでした。あの後戻って私は控え室にいましたから」


 「控え室にですか?」


 「そうです。そしてみんなが戻ってきた気配がしたときに合流しただけですから」


 「では控え室にいる間、何か変わった様子はなかったですか?」


 「特に何もありませんでした」


 うーん。アリバイもなく魔法にも長けていると思われるマリックさん。ホゴー殺しの怪しさだけはかなり強烈だが・・・。


 「決まりじゃな。犯人はこのダークエルフに違いない!」


 マジック節が炸裂する。仕方ないけど議論を進めてくれるから良しとするか。


 「古来よりダークエルフは暗殺に長けた技や魔法を得意としておる。こやつならホゴーも殺せるしフゴーも透明化やら不可思議な魔法で忍び込んで殺したに違いない!」


 「それは買い被りですね。私はそんな高度な魔法は使えません。仮に透明化や小人化のような高度な魔法が使えたとしても、あの扉や通風口の守りを突破できるとは思えませんが・・・。それにホゴー氏の殺害についても私以外の人でも可能でしょう。あの映像でもたまにしか映っていない人もいますから」


 確かに・・・あの映像では視界に捉えた人しか移らないから、ポツリポツリしか映っていない人も完全にアリバイは成立しているとは言えない。


 「私が殺した確たる証拠が出せないのなら、これ以上の問答は控えていただきたい!もちろんそんなものは存在しないがね・・・」


 「ぐぬぬ・・・」


 押し黙るマジックさん。現状の手札では仕方の無いことだ。もう少し何かが・・・。


 「わかりました。一旦置いてまた事情聴取に戻ります」


 取りあえず残りの人の話を聞くしかない。

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