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幕開け


 異世界に転移した高校生が捜査神官となり事件を解決(神に捧げる)させていく物語。


 主人公は日本生まれなので初歩的な魔法でさえ使えない。異世界転移で得た固有魔法のメモリーダグのみ使用可能。


 メモリーダグは自分が実際に見た視覚情報を映像として具現化できる能力。


 後々女性キャラも多数出てハーレム要素も入る予定。


 魔法の世界のミステリーは無謀かもしれませんが一応挑戦と言うことで。


 夕日が差すムーンクレイクの街に2つの影が歩を進める。1人は両目を覆う眼帯をしている女、もう一人はごく普通の10代後半の青年だった。2人共珍しい灰色の神官服を着ており、街の人々からは畏怖の視線を向けられている。


 先導する女は眼帯をしているみも関わらず、まるで見えているかのように足どりに迷いは無い。淀みなく歩けるのはもちろん見えているからだ。

 

 「ここです。主の力の波動を感じます。ここに間違いありません」


 案内されたのはこの街で一番大きい屋敷だった。


 「ここであなたの力が試されるでしょう。我が主の導きがあらんことを。試練の成功をお祈りしています」


 業務を終えたとばかりに導きの巫女は帰っていった。


 「ここで殺人事件が起こるわけなのか、我が神様は知恵と血が大好きだからなぁ・・・」


 つまるところトリック殺人が好きなんだろう。嗜好が偏っていると言うのか、今回の事件が御気に入ればいいのだが。


 「まぁベストを尽くしてみるさ」


 呼び鈴を鳴らすとメイドさんが現れた。こちらを見て表情が固まっている。


 「どうもすいません。私は灰色神殿から参りまして、用件はお分かりでしょうが屋敷の主人にお目通り願えませんか」


メイドさんは何回も頷くと慌てて屋敷に通してくれた。


 それもそのはず、灰色神殿の神官が来たと言う時点で不吉が起こることは確定している。さらに灰色神殿の神官には捜査権がこの世界で認められている。誰も灰色神殿の神官の神代行捜査に関する点においては拒否することは出来ない。拒否した場合神の呪いが目に見える形で即座に降りかかる。どの国でも同様に捜査可能で、たぶんFBIのような感じなのだろう。


 「本当に始まってしまったけど、この先どうなるっていくのかね」


 空には少しずつ暗雲が立ち込めていた。


 メイドさんの案内でたくさんの剥製が置いてある豪奢な応接間に通される。


 「クマにトラか・・・ワニに亀にトカゲと・・これは・・ユニコーンか?コッチはグリフォン・・」


 まるでファンタジー世界の生物の博物館だな。こんなものまでどうやって手に入れるんだか。壁には絵画も多数かけられている。おそらく全てが伝承をモチーフにしているのだろう.。様々な神獣・魔獣などが描かれている。


 「触ってはダメだ!」


 食い入るように見ていると後ろから怒鳴られた。どうやら屋敷の主がやってきたらしい。なんか小さくて丸い小男だ。見た目は50歳ぐらいだろうか。


 「すまないね。どれも貴重品で値段がつかないものもある」


 「どうも始めまして私は・・・」


 「知っている!灰色神殿の神官殿だろう。私はこの屋敷の主でフゴーと申す。用件もわかっている。これのことだろう」


 一枚の紙を差し出してきた。


 「これは殺人予告ですか」


 差出人不明の手紙には今夜あなたの命を頂くと書いてある。


 「そうだ。今朝届いた。今夜は私の誕生パ-ティを開く予定にしておったが中止にした。こんな紙に振り回されるのは癪だったが」


 「賢明なご判断です」


 「世辞などいらんよ。ときに神官殿はまだ見習いの神官のようですが」


 「さすが知っていましたか。そうです。まだ見習い扱いです」


 神官にはランクがあってそれぞれに支給される首飾りが異なる。俺がしているのも神官として一番下位のみならいのものだ。そうだとしても神官扱いには変わりないのだが。高ランクほど優秀で実績があり権威があるのだ。


 「まぁ、見習いとは言っても神官殿には変わりないわけだから・・・捜査に口を挟む気はない。だが振り払う火の粉はこちらも払わせ頂く。神官殿が来た以上はこの手紙は本物。私が賊を返り討ちにして、すごすごお帰り頂くことになっても文句は言わせませんぞ」


 「そのときはそれで構いません」


 そのときは我が神から、場合によっては罰を受ける可能性もありえる。事件にもならず無様な展開にさえなっていれば問題ないだろうが。


 「入れ」


 2人の屈強な男が入ってきた。2人とも放たれる気配が尋常ではない。


 「こいつらは金で雇った我が家の用心棒。それも腕前は折り紙つき。雑魚をいくら雇っても意味はないからな。ロビンの剣の腕前は宮廷指南クラス、多少の魔法も使える。ダンは格闘の達人で武闘大会の優勝者だ」


 無駄に人数が増えるよりも少数精鋭のほうがある意味良いかもしれないな。この男も案外バカではない。さすがこの街一番の商会を経営していることはある。


 「これで話は終わりだ。用があればメイドのアリッサに任せる。他の家人はパーティ中止の勧告のために方々に出払っとる。今日は帰ってこないだろう」


 こうしてフゴー氏との初対面が終わった。

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