#3 ローカル線と山奥村と駅そば
どうも。
今回なんか内容薄い気がする、、、
内容は無いようです
魔王は、列車に乗り込んだ。
閑散としたホームに響くエンジン音。
列車は、ゆっくりと、田舎のターミナルを去った。
「座り心地は、、、見た目の通りだな、良くはない」
着席し、彼はまずそう呟いた。
そして車内を見渡す。
「やはり誰も乗っては居らぬか。よくこれで会社が潰れないな」
列車は、ひとつ目の駅に到着した。
「、、、なんだと?こんな小屋のような建物が駅舎だと言うのか、驚いた」
そしてまた列車は動き出す。
「あと二時間この繰り返しか。もう満足だが、降りる訳にもいかないしな」
彼は車窓に目をやる。
「雪原と化した田畑、凍れる森林、白き山並み。これが我が国の原風景と言うやつだな、美しい」
「さらに今は朝だ。日が昇っていくにつれて、車窓が変化している」
「もう満足、と言ったな。だが、この車窓は見る者を飽きさせない。これなら二時間過ごせそうだ」
山が迫ってくる。やがて列車はトンネルに消えた。
「長いトンネルを抜けると新たな景色があることを今朝学んだ。今度はどうだろう」
列車は光を浴び、深き渓谷に姿を現した。
「、、、渓谷か。冬だと、より険しく見えるな。このような山奥であれば、景色は列車が一番やもしれん」
そして列車は、山と谷の狭間、僅かな平地に広がる小さな村に到着した。
「ここが終着駅なのか。これ程の山奥は、我とて訪れる機会は少ない」
木造の、立派な駅舎。彼は何気なく待合室を覗いてみる。
ふと、彼は待合室の隣のスペースに気が付いた。
「山の、、、駅そば、、、?そば屋なのか?」
そのそば屋に興味の沸いた彼は、待合室の戸を開き、そば屋に近付いていく。
「食べていかれますか?」
彼に話しかけたのは、そば屋の女将とおぼしきふくよかな女性。
駅弁を食べて三時間と経っていなかった彼は、少し迷いつつも、
「ああ。何か適当に貰おうかな」
と返した。
それに対し彼女は、
「ではお作りしますね、少々お待ちください」
とだけ言い、さっさとそばを茹で始めた。
「お待ちどうさまです。やまかけそばになります」
そう言い彼女はそばを差し出した。
「待ち兼ねたぞ」
彼はそばに目をおろす。
「白雪のようなとろろに海苔とネギとワカメか。鰹出汁の香りも旨そうだ。まあ御託はいい」
まずはそばを数本啜る。
「ほう。そばの香りが強いそばだな、それでいてコシもしっかりしている」
次はとろろとともに。
「粘り気の強いとろろだな。しっかりそばに絡んでくる」
「さらに、海苔が敷いてあることでとろろがつゆと混ざりにくい。考えたな」
彼はどんどん食べ進めていく。
「食べ進めていくと、ネギやワカメがあることによって味や食感が単調になりにくいのだな」
「ごく普通のように見えて、考えられた、こだわりのあるそばと言うことか」
そして彼は、気付けば食べ終えていた。
「ご馳走さまでした」
「まいどあり、旅のお方なんですか?」
「ああ、そうだが」
「でしたら、時間があれば近くの温泉に寄ってみてください。いい湯ですよ」
「、、、ほう。温泉か。良いじゃないか」
どうも。
地味に予告を裏切るスタイル。
次回こそは温泉です。