6/6
六
時間がたつのが遅い。父も手持ちぶさたみたい。
いつからだったか、父と話をすることがなくなっていた。
いわゆる思春期だったのかもしれない。
嫌いなわけではないんだけど、面倒に感じてしまった。
話題がかみあわないし、私が何か話すと共感より先に指示がくるのだ。
「母さんとは同じ会社で働いていてね。」
私がぼーっとそんなことを考えていると、父がポツリ、ポツリと話始めた。
母さん、とても綺麗だったんだよ。よく気がつく娘で、みんなの人気物だった。僕はまさか母さんと結婚するなんて思ってなかったよ。