表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

むぎ茶オレンジジュース

作者: おかおかき


特になし

 

 電車に乗ると外国人のリュックの脇のポケットに確かに存在しているむぎ茶オレンジジュース。むぎ茶とかいてあるペットボトルの中身はオレンジジュース、どんな経緯でそこにオレンジジュースが入ったのか。そんなどうでもいいことを考えながら僕は電車に揺られた。今日も暑い。



僕は超能力がある。って言いたいところだけど僕には超能力があるわけもないし、特別なにか得意なことがあるわけでもない、いわゆる凡人。毎日電車に揺られながら、突然世界が180度変わればいいのにと思っている。次の駅につくと沢山の人が降りていき、僕は座ることができた。








目が覚めると僕は自分の部屋にいた。携帯を開けば時刻はAM6:00。夢か。リビングから僕を呼ぶ母さんの声が聞こえる。




朝ごはんは目玉焼きとトーストだった。僕が目玉焼きにしょうゆをかけようとすると姉は不思議そうに僕を眺めながら目玉焼きに砂糖をかけた。





僕は違和感の正体を突き止めようともせず、急いで身支度を整えて家を出た。今日も暑い。






駅につくと横のおばさんは鼻の下をタオルで拭きながら暑い暑いと独り言を言っていた。




会社までは電車で40分。乗り換えなし。毎朝毎晩知らない人に囲まれてただ時間が過ぎるのを待つ時間。




僕が乗ってから2つ目の駅で女子高校生3人組がはいってきた。1人は手には飲みかけのスタバを持っていた。



なんとなく見ているとショートヘアーの女の子がバックの中からむぎ茶を出して、飲んだ。もう少しで無くなりそうだった。









会社に着くとおはようと挨拶をされた。彼女は同期でさえない僕にも明るく話しかけてくれる。顔も可愛い。おはようとだけ返し、エレベーターに乗り込んだ。今日はなんとなく忙しくなりそうだと思った。




デスクに座ると知らない男が僕に話しかけてきた。君は一体誰だ?と聞いた。僕は名前を名乗り、すいませんがどちら様ですか?と聞くと男は早足で立ち去った。犬みたいな顔だなと思った。









目がさめると僕は病院だった。胸の辺りに包帯が巻かれ、腕には点滴の針が刺さっていた。母さんが僕を見て泣いていた。姉もつられて泣いた。





僕は目の前の僕を部屋の角から見つめていた。僕の魂は身体の中ではなく、身体の外にいるとわかった。僕の身体はベットに横たわったまま目を閉じていた。死んだんだなと思った。







そのあとすぐにドラマで見たようにピーっという機械音が聞こえた。走ってきたようにみえる白衣のおじさんが僕の目を開き、ライトで照らしていた。



そのあとのことはよく覚えてない。






目がさめると電車の中だった。悪い夢をみていたのかと思ったが、窓に映る自分は姿がなかった。




外国人のリュックの脇のポケットにむぎ茶オレンジジュースは確かに存在していた。







2018.08.21

誰かが見つけてくれますように

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ